「うつわ」形をテーマに自由な工芸表現を通してその本質を問いかける。
工芸が基点でありながら、ジャンルを超えて制作をしている10人のアーティストを紹介!

文=ONBEAT編集部/撮影=藤田紘那

中村卓夫 《空律》

アートがものの姿をとる以上、そこには技法・材料、制作動機としてのコンセプト、そして表現という3つの要素が存在する。一般的に、工芸は技法・材料を基にし、現代アートはコンセプトを基にしているが、それらの要素をオリジナルな視点から探求し、バランスよく制作された作品は、高いクオリティをもっている。最近では、工芸と現代アートが交差し、両方の特徴をもつ優れた作品が多く生まれている。そして、美しさと実用的な価値を兼ね備える日本の美術工芸品は、卓越した技から生み出される精巧さ、その希少性から世界の注目を集めている。

本展示では、キュレーターに秋元 雄史氏、高山 健太郎氏を迎え、日本が誇る伝統的な工芸技法や材料を基点とし、 現代アートの表現力、コンセプトを併せもつ作品を制作する10人のアーティストを紹介。
参加アーティストは、石塚源太、近藤高弘、佐々木類、四代 田辺竹雲斎、塚田美登里、中田真裕、中村卓夫、畠山耕治、牟田陽日、やまわきてるり。

今回は「うつわ」形という工芸的な美しさがテーマ。この「うつわ」形は、造形芸術の視点から考えると、工芸のみに登場する特徴的な形態。単なる容器としての機能だけでなく、工芸的な形態の本質的な意味を含んでいる。例えば、我々は容器を人体の形と関連づけ、口や胴などの名称を与えたり、器に手足を加えて直接人体の表現を行う。そこには単なる道具としての器を超えて、イメージと表現が加わった「うつわ」形が存在する。そして、さらに工芸的な特徴を発展させ、「包み」という概念や「装飾」という観点からも今回の展示を構成。自由な工芸表現を通してその本質を問いかける新しい動向を紹介。

展示風景:佐々木類

石塚源太《感触の表裏#32》

会場風景:牟田陽日

やまわきてるり《いん と やん》

展示風景:塚田美登里

展示風景:四代 田辺竹雲斎

中田真裕《Oasis(山)》

会場風景

本展の第2弾「工芸的美しさの行方 うつわ・包み・装飾」は、 2024年11月3日(日) – 11月5日 (火) の期間、京都建仁寺にて開催を予定している。

東京開催概要

会期:2024年7月4日(木)- 7月16日(火)
休館日:月曜日
時間:11:00 – 19:00
会場:TERRADA ART COMPLEX Ⅱ BONDED GALLERY
入館料:無料

京都開催概要

会期: 2024年11月3日 (日) – 11月5日 (火)
時間: 10:00~16:30 受付終了 (17:00 閉門)
会場: 建仁寺 書院(京都府京都市東山区大和大路通四条下る小松町)
入場料: 無料 (別途、 建仁寺の拝観料が必要となります)
*東京と京都で一部展示が入れ替えとなる可能性があります。