渋谷慶一郎、ピアノソロコンサート「Living Room」開催
ゲストはヴァイオリニスト・石上真由子、ステージデザインは妹島和世
文=ONBEAT編集部、写真=オフィシャル提供
先鋭的な電子音楽やピアノソロ、オペラや映画音楽、サウンドインスタレーションなど、東京とパリを拠点に多岐にわたって活動を行っており、弊誌『ONBEAT vol.20』でもインタビューにてその音楽的変遷を語ってくれた音楽家・渋谷慶一郎が、2024年12月19日(木)紀尾井ホールにて2年ぶりのソロコンサートを開催する。
『Keiichiro Shibuya Playing Piano – Living Room』と題され今回のコンサートでは、ゲストにヴァイオリニスト・石上真由子を、ステージデザインに建築家・妹島和世を迎え、妹島がこれまでに製作した家具や妹島所有のミースやコルビュジエの家具が配置されることによってステージ上に立ち上がる架空の「Living Room」の中で、二人の奏者が互いの演奏を聴いたり、演奏準備をしたり休んだりするという、ある種シアトリカルな緊張と弛緩が混在するステージが展開する。
また、今回の公演のために新たに月をイメージした立体バルーンのオブジェが制作されることとなった。ステージデザインにあたって妹島和世建築設計事務所は実際に紀尾井ホールのミニチュア模型を製作、これをもとに渋谷ともやり取りを重ね、完成に至ったという。
さらに会場全体を La Nuit parfum とアーティスト・和泉侃が作り出す⾹りが微かに包み込み、全体として複層的な空間構成をもったコンサートとなる。コンサート当日には、渋谷によるピアノソロの代表作である「for maria」の楽譜が初めて発売される予定であり、和泉による⾹りはこれを記念して2009年にリリースされた「for maria」のアルバム全体をイメージして作られている。
曲目は、「for maria」を含む渋谷自身による楽曲の他、エリック・サティ、アルヴォ・ペルト、高橋悠治作品を予定。
エリック・サティは、約100年前に「家具の音楽(家具のように日常生活や聞く人の感情を妨げない音楽、意識的に聴かれることのない音楽)」を提唱している点で、今回の「Living Room」のコンセプトの一端を担っている。渋谷は、サティの「家具の音楽」が、実はサティが言う「日常」とは正反対の緊張感を持つ「劇場」や「演奏会」を前提として発想されている点に着目し、この緊張感の在り方を劇場・演奏会のステージ側から揺さぶることはできないかと考え、その実践として「ステージに音楽家のための架空のリビングルームを作る」という今回の実験的なコンサートに至った。
渋谷氏は今回のコンサートについて「このコンサートは複層的に色々なことが起きる。そして、それらはステージの上の緊張と弛緩の振れ幅を客席からひそやかに体験してもらうことを意図している」「これが様々な感覚を啓く新しい体験になれば嬉しく思う。同時にこのまだ僕も体験していない空間で自分の曲だけでなく、サティやペルト、悠治さんの曲などを弾くことを楽しみにしている」と語っている。
<プロフィール>
渋谷慶一郎
音楽家。2002年音楽レーベルATAKを設立。2012年、初音ミク主演、人間不在のボーカロイドオペラ『THE END』発表。2018年、アンドロイド・オペラ『Scary Beauty』発表。2020年、草彅剛主演映画「ミッドナイトスワン」音楽担当。2021年、オペラ作品『Super Angels』作曲。2022年、アンドロイド・オペラ『MIRROR』発表。2024年、Milan Design Week のLEXUS展示にてサウンドインスタレーション作品『Abstract Music』を発表。
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石上真由子
日本音楽コンクール等、国内外で優勝・受賞多数。題名のない音楽界、NHKクラシック音楽館、NHK-FM 名曲リサイタル、リサイタル・ノヴァ等に出演。日本コロムビアよりCD「ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ」、「ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番」、ALTUSより「ラヴェル:ツィガーヌ」好評発売中。
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公演概要
公演名:Keiichiro Shibuya Playing Piano – Living Room
日時:2024年12月19日(木) 開場18:20、開演19:00
会場:紀尾井ホール(〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町6-5)
チケット:チケットぴあにて販売中(こちら)
前売料金:S席 11,000円、A席 7,700円、B席 5,500円、C席 3,300円
クレジット
ピアノ:渋谷慶一郎
ヴァイオリン:石上真由子
ステージデザイン:妹島和世
フレグランス:La Nuit parfum
セントデザイン:和泉侃
プログラム
for maria – 渋谷慶一郎
Midnight Swan – 渋谷慶一郎
Scary Beauty – 渋谷慶一郎
Painful – 渋谷慶一郎
Gnossiennes – Erik Staie
Fratres – Arvo Pärt
Spiegel im Spiegel – Arvo Pärt
Furniture Renku – 高橋悠治
他
主催:アタック・トーキョー株式会社
協賛:株式会社ポーラ、株式会社ソウワ・ディライト
協力:一般社団法人コミュニケーション・デザイン・センター
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成】