2023年4月15日(土)~2023年5月14日(日)まで、京都市内各所で「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」が開催中!
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」は、世界屈指の文化都市・京都を舞台に開催される、日本でも数少ない国際的な写真祭だ。千年の長きにわたって伝統を守りながら、その一方で先端文化の発信地でもあり続けてきた京都。その京都がもっとも美しいといわれる春に開催される。
日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開し、ときに伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある写真祭を目指している。
第11回目を迎える今年は「BORDER」をテーマに、京都⽂化博物館別館、⼆条城⼆の丸御殿台所・御清所、両⾜院、出町桝形商店街など19カ所を会場に、15のメインプログラムを展開している。
誉田屋源兵衛 竹院の間では、石内都と頭山ゆう紀による写真展「透視する窓辺」を開催。
そのものに宿る記憶と時間をフィルムにおさめ、作品を発表してきた国際的な写真家、石内都が本展に選んだ若手女性写真家は頭山ゆう紀。
本展では、2人の写真家の作品が「身近な女性の死」という共通点のもと同じ空間で重なり合う。
石内の〈Mother’s〉は、2000年に亡くなった自身の母親の遺品と向き合ったシリーズで、これまでに世界中で展示されてきた。作中では個人的なテーマを扱っているが、石内が展示を繰り返し数多くの人の目に触れることで、モティーフは「自分の母」という存在から誰のものでもない「母親」、そして「女性」へと昇華していった。
頭山は、2年前のコロナ禍に亡くした祖母の介護中に撮影した新作と、2008年のシリーズ〈境界線13〉より家族がいる風景の作品を選んだ。しかし、そこには、他の家族は写っていても祖母と昨年急逝した母の姿は写っていない。頭山は新作では祖母自身を撮影するのではなく、病気で外出できなくなった祖母の立場に立ってシャッターを押すことに決め、相手に寄り添おうとしたのだ。
2人の写真家は、写真を通して今は亡き相手とコミュニケーションをとるようにした。
頭山はまた、石内の〈Mother‘s〉と並んだ空間に展示することで、母親との新しい関係が築けると考えている。 作品が写す「個」は、展示によって写真の対象そのものから解放されることで、そのモティーフは普遍性を持ち、さらに社会性の領域へと境界線を超えていくのだ。
石内は長きにわたり写真家として写真の歴史を作ってきた。世代の異なる頭山との今回の対話で、写真史に新たな1ページを刻むことになるだろう。
本展は、ケリングの「ウーマン・イン・モーション」の支援により制作される、世代の違う女性写真家2名による対話的なエキシビションとなる。
「ウーマン・イン・モーション」は、アートとカルチャーの分野で活躍する女性に光を当てることを目的として2015年に発足し、以降さまざまな芸術分野における女性の地位や認識について理解を深め、変化を促すためのプラットフォームになっている。
アーティストプロフィール
石内 都 / Ishiuchi Miyako
群馬県桐生市生まれ。
神奈川県横須賀市で育つ。
1979年に〈Apartment〉で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。
2005年、母親の遺品を撮影した〈Mother’s〉で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出される。
2007年より現在まで続けられる被爆者の遺品を撮影した〈ひろしま〉も国際的に評価されている。
2013年紫綬褒章受章。
2014年には「写真界のノーベル賞」と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞。
近年の主な展覧会・出版物に、個展「Postwar Shadows」(J・ポール・ゲッティ美術館 ロサンゼルス 2015)、写真集『フリーダ 愛と痛み』(岩波書店 2016)、個展「肌理と写真」(横浜美術館 2017)、個展「石内 都」(Each Modern 2022 台湾)、個展「Ishiuchi Miyako」(Stills 2022 エディンバラ)、「六本木クロッシング」(森美術館 2022)などがある。
作品は、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、横浜美術館、ニューヨーク近代美術館、J・ポール・ゲッティ美術館、テート・モダンなどに収蔵されている。
頭山ゆう紀 / Yuhki Touyama
1983年千葉県生まれ。
東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。
生と死、時間や気配など目に見えないものを写真に捉える。
自室の暗室でプリント作業をし、時間をかけて写真と向き合うことで時間の束や空気の粒子を立体的に表現する。
主な出版物に『境界線13』(赤々舎 2008)、『さすらい』(abp 2008)、『THE HINOKI Yuhki Touyama 2016−2017』(THE HINOKI 2017)、『超国家主義−煩悶する青年とナショナリズム』(中島岳志 著、頭山ゆう紀 写真/筑摩書房 2018)がある。
開催概要
開催日:2023年4月15日(土)~5月14日(日)
時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月19日(水)・26日(水)、5月10日(水)
会場:誉田屋源兵衛 竹院の間
住所:京都市中京区室町通三条下ル 西側
アクセス:地下鉄烏丸線または東西線「烏丸御池」駅 6番出口から徒歩4分
入場:大人 1,000円、学生 800円(学生証の提示)