桃⼭時代の茶⼈たちは、器のヒビに美を⾒出し、あえて⾦で修復することで、欠点を個性に⽣まれ変わらせる「継」という技法を使っていた。中には割れていた器を継ぐだけでなく、わざと器を割ってつなぎ直したり、さらには⽋けた部分に別の器の破⽚を組み合わせる「呼継ぎ(よびつぎ)」ということも⾏われていたという。
この伝統的な「継」の技法を使い、新しく独創的な作品を⽣み出し続けているガラス造形作家・⻄中千⼈の作品が、2020年12⽉15⽇(⽕)〜1⽉15⽇(⾦)銀座 蔦屋書店の日本美術コーナーに展示中だ。⽇本伝統⽂化である「継」に根差した新しい表現の可能性をぜひ感じてほしい。
なお、作品展示に合わせて12⽉18⽇(⾦)には、創作への想いについて語るトークイベントも開催される。

◆アーティストステイトメント
今の⾃分を越えるために、⾃ら作った器を叩き壊す。 ただ、⽣まれ変わり未来を⽣み出すために。
世界中で⽋点とされる器のヒビに美を⾒出し、あえて⾦で強調して修復し、個性的に⽣まれ変わらせた桃⼭の茶⼈の美意識。
⽇本独⾃の『継』の美意識は世界に誇る哲学として、私⾃⾝の表現の礎となっています。美しい器を割る時は今でも⼼が怯むことがあるけれど、壊すことで超えられる事象がある。
「過去の延⻑上に未来は無い、未来は⽣きている我々が創る」と信じています。

◆作家プロフィール
ガラス造形作家。1964年 和歌⼭市⽣まれ。
星薬科⼤学薬学部卒業後、薬剤師免許取得。カリフォルニア美術⼤学で彫刻とガラスアートを 学ぶ。「命の煌めき・再⽣」をテーマに、古の⽇本の美にインスパイアされた独⾃のガラス表現を追求。代表作は⾦継の美意識を礎とした「ガラスの呼継」と 命のつながりをメッセージとした「ガラスの枯⼭⽔」。近年は資源循環で持続型社会を⽬指すアート( SDGs x ART)に取り組む。パリ装飾美術館「ジャポニスムの 150 年展」(2018年)、⾹港⼤学美術博物館「藝流不息展」(2019年)やイギリス、フランス、アメリカ、⾹港のアートフェアに毎年出品。2019年に創作活動歴30年を迎えた。
第1回ガラスの美展 in 薩摩 ⼤賞、WIRED 主催 CREATIVE HACKAWA RD 2013 グラフィック賞、ドイツWorld Media Festivals ⾦賞 等受賞。世界初リサイクルガラスの枯⼭⽔「つながる」を2019年5⽉京都法然院に奉納。世界最初の大学博物館であるオックスフォード大学 アシュモレアン博物館(イギリス)に呼継盌「黎明」と呼継茶入「有明」が収蔵された。
毎年約2ヶ⽉間⽇本を離れ、⾃分を⾒つめ直し過去の集積をリセットする旅に出る。世界54ヵ国を巡った異⽂化体験は創造⼒の源。「未来の伝統を今、作る」を哲学として活動。2002年 千葉県茂原市に⼯房を築き、以後 都市⽣活との程よい距離を保っている。
Web site:https://www.nishinaka.com

◆「ガラス造形作家 ⻄中千⼈ ガラス呼継 ―叩き壊して⽣まれ変わる―」開催概要
開催日:2020年12⽉15⽇(⽕)〜1⽉15⽇(⾦)
時間:10:30~20:30
作家在廊:12⽉15⽇(⽕)、24⽇(⽊)、2021年1⽉9⽇(⼟)
住所:東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F 銀座 蔦屋書店

◆ガラス造形作家 ⻄中千⼈ トークイベント 開催概要
開催日:2020年12⽉18⽇(⾦)
時間:19:00〜20:00
定員:30名(参加無料)
場所:BOOKイベントスペース

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