世界で脚光を浴びる振付家 ダミアン・ジャレと、京都発の彫刻家 名和晃平による必見のコラボレーション作品が今週末、ロームシアター京都で上演!

文=藤田博孝(ONBEAT編集長)

©Rahi Rezvani

 

ダミアン・ジャレと名和晃平による舞台作品『Planet[wanderer]』が、今週末(11月8日[土]~11月9日[日])ロームシアター京都で上演される。
本来2020年と2022年に同会場で上演予定だったにも関わらず、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期され、日本国内での上演が長らく待たれていた作品だ。
先立って上演された東京公演(2025年11月1日[土]~3日[月・祝])も大好評を博した。

ダミアン・ジャレの身体表現の可能性を拡大するような振り付けと、名和晃平の異世界を創造するような舞台美術の融合が生み出す世界は、見る者に啓示を与えるほどの魔術的な力をもつ。
新たな知覚の扉を開くであろう『Planet[wanderer]』の世界に没入できるこのチャンスをどうぞお見逃しなく!

©Rahi Rezvani

©Rahi Rezvani

ダミアン・ジャレ(コンセプト・振付)のコメント
『Planet [wanderer]』はこれまで世界各地で上演されてきましたが、 日本の観客の皆様は、この作品のコンセプトの背景と表現形式の両方に見られる、計り知れないほど多くの深くの日本的な文化的要素をすぐに認識されることでしょう。 この作品は日本でこそ、他の国では成し得ないほどの共感を得ると信じています。
例えば、 古事記における 「葦原中国」、 京都の枯山水、 雅楽が未来的なエレクトロ・アコースティックな層が対話するティム・ヘッカー氏の音楽、 8人のダンサーの一つ一つの動きに見られる儀式的な正確さとテンポ、 吉本有輝子氏が作り上げた心を捉える陰影に富んだ照明デザイン、作品の中核をなすダンサーの湯浅永麻氏の力強いパフォーマンス、 そしてその他にも数多くの要素が盛り込まれています。
本公演は、私が名和氏とのコラボレーションを始めて10周年という節目でもあります。名和氏は今や私にとって最も重要なコラボレーターの一人であり、彼からは本当に多くを学んできました。 11月に東京と京都でお会いできることを楽しみにしています!

名和晃平(コンセプト・舞台美術)のコメント
ロームシアター京都は2016年秋に 『VESSEL』 を初演した劇場であり、 その成功が、 以後の継続的な舞台作品制作の契機となったといっても過言ではありません。 いわば、10年以上にわたるジャレとのコラボレーションの原点にあたる記念すべき場所です。 三部作のひとつである『Planet [wanderer]』 もこの流れの中に位置づけられ、 これは今年5月にスイス・ジュネーヴで初演を行った最新作 《 Mirage 》 へとつながる極めて重要な作品です。 本来、2020年および2022年にロームシアター京都で上演予定でしたが、 新型コロナウイルスの影響によって叶いませんでした。 今回ようやく公演が実現することを、心から嬉しく思っております。

 

なお、今月25日発売予定のバイリンガル美術情報誌『ONBEAT vol.23』では、ダミアン・ジャレと名和晃平がコラボ作品『Planet [wanderer]』と『Mirage』について語るインタビューを巻頭特集しています。
会場では、二人のサインが入った『ONBEAT vol.23』
(特集「名和晃平 近年の仕事を語る」を併載)100冊限定で先行販売いたします。※売り切れ次第、販売終了となります。

『ONBEAT vol.23』より

『ONBEAT vol.23』

 

