日本のシュルレアリスムの展開を通じて、シュルレアリスムの誕生から100年にわたる軌跡を堪能できる「シュルレアリスムと絵画」展が、2019年12月15日よりポーラ美術館で開幕した。
本展では、シュルレアリスムの受容が日本の絵画に独自の発展を促しただけでなく映画や漫画にも広く浸透した様相にも注目。日本独自の「シュール」の展開をしめすものとして、 成田亨のウルトラマン原画や、本展のために描かれた現代美術家の束芋によるウォールドローイングも展示される。

Photo:Ken Kato 束芋と本展のために描いたウォールドローイング

“眼は、 野生の状態で存在する”
(理性を排した眼で世界を見ることで、 思い込みや常識にとらわれずに現実を捉え直すことができる)
ーアンドレ・ブルトン『シュルレアリスムと絵画』

かつてそうブルトンは論じたが、巨大なシュールな眼から始まる本展では、シュルレアリスムの絵画を覗き見るように楽しむことができる。

◆開催概要
開催日:2019年12月15日(日)~2020年4月5日(日)

開館時間:9:00~17:00(最終入館は30分前まで)
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285

電話:0460-84-2111
入館料:一般1,800円、大学生・高校生1,300円、中学生以下無料

◆展示詳細
Chapter1 シュルレアリスムの誕生 ―1920年代、 復興と閉塞から
第一次世界大戦終結後の復興の陰で、 アンドレ・ブルトンを中心にした若い詩人たちは、 無意識の世界を探求する芸術運動「シュルレアリスム」を展開した。 彼らは積極的に画家たちとの交流を深め、 ブルトンは1928年に『シュルレアリスムと絵画』を刊行し、 絵画におけるシュルレアリスムの可能性を示した。 第1章ではシュルレアリスムの創成期に関わりのあった作品を紹介。

Photo:Ken Kato 展示室風景

Chapter2 超現実に触れる -エルンストとダリ、 物質とイメージをめぐる絵画
エルンストはコラージュやフロッタージュ(こすり出し)という素材と物質の実験的な手法を用いて思いがけないイメージを生じさせた。 一方、 ダリは特定のイメージを執拗なまでに反復したり、 過剰な意味を読み込むことで、 いくつもの異なる意味を引き出し変容させる独自の「偏執狂的=批判的」方法によって絵画を制作し、 人気を博した。

Chapter3 「シュール」なるもの ―1930年代、 日本における超現実主義
1930年代には、 同時代の海外作家の作品が展示される機会が増え、 日本の前衛的な画壇でシュルレアリスムの影響を受けた作品が流行。 第二次世界大戦が迫り不穏な閉塞感が漂う日本において、 シュルレアリスムは禅など仏教的な思想と結びつき、 やがて「シュール」と略される独自の表現として展開した。

Chapter4 シュルレアリスムの戦後 ―吉原治良と瑛九たち
日本では戦後に日本の抽象絵画を牽引する吉原治良をはじめ、 戦前にシュルレアリスムを経験した画家たちが、 独自の抽象的な表現を追求。 シュルレアリスムが開拓した実験的な技法や不条理な世界観は、 映画や漫画の世界にも影響を与え、 今日的な「シュール」な感覚に影響を及ぼしている。

Photo:Ken Kato 成田亨作品等の展示風景

Photo:Ken Kato 束芋作品展示風景

詳細はこちら