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繁華街・梅田と心斎橋のちょうど中心に位置する中之島・北浜。京都、神戸にも行きやすく、ビジネスの中心地でありながら、カフェやグルメ、最先端のショップが集まった大阪の川風景を代表する「粋」なエリアだ。

そんな中之島・北浜エリアで、北浜の古いビルをリノベートして開業されたTHE BOLY OSAKAは、全14室のコンパクトなホテルだが、大阪のヘリテイジと次世代の感覚が融合した独自のムードを醸し出す。

そんなTHE BOLY OSAKAでは、2023年1月28日(土)~2月13日(月)まで、「Study:大阪関西国際芸術祭 2023」のプログラムの一つとして、石毛健太とやんツーによる展覧会「エッセンシャル・クリティカル・インフラストラクチャ」が開催中だ。

「Study:大阪関西国際芸術祭 2023」とは

2025年に世界最大級のアートフェスティバル「大阪関西国際芸術祭」の開催を目指し、「アートとヒト」「アートと社会」の関係性や、アートの可能性を検証し学ぶ(Studyする)ためのプレイベントだ。

第2回となる今回は、関西に縁あるアーティストの展覧会をはじめ、国内外のギャラリーが出展し誰もが作品購入を楽しめるアートフェア、そしてアートの可能性を引き出すべくテーマ性を持ったカンファレンスの実施、さらにはレストランを会場に、期間限定で食とアートのコラボレーションを実現するアートダイニングなど、芸術祭会期の17日間、アートを『みる』『買う』『食す』『学ぶ』、多彩なプログラムを実施する。

パンデミックによって、人々は移動を控え、オンラインが活況を呈した反面、物資の移動が飛躍的に増加し、エッセンシャルワーカーとともにエッセンシャルなインフラストラクチャである道路や物流システム、倉庫などへの依存が露わになった。美術館や芸術祭でもアーティストの移動が困難となり、作品のみ搬送するケースもあった。

そんな都市や環境における人の移動や、資本主義社会とロジスティクスの関係に目を向けてきた石毛健太とやんツーは、近年物流に関わる作品をそれぞれ発表してきた。

本展では、そんな二人が北浜のBOLYという土佐堀川に面したブティックホテル全館で、物流に正面から向き合う。土佐堀川は水都・大阪の重要な運河(インフラ)であり、江戸時代から水運が多くの人や物資を運んできた場所であり、ホテルは人が移動の途中で滞在する、いわば人という物流の停泊地だ。

10年間の営業を想定し、築約60年の建物を改装して生まれたBOLYは、オープンしてまもなくコロナ禍に直撃、観光客が戻りつつある現在がちょうど折り返し地点にあたる。そのホテルのB1Fから1-6Fへと至る非常階段、そして屋上が「エッセンシャル・クリティカル・インフラストラクチャ」の舞台だ。

彼らは関東を拠点にする自らと、作品が大阪に移動し戻ることを「物流」と見なし、作品の運搬だけでなく、今回の搬送プロセスを記録した動画を披露する。加えて石毛は、ロジスティクスにまつわる平面やマクロな物の動きの中で制作された作品、雑草の繁殖と物流を扱う作品を出展する。やんツーは、「作品に海をみせる」(2022)を含む、同作品の発展形としての平面作品を展示する。展示の流れは、B1Fのスペース(両作家の作品)、階段部分(両作家の動画+BOLYが常設する作品)、屋上(石毛のインスタレーション)となっている。

地下空間から非常階段を巡った後にたどり着く屋上からの見晴らし、土佐堀川や対岸の大阪の近代建築群などは、普段視えないインフラから可視的なインフラへと転換する体験となる。それは同時にBOLYという旧い建物の裏と表のインフラ(改装部分)のコントラストを感じ、その境界領域を目撃することでもあるだろう。

本展ではまた「水」の流れやインフラが背後のテーマとなっている。

土佐堀の水と同じレベルにあるB1F(実際土佐堀に近接している)では微かに浸み出し、下水管から水音が響いている。そして屋上からは土佐堀の水面を見下ろすことになる。物流としての作品、人、そして水。下から上へ、表から裏へ、過去から未来へ。