『Planet [wanderer]』とは

プレスリリースより
『Planet [wanderer]』は、2016年秋にロームシアター京都で世界初演を迎えた『VESSEL』*に続く作品です。『VESSEL』が日本最古の書物『古事記』の二つの世界、すなわち「黄泉の国(死者の世界)」と「高天原(神の住処)」を描いたのに対し、『Planet [wanderer]』は三つ目の世界である「葦原中国」—私たちが生きる世界を舞台にしています。本作では人間が葦のように、力と脆さ、調和と生存、破壊と進化の間に揺れ動く様子が表現されます。副題の「wanderer」は、「Planet(惑星)」の語源となるギリシャ語に含まれる「さまようもの」という意味とも呼応しています。生者と死者の境界線で、人間の身体と宇宙世界の構成要素や重力の不可分な関係を描き出す本作は、日本の彫刻家と欧州の振付家の共同作業ならではの唯一無二の世界観を提示します。
*『VESSEL』: 2020年ローレンス・オリヴィエ賞最優秀新作ダンスノミネート

開催日時・会場

日時:2025年11月8日(土)~ 11月9日(日)

8日(土)19:00開演
9日(日)15:00開演 *託児あり
※上演時間:60分

会場:ロームシアター京都 サウスホール

お問い合わせロームシアター京都 チケットカウンタ― TEL:075-746-3201

チケット料金:全席指定(税込)
一般(一階席):7,000 円/会員特別価格 6,300 円
一般(二階席):6,000 円/会員特別価格 5,400 円
ユース(25 歳以下):3,000 円
18 歳以下:1,000 円
※未就学児入場不可。中学生以上推奨
※演出の都合上、開演後は場内にお入りいただけない時間があるほか、ご予約のお席にご案内できない場合がございます。
※18歳以下およびユース(25歳以下)チケットは、公演当日、受付にて年齢が確認できる証明書(学生証、免許証等)をご提示ください。

公演・作品について

キャスト・スタッフ

コンセプト・振付:ダミアン・ジャレ
コンセプト・舞台美術:名和晃平
音楽:ティム・ヘッカー
照明:吉本有輝子
衣装:スルリ・レヒト
サウンド・デザイン・コラボレーション:グザビエ・ジャコ
振付アシスタント:アレクサンドラ・ホアン・ジルベール
Outside Eye:カタリナ・ナヴァレテ・エルナンデス

出演:
ショーン・アハーン
エミリオス・アラポグル
カリマ・エル・アムラニ
フランチェスコ・フェラーリ
ヴィンソン・フレイリー
クリスティーナ・ギエブ
アストリッド・スウィーニー
湯浅永麻

ダミアン・ジャレ

ダミアン・ジャレDamien Jalet ©Rahi Rezvani

ダミアン・ジャレDamien Jalet
振付家・ダンサー。ダンスをはじめ、視覚芸術、音楽、映画、舞台、ファッションなど、その活動は多岐にわたる。名和晃平との協働作品に、『VESSEL』(2016年)、映像作品『Mist』(2021年)、『Planet [wanderer]』(2021年初演)がある。近作では、2023年11月にアーティストのJR、作曲家トーマ・バンガルテルとのコラボレーションにより、パリ・オペラ座のファサード足場を舞台に、アマンディーヌ・アルビッソンをはじめとする154人のダンサーが踊る『Chiroptera』を創作。2024年9月には、名和晃平と再びコラボレーションし、THEATER 010(福岡)で『Mirage [transitory]』を上演した。映画では、ルカ・グァダニーノ監督によるリメイク版『サスペリア』(2018年)、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ANIMA』(2019年)にて振付を担当。2022年、フランス芸術文化勲章オフィシエ章を受章。

名和晃平

名和晃平 ©Michael Somoroff

名和晃平Kohei Nawa
彫刻家。1975年大阪府生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。京都芸術大学教授。
2011年東京都現代美術館で個展「名和晃平‐シンセシス」開催。2017年、ポンピドゥー・センター・メッスで開催された「ジャパノラマ」展に参加。2018年7月から2019年2月にかけて、パリのルーヴル美術館ピラミッドにて、日仏合同プロジェクト「ジャポニスム 2018」公式企画のひとつとして、彫刻作品《Throne》が展示された。2023年、フランス・セーヌ川のセガン島に高さ25mの屋外彫刻作品《Ether (Equality)》を恒久設置。平成23年度(2011年)京都市芸術新人賞受賞。

 

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