2021年9月1日~13日、日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリーにて、現代美術家・西野壮平の個展「東海道 西野壮平 展」が開催中だ。
私は、カメラを手に都市を歩いて移動し、遭遇した事物や出来事を、さまざまなアングルから撮影する。そして、写真として切り取った都市の断片を、地図に即して一枚一枚キャンバス上でつなぎ合わせ、「記憶」を再構築する。
(『ONBEAT vol.14』西野壮平特集より)
本展では全長34mにも及ぶ巻物状の新作「東海道」を発表。本作は、歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」の足跡をたどるように旧東海道(東京 日本橋~京都 三条大橋まで)を歩き、完成まで3年以上かけて撮影・制作された作品だ。また、巻物の中から切り取られた写真作品約19点も展示する。
広重が歩んだ江戸時代とは、東海道の風景も「道」としての機能も大きく異なる。江戸時代には巡礼路として、また人が「歩く」ための道として機能していた東海道も、今では主に車による物流のための道として機能している。しかしそれでも今なお歩き疲れて休憩したくなるちょうどよい位置に宿場町は存在する。
そうして昔の人々の気配と痕跡を探し求めながら歩くことは、「歩く」ということの人間の原始的な感覚と、その意味を確かめる時間であったのかもしれない。
(『ONBEAT vol.14』西野壮平特集より)
西野の旅を記録した写真作品は、近代化した社会の在り方を問いかけるとともに、パンデミックにより自由な旅を楽しむことが難しい今、かけがえのない日常を思い起こさせる。
開催概要
開催日:2021年9月1日(水) ~ 9月13日(月)
開館時間:10:00〜19:00(最終日は17:00まで)
住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店 本館6階 美術 コンテンポラリーギャラリー
『ONBEAT vol.14』では西野壮平 特集を掲載しています