Peacock 2010年 牛革、箔、樹脂、孔雀の羽 片足27×8×120cm
“Shoes Surreal 奇想の靴”
シューズデザイナー/アーティスト・串野真也
聞き手=藤田博孝(ONBEAT編集長)、構成・文=成富彩乃
2022年11月3日発行『ONBEAT vol.17』掲載
自然からインスピレーションを受け、その最終形態をテーマに最先端技術や伝統技術を駆使して、靴を制作している串野真也。 イタリアでファッションを学んだ後、現在は京都を拠点に活動している串野に、Fashion Institute of Technology 美術館やヴィクトリア&アルバート博物館に永久保存された作品のほか、これまで手掛けてきた作品やその創作活動について聞いた。
ファッションから彫刻へ
僕は動物や自然のフォルムは、いろいろな摂理の中でその形にならざるを得なかった最終形態(ファイナルデザイン)だと定義しています。 同時にこの瞬間も目に見えないような進化を続けているということに対してリスペクトしていますし、昔の人々もそうだったように動物や自然に宿る圧倒的なエネルギーにインスパイアされ続けています。僕が生まれ育った広島の因島が、朝から晩まで自然と触れ合える環境だったこともあるかもしれません。 自分で船を造るほど手先が器用だった祖父の影響もあり、遊び道具は自分で作っていました。そうした実体験が今の僕の武器になっているように思います。 今でも年に数回は島に帰るのですが、季節によって変化する空や海の色、植物の景色などに対峙すると、涙が出ることもあります。
そんな僕はファッションデザインの専門学校を卒業後、イタリアに留学し、ファッションデザインを学びます。 そして帰国後には《Aries》で「JLIAレザーグッズデザインアワード」でグランプリ、翌年には審査員特別賞を頂き、革素材を中心とした靴や靴などを展開するブランド「Masaya Kushino」 を立ち上げました。