新型コロナウイルス感染防止のため4月3日より休館していたポーラ美術館が、6月1日よりサーモグラフィによる体温チェックや1日800人までを目安とした入館制限などを実施しながら再開。
同日より11月3日まで展示内容を変更し「モネとマティス―もうひとつの楽園」展を開催する。
同展では、19世紀から20世紀にかけて、急速な近代化や度重なる戦争などにより社会状況が混乱するなかで環境で生き、「ここではないどこか=楽園」へ憧れ、庭や室内など現実世界の中に「楽園」を作り出し、描いたモネやマティスが、いかにしてそれらの「楽園」を創りあげ、 作品へと昇華させていったのか、アトリエや庭を、描かれた作品とともに検証する。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初海外から借りる予定だった作品20点の展示を延期し、「睡蓮」の連作7点を含む、モネの初期から晩年までの作品34点とマティス34点、ほか同館コレクションのなかから関連作家の作品約20点を加えた、 約90点に内容を変更し、展示される。
マティスの作品は、日本国内でのコレクションが少なく、大規模展示は約10年ぶり。
そのほかスーラやルノワールなど二人と同時代に生きた芸術家の作品や、キュビスムやカンディンスキーの抽象絵画、ベン・ニコルソン、 ブリジット・ライリー、 マルコ・デル・レ等の近現代絵画を通じて、二人が生きた時代の芸術がより深く理解できる内容となっている。
◆開催概要
開催日:2020年6月1日(月)~11月3日(火・祝)※展示替えによる臨時休館あり
開館時間:9:00~17:00(最終入館は30分前まで)
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話:0460-84-2111
入館料:一般1,800円、大学生・高校生1,300円、中学生以下無料出品点数:約90点
出品作家:クロード・モネ、 アンリ・マティス、 カミーユ・ピサロ、 ピエール・オーギュスト・ルノワール、 オディロン・ルドン、 ジョルジュ・スーラ、 ピエール・ボナール、 ワシリー・カンディンスキー、 パブロ・ピカソ、 ジョルジュ・ブラック、 ベン・ニコルソン、 ブリジット・ライリー、 マルコ・デル・レ等
◆展示作品
▼モネとマティスに関連する新収蔵の展示作品(初公開)
錯視や視覚の原理を利用した絵画「オプ・アート」
なかでも本作品は、 ライリーが1980年から取り組んだストライプによる作品のうち
20世紀イギリスの抽象美術を代表する画家ベン・ニコルソン。 風景画、 静物画を描く一方で、 抽象絵画にも取り組んでいる。 セザンヌのほか、 ピカソやブラックなどキュビスムや、 モンドリアンらの抽象構成主義など新たな芸術の潮流を取り入れ。
なかでも窓の外に広がる港の写実的な風景と、 室内の静物の幾何学的な造形が融合されている。 窓を隔てた内と外のモティーフをひとつの画面上に再構成するとう空間表現における課題には、 マティスもまた繰り返し取り組んでいた。
ほか美術の歴史や神話、 文学に精通し、 古典的な教養と現代的な作風を融合させた、 現代イタリアを代表する画家マルコ・デル・レなども展示する。