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【本誌アーカイブ】映画界の美術監督たち 都築雄二(vol.15)

赤塚佳仁 (左) と都築雄二 (右) 東宝撮影所内 都築雄二デザイン室にて。 撮影:成富綾乃

映画界の美術監督たち  都築雄二 聞き手=赤塚佳仁(映画美術監督) 構成・文=成富綾乃 2021年11月15日発行『ONBEAT vol.15』掲載

『バクマン。』集英社 ジャンプ編集室 スケッチ。 映画に登場する 「編集部」 の机は、 個性あふれる本物の編集部の机を一つずつ撮影し、それを再現することで、 本物の編集部員たちが“僕の机がある!” と驚嘆するほどリアリティを感じさせるものになった。


『バベル』『キルビル』『ブラックレイン』など著名なハリウッド映画作品の美術にも携わり、ハリウッドのアカデミー会員である映画美術監督の赤塚佳仁が、映画における美術監督の仕事に迫るべく、日本映画界注目の美術監督たちにインタビューを行う連載企画。その第一回は『バクマン。』や『全裸監督2』の美術を手掛けた映画美術監督の都築雄二を紹介する。

“空気をデザインする美術”と役者を“その気にさせる美術”

ー『ラストレター』(岩井俊二監督、2020年公開)の舞台は仙台ですが、その美術は非常にリアルで、本当にその街が仙台に存在するかのように思わせます。繊細な物語に寄り添い、役者の演技を引き立てる いわば「空気をデザインする」美術のように感じました。

都築:基本的に映画製作は、存在しない世界の存在しない物語を作ることですが、その物語にリアリティを持たせるために一番有効なのは、実在する世界の中に物語を作ることです。また映画は感情をゆさぶることが得意な媒体ですが、実は一番得意なことは時間を共有することなんです。誰しもが共通して持っている時間を切り取って見せることで、その物語があたかもそこに存在しているかのように見せることができるんです。ですから僕の仕事は、登場人物たちが歩む道や時間を、実際に順に歩いて探して、どこをどうやって切り取るのか交通整理することでもあります。例えば「ラストレター」は全てロケーション撮影だったのですが、そのロケハンではまず主人公の「岸辺野裕里(松たか子)」が育った街を探し、次に育った家や通った学校、その後結婚して家族と暮らしている家・・・というふうに物語の時系列とともに、場所も都市から街、通り、家、部屋と段々とフォーカスしていくように探していきました。そうしてバランスが悪い部分があれば「馴染ませて(再構築して)」いきます。このように撮影場所を個々に探すのではなく、時系列的にも場所的にも地続きな場所を選ぶことで、仙台という実在する地方都市の生活感や日常を活かした美術になったと思います。

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