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【本誌アーカイブ】アートコレクティブ ダムタイプ 高谷史郎インタビュー(vol.18)

 

アートコレクティブ ダムタイプ 高谷史郎インタビュー
聞き手=長谷川祐子(キュレーター)
構成・文=藤田博孝(ONBEAT編集長)
2023年5月5日発行『ONBEAT vol.18』掲載

日本のアート・コレクティブの先駆け的存在である「ダムタイプ」。昨年、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示に選出されると、坂本龍一を新たなメンバーに迎え、新作《2022》を発表した。 その帰国展として《2022》を再構成し展示する「ダムタイプ | 2022: remap」が、アーティゾン美術館で現在開催中だ。そんな彼女/彼らのフランスでの大規模個展なども手掛けたキュレーターの長谷川祐子を聞き手に、結成以来の中心メンバーである高谷史郎がそのクリエーションの歴史を語った。

長谷川:ダムタイプに関しては、私は2018年にフランスのポンピドゥー・センター・メッス分館での個展をキュレーションさせていただき、翌2019年には私が当時参事を務めていた東京都現代美術館で、フランスでの展示をバージョンアップした個展「ダムタイプ | アクション+リフレクション」を開催していただきました。去年2022年、ダムタイプは日本代表としてヴェネチア・ビエンナーレの日本館で展示をし、ミュンヘンのハウス・デア・クンストでも大きな個展をするなど大活躍でしたが、今年はヴェネチア・ビエンナーレでの展示の帰国展という形でアーティゾン美術館で展覧会が行われています。そこで本日は、ダムタイプの創立時から一貫して中心メンバーの1人として活動してきた高谷史郎さんと共に、その40年近くにわたるクリエーションの歴史を振り返りたいと思います。ダムタイプはリーダーや特定のディレクターを置かず、プロジェクトごとに参加メンバーも変化するというユニークなコレクティブですが、結成当初はどんな感じだったのでしょうか。

高谷:ダムタイプは、母体が京都市立芸術大学の演劇サークルで、僕が入学した1984年に中心メンバーが入れ替わり、演劇の枠にはまらない「パフォーマンス」とも呼べるような表現へと移行していった時期で、当時4回生だった古橋悌二、小山田徹、安東由理子といったメンバーたちが中心となって活動していました。彼らは大学の学食前のスペースを溜まり場にしていましたが、僕の知り合いの他の先輩たちからは、「あそこは危ないから近寄ってはいけない」と忠告を受けていました。それは多分、彼らが大学の授業をそっちのけで演劇などを作っていて異端視されていたからだと思います。しかし僕の目にはすごくおしゃれな人たちがそこに集まっているように見えたので、僕は演劇にはなんの興味もなかったのですが、いつの間にか彼らの活動に参加するようになりました。デザインならデザインのことだけ、絵画なら絵画だけ、という大学の決められたカリキュラムの中だけで制作するよりも、僕らは自分たちの使える技術を持ち寄って一緒に何か面白いものを作れたらと思い、ダムタイプでのグループ制作に没頭していました。大学時代に習ったことのほぼ全ては、ダムタイプで学んだような気がします。

長谷川:ダムタイプが結成された1980年代半ばの時代背景を考えると、例えばロバート・ウィルソンやローリー・アンダーソンのように、映像やパフォーマンスなどさまざまなメディアを多角的に用いて表現を行う同時代の芸術家たちの活動もダムタイプの刺激になったのかなと思います。私はダムタイプにおいて映像表現は重要な部分であって、映像と生身の身体が実際にどんなふうに関わっていくのかということが一つのポイントだと思っていました。ダムタイプは活動初期の段階から一定のルールを設けて観客を参加させていくゲームのようなパフォーマンスを行っていましたが、私はそれをとてもユニークだなと思っていました。独り善がりな表現主義的なパフォーマンスではなく、観客自身もそこに巻き込まれることによって、さまざまな想像力が誘発されるような仕掛けになっているからです。

《ひとでのたし算》 1984年 パフォーマンス 撮影:福永一夫 ©Dumb Type

 

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