昭和から平成の時代に日本画の旗手として目覚ましい活躍をした加山又造(1927-2004)の軌跡を追う展覧会「開館一周年記念 加山又造ー革新をもとめて」を開催中の下瀬美術館と、同美術館を含む複合施設「SIMOSE」を訪ねた。

文・撮影(クレジットのあるもの以外)=藤田博孝(『ONBEAT』編集長)

下瀬美術館外観 ©SIMOSE

美術館、ヴィラ、レストランが一体となった複合施設「SIMOSE」は、世界遺産の厳島神社がある宮島や、瀬戸内の多島美を臨む広島県大竹市の海辺にある。その4.6ヘクタールに及ぶ敷地内のすべての施設は、プリツカー賞を受賞した世界的建築家の坂茂が設計を手がけている。

ロゴ・サインなど施設内のデザインはグラフィックデザイナーの原研哉。  ©SIMOSE

「SIMOSE」の中核を成す下瀬美術館は、長さ190m、高さ8.5mの「ミラーガラス・スクリーン」で一体化されたエントランス棟・企画展示棟・管理棟と、それらの海側に設けられた水盤上に並ぶカラーガラスに覆われた8つの可動展示室で構成されている。丸井産業株式会社の創業60周年を機に構想され、今年の3月に開館一周年を迎えたこの美術館は、同社代表取締役である下瀬ゆみ子が、先代の創業者・下瀬福衛と下瀬静子から受け継ぎながら形成してきたコレクションを保存、公開する施設であり、国内外の美術工芸品を収集、保存、調査研究しながら、展覧会企画等の活動を行っている。

下瀬美術館 エントランス棟  ©SIMOSE

展覧会を鑑賞するため、美術館の受付、ミュージアムカフェ、ミュージアムショップ、多目的スペースを併設したエントランス棟に入ると、そこには2つの柱が枝を大きく広げるように梁を延ばした抜けの良い空間が広がっている。来場者はその坂茂的空間を堪能するとともに、視線の先に広がる瀬戸内の海景に出迎えられる。

陶板美術作品「おぼろ」(左)「華扇屏風」(右)  この陶板美術作品は、本画である《おぼろ》(個人蔵)、《華扇屏風》(山種美術館所蔵)をもとに制作された複製品です。  ©SIMOSE

エントランス棟から屋外に出ると、坂茂が海に浮かぶ島々から着想したという水盤と8つの可動展示室を、実際の瀬戸内の島々を借景に眺めることもできる。しかも「開館一周年記念 加山又造ー革新をもとめて」の会期中は、この水盤上に加山又造の原画《おぼろ》《華扇屏風》をもとに大塚オーミ陶業株式会社の協力で制作された二点の陶板美術作品が特別に設置されており、天候の良し悪しに関わらず鑑賞することができる。

陶板美術作品「おぼろ」 ©SIMOSE

加山又造の高い芸術性と、その繊細さを余すことなく再現する大塚オーミ陶業株式会社の技術の高さは、国家の威信を示す場であるG7伊勢志摩サミットの首脳本会議場の前に、この陶板美術作品「おぼろ」が飾られたという実績からも明らかだ(なお、今回展示されているのは、そのバージョンアップ版である二代目「おぼろ」)。

エントランス棟に併設されているレストランの店内から見る陶板美術作品「華扇屏風」  この陶板美術作品は、本画である《華扇屏風》(山種美術館所蔵)をもとに制作された複製品です。  ©SIMOSE

戦後の日本画壇を牽引し、 伝統と革新の狭間で独自の芸術世界を築き上げた画家として知られる加山又造であるが、本展ではこれまでほとんど語られてこなかった加山又造と広島県とのつながりが明らかにされていることは特筆すべきだろう。そのエピソードについては可動展示室 第2室で上映されている動画「蒼い日輪(映像)」の中でも詳しく紹介されているが、加山の作品に対する理解を深めるうえでも重要な内容であるので紹介したい。

加山又造の祖父・田辺玉田が描いた絵《四季山水図》(広島県立美術館収蔵)

