日本の現代美術と世界 1989-2010(仮称)
来年9月~12月まで、国立新美術館にて開催

文構成=ONBEAT編集部

左から尹志慧(国立新美術館特定研究員)、逢坂恵理子(国立新美術館館長)、ドリアン・チョン(M+アーティスティック・ディレクター、チーフ・キュレーター)、イザベラ・タム(M+ビジュアル・アート部門キュレーター) 撮影:藤田博孝

 

現代美術の新たな表現を見出し紹介するという使命のもと、独立行政法人国立美術館のなかで5館目の施設として、2007年に設立された国立新美術館は、2024年3月、グローバルな規模で現代視覚文化を扱うアジアで最初の美術館で、日本との緊密なネットワークを構築しつつ、展示やコレクションを通して日本への関心を持ち続けてきた M+ と、日本の美術に関する初の国際的なキュレーション協力を見据えてMOUに調印した。両館は今回の協働において、日本の美術に関するキュラトリアルな知見を共有し、国内外双方からの多様な視点を通して日本の現代美術史を検証するための新たな切り口を提示することを目指すという。

 

@国立新美術館 M+, Hong Kong Photo: Kitmin Lee Courtesy of M+, Hong Kong

 

本展では、昭和が終わり平成元年を迎えた1989年と、東日本大震災に見舞われた2011年という大きな節目に挟まれた20年間の日本の現代美術を、「アイデンティティ」「記憶と反記憶」「関係のネットワーク」(仮)という3つの観点から概観する。この時期を象徴する作品群と、諸地域で醸成されたアートプロジェクトの紹介というふたつの軸が絡みあうように構成される本展は、国内外で活躍してきた日本人アーティストとともに海外のアーティストも多く取り上げる。

「アイデンティティ」という観点からは、日本の現代美術の複雑で変化し続ける姿を浮かび上がらせ、 「記憶と反記憶」においては、日本の過去に関する個人的あるいは集合的記憶に焦点を当てる。 また、「関係のネットワーク」では、本展の対象とする20年間がグローバル化の最初期にあたり、国を越えた活動や人の移動が盛んになった時期であることに焦点を当てるという。

以上のような構成で、変化に満ちたこの時期に、日本の現代美術がいかに歴史的遺産やアイデンティティの多様性といった主題に取り組み、いかに新しいコミュニティの可能性を模索し、そして日本の美術と視覚文化がいかに世界に影響を与えてきたかを考察する。また、複数の歴史と文脈が共存する多元的な存在として日本の現代美術の姿を描き、日本の特異性という固定化された語り方に対して新たな視点を提示する。

 

Reference Image: Tatsuo Miyajima, Mega Death, 1999, ©Tatsuo Miyajima, ©Estate of Shigeo ANZAÏ, 1999, Courtesy of ANZAÏ Photo Archive, The National Art Center, Tokyo Reference Image: Kodai Nakahara, Untitled (Lego Monster), 1990, ©Kodai Nakahara, ©Estate of Shigeo ANZAÏ, 1990, Courtesy of ANZAÏ Photo Archive, The National Art Center, Tokyo
展覧会概要

日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)

会期:2025 年9 月3 日( 水) ~ 2025 年12 月8 日( 月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
主催:国立新美術館
共催:M+
キュレーションチーム:
キュラトリアル・ディレクター:ドリアン・チョン(M+アーティスティック・ディレクター、チーフ・キュレーター)
キュレーター:イザベラ・タム(M+ビジュアル・アート部門キュレーター)、尹志慧(国立新美術館特定研究員)

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