「エッセンシャル・クリティカル・インフラストラクチャ」は、様々な物流が交差する大阪、北浜、BOLYの今を寡黙かつ饒舌に切り取っている。

「物流」ということで、今回はやんツーが群馬と神奈川の保管場所から作品を運搬するも、雪に見舞われて高速で停滞。石毛健太は金沢から来る予定が、関西に入らずに東京に戻ったうえで夜行バスで向かうも、夜行バスが停滞し、かなり搬入が遅れたという。実際に物流的な問題がプロジェクトの中に入ったということも含めて、ぜひご覧いただきたい。

屋上には石毛健太のスーツケースを加工した作品がある。一昨年にワタリウム美術館主催の展覧会「水の波紋2021」に出展した作品で、期間中、原宿から神宮前辺りにこのスーツケースを散在させた。

《Alien Carrier》は、エイリアンという外来種や外来者という意味合いで、もともとそういった旅が運搬されるというテーマに合っていたため、今回展示するに至ったという。

大阪の地でも、この屋上に置いておくことで、草木が育ち、空気中に漂ういろんなものを取り込んでいくというコンセプトだ。

やんツーコメント

静岡県御前崎市には浜岡原発があって、その西側には砂丘があるのですが、もし今後何かあったら、この海が見られなくなる可能性があるなと思いました。そういう海を僕も見たことがないので、作品と一緒に見たいと思ったんです。作品をある種、大事な他者として捉えて最初に降り立ったわけですね。

戦時中、浜岡砂丘には最前線で敵を監視する施設などもあったので、最初はそこで展示しようと思っていました。しかし、ロケハンをして海が望めなかったので、やっぱり砂丘だと思いました。夜中に駐車場で開梱して設営しようと思ったのですが、パネルが非常に大きいので、すごく大変なんです。3枚組のパネルを砂丘まで運んで、砂丘を一回越えなきゃいけないので、非常に足腰にきますし、足も砂に取られるという。そうやってちょっと崖になって植物が生えたところにたどり着いて、ここだと設置場所を決めて展示しました。そんなふうに夜中に設営して、次の日の昼間に砂丘で展示を行いましたというドキュメントです。

中には事件も起きました。写真家の萩原楽太郎さんが僕といい画を撮りたいと言い出したんです。そこで砂丘のてっぺんに木材を買って自立させて撮ろうと、パネルを3枚連結させました。そしたら風がすごく吹いてきて、やばかったので、僕が手で立ててるその瞬間に、写真を撮ってもらいました。僕が自立するように加工しているシーンなのですが、その背景には原発を望んでいるというかなり象徴的なシーンになりました。そして僕が手でパネルを立てた瞬間、あの巨大なパネルが吹き飛びました。

途中で雲行きが怪しくなって、吹雪に見舞われることもありました。2車線を塞いだ状態でスリップして、そこから動けなくなって、1時間ぐらいネクスコに電話するなどしたのですが、誰も電話に出ないしどうしようかと思いました。でもそのとき目の前の車がそろ~っと動いたんです。そこで横に滑りながら脱して藁地に入り、そこから時速10kmでそろそろと動きはじめたんですね。スリップして逆向いちゃっている車とか、もうすごかったですね。

作家コメント
ここで事件が起きます。写真家の萩原楽太郎さんが僕といい画を撮りたいと言い出して。
じゃあ、もう砂丘のてっぺんに木材買って自立させて撮ろうと、パネルを3枚連結させました。そしたら風がすごく吹いてきて、これはやばいってなって。じゃあ僕が手で立ててるからその瞬間に、写真を撮ってくれっていうところで、僕が自立するように加工しているシーン。背景に原発を望んでいるという。かなり象徴的なシーン。これだけ大きく写ってます。僕が手でパネルを立てた瞬間、あの巨大なパネルが吹き飛びました。

石毛健太 作品

開催概要

開催日:2023年1月28日(土)~2月13日(月)
時間:11:00〜19:00 ※最終入場は閉館30分前
住所:大阪府大阪市中央区北浜2丁目1−16
アクセス:京阪電車 京阪本線 「北浜」駅 22番出口より徒歩1分
大阪市営地下鉄 堺筋線 「堺筋本町」駅 1A出口より徒歩12分
大阪市営地下鉄 御堂筋線 「淀屋橋」駅 1番出口より徒歩5分
共通パス:不要
※展示室までは階段のみとなります

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アーティスト&キュレータートーク
日時:2023年2月13日(月)※時間未定
会場:THE BOLY OSAKA