加山又造の祖父にあたる田辺玉田は北陸の若狭出身で、明治半ば以降に能登の絵師から手ほどきを受ける。その後京都の画塾で絵を学び、絵師として京都で活動していたという。しかし明治後期になり京都市内での仕事が減ると、彼は京都を離れ旅絵師をしながら南へ向かい広島にたどり着く。田辺玉田は広島を中心に中国地方で画家として活躍し、その作品が二点広島県立美術館に収蔵されている。加山又造の孫である加山由起さんによると、その内一点は、玉田が中国の山水画を模した金屏風の作品だという。玉田は広島で資産家の娘に気に入られて結婚。その子どもで加山又造の父親となる田辺丹造は、幼少期を広島で過ごした後に父と共に京都に移り住み加山勝也と改名し、西陣の和装図案家として生計を立てることになる。祖父の田辺玉田が亡くなった後に京都で生まれた又造は、父親の勝也が広島で暮らしていた時の話を殆ど聞いていなかったようだが、 奇しくも1945年8月6日に広島市に原爆が投下された様子を目撃することになる。

加山又造が見た原爆投下後の広島の惨状 動画「蒼い日輪(映像)」より  ©SIMOSE

戦時下の1944年に東京美術学校(現在の東京藝術大学)に入学した又造は、戦況悪化にともなう学徒勤労動員で山口県岩国沖に浮かぶ周防大島の海軍兵学校岩国分校に配属され、 B29襲来の警報で逃げ込んだ周防大島の山の斜面で閃光と、その後に広島市上空に広がるきのこ雲を目撃したのだ。又造は岩国から無蓋貨車に乗り込み、焦土と化した広島を通過して故郷の京都に戻る。一方、父・勝也は息子とはすれ違いで広島に向かい、 自分の家があった場所や広島市内の親類の家を訪ね歩き、壊滅した広島の様子に大変な衝撃を受けて京都に戻る。二人が揃って京都で暮らし始めてから半年と経たずに勝也は風邪と栄養失調で世を去ってしまう。終戦後、加山は東京美術学校に復学するため母親と妹三人を京都に置いて再び東京へ向かう。

若き日の加山又造 動画「蒼い日輪(映像)」より  ©SIMOSE

東京に戻り、東京大空襲で焼け野原となった関東平野を眺めた加山は、「どのような時代にあっても、日本の美術、日本の伝統文化を自分たちの代で終わらせてはならない。そして、この何も無くなった世界に新しい伝統文化を創造し、発展させなければならない」と心に決めたのだという。加山は学資を補い、実家への仕送りをするため、横浜の米軍赤十字クラブのポスター描きやショーウィンドーの装飾など多くの仕事をこなしながら、1949年に卒業。その後も商業的な美術で生活費を稼ぎつつ、「日本画滅亡論」までが叫ばれる敗戦後の日本で、加山又造は「日本画」に向き合っていくことになる。
広島と終戦をめぐって加山又造と彼の一族にこのようなドラマがあったことが初めて明かされたことは、日本の美術界にとっても大きな収穫であるといえる。また、こうした背景を踏まえた上で加山の作品を鑑賞すると、また新たな気付きも得られるだろう。

会場風景「開館一周年記念 加山又造ー革新をもとめて」企画展示棟入口  ©SIMOSE

前置きが長くなったが、エントランス棟から渡り廊下を通って企画展示棟に向かう。会場内には、加山又造が語り、また綴った印象的な言葉が展示されており、その作品を制作していた当時の加山の心境などを窺い知ることができる。企画展示室の第Ⅰ章は「動物・自然」がテーマだ。以下の加山の言葉は、動物を描くことを通して画家が何を表現しようとしていたかを伝えるものだ。
「私は、戦後を自覚し、自分の日本画を描きつくるよりどころとして、動物たちを主題として、絵の形にするのに夢中になっていた。はじめ、たとえば草食動物の悲しさや、肉食獣の孤独、そして彼等の強靭な生命力、またそれらを包む空間の無情、有情の情景、その動物たちの様相を、当時の自分自身の生活心情、情況にひき合わせ、なんとか新しい日本画として造ってみたいと念じていた」

