2023年4月15日(土)~2023年5月14日(日)まで、京都市内各所で「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」が開催中!

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」は、世界屈指の文化都市・京都を舞台に開催される、日本でも数少ない国際的な写真祭だ。千年の長きにわたって伝統を守りながら、その一方で先端文化の発信地でもあり続けてきた京都。その京都がもっとも美しいといわれる春に開催される。
日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開し、ときに伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある写真祭を目指している。

第11回目を迎える今年は「BORDER」をテーマに、京都⽂化博物館別館、⼆条城⼆の丸御殿台所・御清所、両⾜院、出町桝形商店街など19カ所を会場に、15のメインプログラムを展開している。

世界倉庫では、ジャマイカ系イギリス人の写真家、デニス・モリスによる、1960~70年代のイーストロンドンのカリブ系移民たちの生活を追体験する展覧会「Colored Black」を開催。

第二次世界大戦後の復興に必要な人材を確保するために、英国政府はコモンウェルス(英連邦)構成国の人々に英国への移住を呼びかけた。数多くのジャマイカ人が、より良い暮らしを手に入れるためにこの「招待」に応じた。カリブ海諸国から英国に渡ったこれらの人々は、「ウィンドラッシュ世代」※と呼ばれている。

デニス・モリスもそうした多くの人々の一人だった。
60年代、まだ少年だったモリスは母親とともにジャマイカからロンドンへやってくる。モリスは、ダルストン地区の教会の寄進者であり、聖歌隊の創設者でもあったドナルド・パターソン牧師を通じて写真と出会う。やがて自分のまわりの身近な人々や地域社会の様子をカメラで記録しはじめたモリスは、ジャマイカ人ミュージシャンのボブ・マーリーの後押しもあり、写真家として特に音楽業界で卓越したキャリアを歩んでいくことになる。

本展のモリスの写真を通じて追体験するカリブ系移民の人々の暮らしは、さまざまな苦難にもかかわらず、前向きで熱意にあふれ、誇り高いものに感じられる。より良い生活を手に入れたいという彼らの強い思いが伝わってくる。
それは、カリブ系移民たちに対する呼称が、「カラード」(有色人種)から、力強く、ポジティブで、大きな影響力を持つアイデンティティとしての「ブラック」へと変化してきた時代と、モリスの写真史とがぴったりと重なっているからなのだろう。

※移民の第一陣を乗せてきた商船「エンパイア・ウィンドラッシュ号」にちなんで名付けられた。

アーティストプロフィール

デニス・モリス / Dennis Morris
1960年生まれ、イギリス出身。
9歳のときに写真をはじめ、11歳の時に英国の主要日刊大衆紙『デイリー・ミラー』にて作品が掲載される。
レンズを通じ非凡な人物たちの真髄に迫り作品を発表している。
1974年には、ボブ・マーリーの初の全英ツアーに同行。
音楽シーンと密接に関わり、ボブ・マーリー、セックス・ピストルズ、マリアンヌ・フェイスフルのアルバムのカバーなど、人々の印象に深く残るアイコニックな写真作品を多数発表している。
また、イギリス・サウスオールのシーク教徒のコミュニティの本質をとらえ撮影した作品群がイギリス政府のイングリッシュ・ヘリテッジに所蔵された。
主な刊行物に、ボブ・マーリー写真集『A Rebel Life』、セックス・ピストルズ写真集『The Bollocks』などがある。
モリスの作品は、今日美術館(北京)、ラフォーレミュジアム(東京)、アルル国際写真祭(フランス)、The Photographers’ Gallery(ロンドン)、The Institute of Contemporary Arts(ロンドン)、テート・ブリテン(ロンドン)、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、ロックの殿堂(アメリカ クリーブランド)など世界各国で展示されている。
主な所蔵先に、テート・ブリテン、ナショナル・ポートレート・ギャラリー(ロンドン)、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)などがある。

キュレータープロフィール

イザベル・シャラール / Isabelle Chalard
ロンドン、ロサンゼルスを拠点に活動しているインデペンデント・キュレーター。
写真と現代中国美術を主軸とした独自のキュレーション活動を行っている。
少数精鋭のアーティストや写真家とコラボレーションし、洋の東西に橋を架けている。
イギリスの名門芸術大学と協働し交換留学プログラム(Red Mansion Art賞)を設立、地域特化のプロジェクト(アイ・ウェイ・ウェイ、ヤン・フードン、ツァオ・フェイらと共同でサーペンタイン・ギャラリーにてChina Power Station 展の開催など)、レジデンシーや数多の国際的な芸術展での展示(北京の今日美術館、フランスのアルル国際写真祭、第10回イスタンブール・ビエンナーレ、東京のラフォーレミュージアム等)など、様々な芸術活動を手がけている。

開催概要

開催日:2023年4月15日(土)~5月14日(日)
時間:11:00~19:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月18日(火)・25日(火)、5月9日(火)
会場:世界倉庫
住所:京都市下京区筋屋町144
アクセス:地下鉄烏丸線「四条」駅 5番出口から徒歩6分
阪急「京都河原町駅」から11番出口から徒歩5分
入場:大人 1,000円、学生 800円(学生証の提示)

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