ファッションデザイナー 中里唯馬が発起人となっている
「FASHION FRONTIER PROGRAM」が2024年も開催された
文=ONBEAT編集部、写真・動画=FASHION FRONTIER PROGRAM 事務局提供、会場展示写真=藤田絋那撮影
勇気と志を持った未来のファッションデザイナーを発掘し、称え、そして育む事が、ファッション業界だけでなく社会全体が良い方向へ変化していく原動力となると考え、ファッションデザイナー 中里唯馬が発起人となって2021年に創設された「FASHION FRONTIER PROGRAM」。
人間は、衣服がなければ生きていくことはできない生き物であり、その衣服が与える環境や社会に与える様々なインパクトは、決して小さい物ではない。一説には、80%の環境負荷はデザインのプロセスで決まってしまうと言われる。弊誌「ONBEAT vol.21」の生駒芳子による連載企画「服飾・芸術・伝統工芸」でも中里氏がアフリカ・ケニアの衣服のゴミの山を訪ね、そこから新たなクリエイションに挑戦する取り組みを描くドキュメンタリー「燃えるドレスを紡いで」を取り上げファッションの源と未来について考察している。
「FASHION FRONTIER PROGRAM」が目指すのは、ファッションデザインに新たな評価基準を作ること、そして新たな学びの場を作り、ファイナリストのクリエーションと共に社会に問いを発信していくことで未来を変えていこうという、アクティビズムでもある。ファイナリストには、ソーシャルレスポンシビリティ(社会的責任)とクリエイティビティ(創造性)を併せ持つ衣服のデザインを具現化し、様々なジャンルのサポーターやアドバイザーからの学びの機会や、技術サポート、そして、作品発表の機会を提供される。
今年で4回目を迎える「FASHION FRONTIER PROGRAM」は、会期を重ねるごとにレベルの向上を感じるという発起人の中里氏。物理的な品質としてのクオリティの話だけではなく、このプログラムとは何なのかという輪郭がよりはっきりし、参加者もそれらを認識し、より覚悟を持って挑んできてくれているからこそ、熱量の高まりを感じているという。参加者は、年齢や職業だけでなく、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカと様々な場所から参加している。それぞれ文化や価値観も大きく異なるからこそ、みんなとても個性豊かで、これらの多様な有り様をどのように評価していくべきなのか、審査は白熱したものになり、議論はより複雑になったそうだ。
これからの時代において、人間はどのような衣服を纏うべきか。ファイナリストたちの作品が、みんなで未来を考えていくこときっかけを作ってくれた。
須田美咲 Misaki Suda “Forest Clothes : In the glow” | 審査員 渡辺三津子氏とグランプリ 須田美咲 |
富山聖 Kiyoshi Tomiyama “KEMMUN” | 審査員 寒川裕人氏と準グランプリ 富山聖 |
村田充生 Mitsuki Murata “WE WANNA 農!!!” | 審査員栗野宏文氏と準グランプリ村田充生 |
2024年度ファイナリスト / FFP 2024 finarist サンドラ・ジャオ / Sandra Jao “Carapace” | 2024年度ファイナリスト / FFP 2024 finarist :鈴木舞 / Mai Suzki ”三七〇°” |
2024年度ファイナリスト / FFP 2024 finarist :中巛ルナ / Luna Nakagawa “Memento Vitae in Plastica” | 2024年度ファイナリスト / FFP 2024 finarist :Hakizimana Singizwa Bertrand ”KuBaLi” |
2024年度ファイナリスト / FFP 2024 finarist :岩井巽 / Tatsumi Iwai “生ま / Born” | 2023年度受賞者 / FFP 2023 runner-up :池部ヒロト / hiroto ikebe “繭を纏う/Clothed in cocoon” |
2023年度受賞者 / FFP 2023 runner-up :ジュリア・モーザー / Julia Moser “Ephemeral iron. Aesthetics of decay” | 2023年度受賞者 / FFP 2023 grand prize :川尻優 / Yu Kawajiri “纏綿/Tenmen” |