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展示風景より 左から近藤亜樹《ウータン山》2010、水戸部七絵《DEPTH》2015 高橋龍太郎コレクション
2020年12月12日(土)、寺田倉庫が手掛ける現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT(ワット)」がオープン。
オープニングとして2021年5月30日(日) まで、「-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション」展が開催される。
本展では、高橋龍太郎コレクションの中でも「描き初め」をテーマとしたコレクションや、2000年前後の奈良美智作品を中心としたA氏のコレクションといった、2名のコレクター独自の視点や価値観で収集した、 19作家の、新作・未公開作品を含む約70点にわたるコレクションを展示し、 現代アートの魅力に迫る。(会期中、展示入替を1回実施予定)
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展示風景より チャリティーオークション用に奈良美智が描いた《Rock and Roll(アートカー)》2004 A氏コレクション。車体とマッチするように内装を赤の革に変更しているという。
◆「-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション展」開催概要
開催日:2020年12月12日(木)〜 2021年5月30日(日)
開館時間:火~日 (最終入場18時)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合、 翌火曜休館)
住所:東京都品川区東品川 2-6-10 WHAT 展示室 1階、 2階
入場料:一般1200円、 大学生/専門学校生700円、 中高生500円、 小学生以下 無料
※オンラインチケット制
◆展示コレクション
【高橋龍太郎コレクション】
作品点数:約30点
出展作家:18作家(予定)会田誠、 今津景、 梅沢和木、 大山エンリコイサム、 岡崎乾二郎、 川内理香子、 草間彌生、 合田佐和子、 近藤亜樹、 鈴木ヒラク、 佃弘樹、 土取郁香、 DIEGO、 野澤聖、 BIEN、 水戸部七絵、 村山悟郎、 毛利悠子
学生時代、大島渚などの映画やシュルレアリズム絵画が好きだった高橋は、雑誌に載っていた合田佐和子や横尾忠則などの作品を好んでみていたという。特に1960年代後半の草間彌生のニューヨークでのパフォーマンス映像の作品を見て衝撃を受け、その後会田誠や山口晃の作品と出会い、1998年には本展でも展示されている草間彌生のペインティング《No.27》を購入、コレクションを広げた。以降、国内外の美術館で自身のコレクション展を開催している。
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展示風景より 野澤聖《obsession-蒐集家の肖像-》2020 「草間の作品をコレクションしたとき、高橋の人生に一条の光が射し込んだと思った」エピソードをテーマに描かれた。草間を6角の台座に光を射し込む天照大神にみたて、次第に高橋の姿が光にあてられ草間作品に溶け込む様子は、コレクターへの道を歩む高橋自身を映し出している。高橋龍太郎コレクション
高橋はコレクションについて「たえず埋め合わされている限り、その若さを保ち続ける」ただし「自身の嗜好が硬直化して時代と乖離してくれば、そのコレクションはその役割を終える。」「コレクションにはコレクターの生きる証しが反映されていなければならないからだ」という。高橋コレクションがいつまでも若いか、本展の展示作品は見るものに投げかける。
コロナ禍で新しい生活様式が求められる今、コレクション展も新しい時代を迎えようとしている。本展では、高橋コレクションの中でも、『描き初め』をテーマに先行する作家たちの冒険に満ちた試みや、ストロークの強度を感じさせる若手作家の作品を中心に、展示している。新しい時代の幕開けとして、またWHATの幕開けとしてふさわしい『描き初め』をぜひ堪能してほしい。
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展示風景より 古今の名画からそのエッセンスだけを抜き取り抽象画としてあらわした会田誠の「ランチボックス・ペインティング」シリーズ 2016 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 名画のエッセンスに加えて文学や音楽、建築などさまざまな表現のエッセンスをもとに作品にする岡崎乾二郎の作品《「誰だ。何をしにきた」。苔むした岩の間にさらさら音を立てる谷川の水はいつも冷たく澄んで、そのまま王の心でした。王が王なのは誰も来ないから。来ないかぎり王は王としてミズナラの洞に座り続ける。何千年も生きたろう巨木が立ち並び、その葉の茂みが空を覆う。足元は絨毯でなく茨や葛ら、朽ち葉や枯れ枝。白い薄明りが道を示し王子をここに連れてきた。「あなたへ伝える」、何を伝えるのか。私が口を開いた途端、あなたはもう王ではない。静かだった森がごうと唸り声をあげる。》2016 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 一番上のラインを決めたのち、一定の法則で下のラインが決定される理論を応用した村山悟郎の作品《学習的ドリフト(カラー/モノクローム)あなたがこの作品を見る順序を、わたしは制作の手順としてつくりなおす。》2014 高橋龍太郎コレクション
スペースⅠには、2010年代より活躍している近藤亜樹の巨大絵画と水戸部七絵の作品と、2020年代に話題を呼びそうな川内理香子、土取郁香の作品が並ぶ。