展示風景 加山又造《若い白い馬》(左)、《迷える鹿》(右)  ©SIMOSE

加山が東京美術学校に復学するために東京に戻ると、以前下宿していた家は焼失していたため、彼はキャンパス内の建物で数年間生活したという。そこを追い出された後に下宿した家を結婚して出ることになった際に、世話になった家主に贈呈した絵が《若い白い馬》だ。加山由起さんは「破れた家のドアから飛び出してくるこの雄馬に、加山は自分の姿を重ねて描いたんだろうと思います」と語る。この《若い白い馬》や《迷える鹿》といった作品を加山がどのようなアプローチで描いたのか、加山自身は下記のように語っている。
「旧石器時代の、アルタミラ、及びラスコーの洞窟壁画の動物の絵の生命感と造型を原点として何かを始めることにし、新しくデッサンを始める。そして、ホアン・ミロの初期の様式、アンリ・ルソーの天才的な空間、さらにパウル・クレーの新鮮な時間的な空間、ピーター・ブリューゲルの左右対象[ママ]の特異な透視図法的遠近法、未来派の同時時間表現等を私なりに解釈転用して、新しい日本画の様式化を夢み、懸命にデッサンし、制作した」

展示風景 加山又造《音》  ©SIMOSE

加山は語るー「私は猫が好きだ、しかし家内は、もっと猫が好きだ。どちらにしても、ふとした時に不思議な神秘感を見せるこの崇高なけもの、猫は私の絵の主題として興味がつきないものの一つである」ーその言葉通り、画家は飼い猫をモデルに数多くの作品を制作しており、本展にも四点の猫作品が展示されている。加山家には一番多いときで26頭の猫がいたそうで、その中でも短毛のシャム猫、長毛のペルシャ猫、ペルシャとシャムの交配種であるヒマラヤンがモデルに迎えられた。加山はその毛の一本一本を、同時代の日本画家たちが驚嘆するほどの繊細なタッチで描き、人気を博す。

加山又造《音》(部分)  ©SIMOSE

加山のこうした技術は、少年期の京都市立美術工芸学校における運筆の修行で得たものであり、猫の姿をこれほどまでに生き生きと表現できたのは実際に多くの猫と生活し、その生態を観察してきたからに他ならない。

加山又造《猫》(部分)  ©SIMOSE

加山由起さんから興味深いこぼれ話を聞いた。猫のブリーダーとしての加山家の噂を聞きつけた日本画家の福田平八郎に猫を一頭譲ったところ、その返礼としてレースが送られてきたという。実はよく知られる加山の《黒い薔薇の裸婦》(本展には未出品)は、そのレースを使って描いた作品なのだ。その猫がいなければあの傑作は生まれていなかったかもしれないと考えると、つくづく縁とは不思議なものだと思わされるエピソードだ。

展示風景 加山又造《倣北宋水墨山水》

企画展示室の第Ⅱ章は、加山が晩年に力を注いだ「水墨画」がテーマ。加山は「水墨画。それは、中国五千年の歴史に輝く、全人類的意味で最高の、絵画表現芸術である。紙と墨による書文化から転じて唐代に発生し、宋、元の時代にひとつの完成期に達している」と語り、中でも北宋系の水墨画をリスペクトし、目指した。ここには北宋の作品に倣って制作した、しかしその趣は大きく異なる二点の水墨山水画が展示されている。会場に展示された解説文がその大きな違いを的確に伝えている。

展示風景 加山又造《倣北宋寒林雪山》

「(《倣北宋寒林雪山》 は、)《倣北宋水墨山水》 と比較すると(中略)遠景が黒に置き換えられ、遥か遠方への繋がっていくイメージが閉ざされ、現実の世界とは異なる異世界のような印象に変わる。 自然の描写ではなく、 装飾的描写に変化する。この作品は、 近景ばかりでなく、遠景も省略し、中景をさらに強化しているように思われる。 古典的な素朴さとは異なり、 自然の厳しさを強調した冷たくて硬い隔絶感を感じる。 そして、 時間が止まっているような瞬間的な感覚も見出される」
重層描写をこれでもかと強化した《倣北宋寒林雪山》 の画面を眺めていると、飛び出す絵本のように山々が起き上がってくるように見えてくる。加山は中国水墨山水に描かれる山々を「神仙思想に彩られた怪異で霊的な山容」と評したが、彼自身もまた独自の手法によって北宋山水の絵画空間を生み出したのだといえる。

展示風景 加山又造《綸子色地猫薊文刺繡訪問着写し》

企画展示室の第Ⅲ章は「工芸」がテーマ。ここには加山が自ら筆をとって絵付けをした着物や帯が展示されている。加山は語る。
「着物の絵付は、衣装図案家の父が行っていた仕事である。私は幼い時からそれを見て育った。絵羽にした着物に絵を付けるとき、若くして逝った父への想いが心をよぎる。」着物の絵付けの仕事は、加山にとって挑戦し甲斐のある仕事だったのだという。

展示風景 加山又造/金重素山《金銀彩蔦文鉢》

企画展示室を離れ、「加山又造の陶器」がテーマである可動展示室の第一室へと移動。加山は1964年に加藤唐九郎と陶板タイル壁画を合作して以来、 金重素山、番浦史郎、 自身の長男・加山哲也、 東京美術学校時代の友人である十代大樋長左衛門や十三代今泉今右衛門らと陶磁の合作を重ねる。この部屋では、土や釉薬の調整により思わぬ変化を体感できる陶の表現の可能性に魅せられていた加山と昭和の陶芸の巨匠たちとの共作による魅力的な陶芸作品を見ることができる。

加山又造/大樋長左衛門《金銀彩蔦文鉢》 ©SIMOSE
加山又造/大樋長左衛門《織部からす文茶盌》 ©SIMOSE

可動展示室の第2室は、続く第3室に展示されている初期の野心作《蒼い日輪》にまつわる映像を、言わばその予告編として鑑賞するための部屋になっている。第3室はこの展示のためにブラック・キューブに設えられており、鑑賞者はその黒い空間の中でその《蒼い日輪》と否が応でも一対一で対峙することになる。まさにこの作品を鑑賞するための贅沢で心憎い演出だといえる。

展示風景 加山又造《蒼い日輪》 ©SIMOSE

燃えたぎる日輪によって焼き払われた森に僅かに残った木の上で、ボロボロになったカラスがそれでも必死で生きようと抗っている。筆者にはそんな光景に見えるが、加山と広島のつながりを知った今では、その日輪が炸裂する原爆のようにも見えてくる。もちろん、この絵に何を見るかは鑑賞者によって異なるのだろうが、これほどストレートに加山自身の魂の叫びが発露された作品も珍しいのではないか。そしてそれ故に本作は、時代を超えて見る者の魂をダイレクトに揺さぶる力を持つ。加山はカラスの姿にシンパシーを抱き、1950年代にはカラスをモチーフにした作品を多数描いているが、1959年に描かれた本作は、彼の孤高の精神が凝縮した傑作として風化することなく輝き続けるだろう。

加山又造《蒼い日輪》(部分) ©SIMOSE

可動展示室の第4室では、加山が1982年に中国の黄山を取材した時の映像が視聴できる。何万段もある階段を自分の足で登り、悪天候の中もガイドに命綱を握らせて岩の突起から身を乗り出して撮影するなど、加山の姿からは自分の水墨画を極めたいという執念が伝わってくる。

黄山を取材する加山又造 「黄山雲海(映像)」より ©SIMOSE

また、映像では中国の伝統的な技法である「三遠法」を元に加山が考案した「三つの視線を同時に画面の中に描き立体的に見せる」技法も解説され、実際の制作過程も見ることができる。続く第5室は第3室同様ブラック・ボックスに設えられており、晩年の傑作《黄山雲海》一点のみが展示されている。

展示風景 加山又造《黄山雲海》 ©SIMOSE
「黄山雲海(映像)」より ©SIMOSE

そんな贅沢な環境で本作に対峙すると、加山が水墨画に注いだ情熱と技術が結実した作品であることが、ひしひしと伝わってくる。加山由起さんによると、本作において加山が表現したかったのは「湿度」。日本画ならではの技法「垂らし込み」を使うことによって湿潤な空気を表現し、中国の黄山をモチーフとしていながらも、日本画として仕上げようとしていたことが見て取れるという。実際に垂らし込みの効果によって《倣北宋水墨山水》《倣北宋寒林雪山》 とは違う、日本的情緒も加味された加山又造ならではの黄山図が誕生した。