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展示風景より 左は、絵具とスプレーの自在な表現に心がわしずかみにされる土取郁香の作品《I and You(knock knock knock)》。右は食と身体と神話の世界が融合した陣源の原風景が描きこまれている川内理香子の作品《Forest of the night》2019 高橋龍太郎コレクション
高橋コレクションにとって、鈴木ヒラクの6mにも及ぶ巨大インスタレーション《道路》と出会った2010年は、第2のスタートとなる大事な年だったという。本展で展示されている鈴木ヒラクの《GENZO》シリーズをはじめ、高橋による鈴木ヒラクについての解説は『ONBEAT vol.13』でも掲載している。
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展示風景より 鈴木ヒラクの《GENZO》シリーズ 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 鈴木ヒラクの《GENZO》シリーズ 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より ネットの画像を大量に収集し、Photoshopを用いてデジタルコラージュした梅沢和木の作品《ジェノサイドの筆跡》2009 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 高橋が長尺のドローイングに度肝を抜かれて購入したという大山エンリコイサム《フィグラティ #162》2017 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 歴史的名画や植物図鑑などから採取した画像をデジタルコラージュする今津景の作品《Swoon》2018 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 自身のスナップショットやドローイングをデジタルコラージュし、さらにドローイングするなど多重構造で描かれている佃弘樹《Quarantine》2018 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 世界中を渡り歩き、街に落ちていたゴミやネズミをユーモラスに擬人化するDIEGOの作品《Landder Boys》2019 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より ストリートカルチャーやアニメなどの表現形式を記号的に解体し再構築し、新たな抽象世界を表出させるBIEN《Day for Night-》2019 高橋龍太郎コレクション
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展示風景より 日用品やおもちゃ、楽器などを組み合わせ、重力や空気の動きなどめにみえないものをどう見せるか、聞かせるかをテーマにしている毛利悠子の作品《モレモレ:ショーケース #1》2019 高橋コレクション。本作では水漏れという緊急事態にあわてる人間をテーマにしている。
【A氏コレクション】
作品点数:約40点(会期中に作品の入替を実施予定)
出展作家:奈良美智
2001年横浜美術館で開催された展覧会で《ひよこ天使》を見て奈良美智に興味を持ったA氏は、その後10年以上探し続けたのち、購入したという。
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展示風景より 奈良美智の作品 A氏コレクション
はじめて《Slash with a Knife》《It’s Better to Burn Out》を購入して以降、自身の人生と照らし合わせるように奈良美智の作品をコレクションしてきたA氏。この2作は「アートを身近におくことで自分がかわるということを体感させてくれた」という。
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展示風景より 左から奈良美智《悟空》1987、《It’s Better to Burn Out》1996 A氏コレクション
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展示風景より 奈良美智《Untitled》 A氏コレクション
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展示風景より A氏が自宅に飾っていて「人間のような存在感を感じる」という奈良美智《悲しみの炎・波の泉Ⅰ》1989 A氏コレクション
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展示風景より 奈良美智の作品 A氏コレクション
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展示風景より 奈良美智の作品 A氏コレクション
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展示風景より 奈良美智の作品 A氏コレクション
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展示風景より 奈良美智の作品 A氏コレクション
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展示風景より 奈良美智の作品 A氏コレクション
「ONBEAT」では高橋龍太郎氏が連載中!
”アフォーダンスドローイング”
高橋コレクションの一つ「鈴木ヒラク」作品の魅力を、高橋龍太郎自身が語る。
”地球の皮を剥ぐ”
高橋コレクションの一つ「鴻池朋子」作品の魅力を、高橋龍太郎自身が語る。
”矛盾しているから表現になる”
高橋コレクションの一つ「加藤泉」作品の魅力を、高橋龍太郎自身が語る。