加山又造《黄山雲海》(部分) ©SIMOSE

可動展示室の第6室、第7室、第8室の展示は、下瀬コレクションの質量の両面における豊かさを実感させられる展示になっている。第6室では、杉山寧、小倉遊亀、中島千波、東山魁夷、奥田元宋、平山郁夫といった加山又造に同時期に活躍した日本画家たちの作品を、第7室では、加山と親交のあった小磯良平の油彩画の数々を鑑賞できる。

展示風景 エミール・ガレの花器 ©SIMOSE

最後の第8室で下瀬美術館が約60点を所有するエミール・ガレのガラス作品を堪能した後は、ガレの作品に登場する草花を中心に、瀬戸内の気候に合わせて約250の品種が植栽された庭園、その名も「ガレの庭」を散策することもできる。

エミール・ガレの庭 ©SIMOSE

本展の挨拶文は「故郷の京都で幼少年期に身に着けた日本古来の美意識と、敗戦を経て受けた衝撃と社会の変化の中で創作行為に向かった加山が、 自らの作品にどのような新規性を求め、日本の芸術の先端に立つ革新者として活躍したのかをご来場の皆様にご体感いただけましたら幸甚です。」という文言で締めくくられているが、まさにそれを体感できる展覧会だと断言できる。なお、下瀬美術館の展示ケースは非常に透明度が高いので、とても気持ちよく作品鑑賞ができることも言い添えておきたい。また本展では「ナイト・ミュージアム」として、日没後に可動展示室をライトアップし幻想的な演出を楽しむことができる試みも週末に行われている。5月24日(金)、25日(土) 17:00-20:00(入館は19:30まで)

ナイト・ミュージアム ©SIMOSE

最後になったが複合施設「SIMOSE」の美術館以外の施設についても紹介したい。
敷地内には「海辺の建築作品に泊まる。」をコンセプトとする合計10棟のヴィラがある。
敷地北側には水盤に面した「水辺のヴィラ」が5棟、南側には木々に囲まれた「森のヴィラ」5棟が配置されている。

坂茂 水辺のヴィラ キールステックの家 ©SIMOSE
坂茂 水辺のヴィラ キールステックの家 ©SIMOSE

水辺のヴィラは瀬戸内海の移ろいが間近に感じられる開放的な空間。一方、森のヴィラは板茂の遊び心が随所に光る個性豊かな空間。筆者は「水辺のヴィラ」に宿泊し、心身をリフレッシュすることができた。板茂建築というアート作品の中から、瀬戸内の海景という自然のアートを眺めるひと時は、「SIMOSE」がコンセプトに掲げる「アートの中でアートを観る。」ことを実感させられた時間であった。

坂茂 森のヴィラ 壁のない家 ©SIMOSE
坂茂 森のヴィラ 紙の家 ©SIMOSE

敷地中央に設けられたレストランには、広島近郊で育った肉や魚、有機野菜などを使った動物性脂肪を控えたメニューが用意されている。可能な限り壁を取り払った風通しの良い空間で瀬戸内の海景を眺めながら、地元の幸を生かしたフランス料理を楽しむことができる。シェフの心配りと豊富な経験が、料理のやさしい味わいに凝縮していると感じた。
瀬戸内の海辺に佇む複合施設「SIMOSE」は、海、空、緑、そして建築とアートがつながる特別な場所であった。

坂茂 SIMOSE French Restaurant ©SIMOSE
坂茂 SIMOSE French Restaurant ©SIMOSE

■展覧会情報
会期:2024年4月14日(日)~6月30日(日)
休館日:月曜日
開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
会場:下瀬美術館

■ナイトミュージアム
日時:
5月31日(金)、6月1日(土)、6月7日(金)、6月8日(土)、6月14日(金)、6月15日(土)、6月21日(金)、6月22日(土)、
6月28日(金)、6月29日(土)
時間:17:00~20:00(入館は19:30まで)

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