2023年4月15日(土)~2023年5月14日(日)まで、京都市内各所で「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」が開催中!

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」は、世界屈指の文化都市・京都を舞台に開催される、日本でも数少ない国際的な写真祭だ。千年の長きにわたって伝統を守りながら、その一方で先端文化の発信地でもあり続けてきた京都。その京都がもっとも美しいといわれる春に開催される。
日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開し、ときに伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある写真祭を目指している。

第11回目を迎える今年は「BORDER」をテーマに、京都⽂化博物館別館、⼆条城⼆の丸御殿台所・御清所、両⾜院、出町桝形商店街など19カ所を会場に、15のメインプログラムを展開している。

Sferaでは、ジャーナリスト・ドキュメンタリー写真家、セザール・デズフリ「Passengers 越境者」を開催。

毎年、何千人もの人々が、アフリカ沿岸からヨーロッパを目指して命がけで地中海を渡っている。
2016年の夏、デズフリは、ドイツのNGO団体「ユーゲント・レッテト」が所有する元漁船の難民救助船イウヴェンタ号に3週間にわたって乗船し、リビアからイタリアへ渡航する地中海中央部のルートで、難民たちを助け出す救助船の様子を記録した。

8月1日、リビア沖20海里を漂流するゴムボートから118名の難民が救出される。デズフリは、この救出劇に名前と顔をつけて一人一人に人格を与えるため、救出されたばかりの乗客全員のポートレートを撮影。その後、彼らはシチリア島のポッツァーロ港で下船する。

難民の現実を記録し、統計からは決して明らかにならないアイデンティティを証明したいという思いから、デズフリは次のステップに進んだ。「難民たちを主人公とした物語が語られる必要がある」と考えたデズフリは、救助された難民たちを探し出し、彼らの物語を紐解く作業に取りかかったのだ。
なぜ祖国を離れようと思ったのか。旅の途中で何があったのか。イタリア到着後、彼らはどのような人生を送っているのか。

政治的な理由や経済的な理由、感情的な理由、伝染病、家族の問題、移民の群れに紛れ込んでの逃避行、あるいは旅をして新たな経験をしたいというシンプルで人間的な願望──難民たちの動機はさまざまなものだった。慎重な検討を重ねた末の決断もあれば、突発的な思いつきというケースもある。西アフリカ各国からリビアへと、難民たちの足跡を辿る中で、人権侵害の実情も明らかになった。

難民たちの証言は、移住先のヨーロッパで彼らが直面する現実をあらわにした。当局の動きは鈍く、数年間も待たされ、社会への適応を妨げられることもある。政府からの無回答や難民申請の却下により、難民は国から国へヨーロッパ中をさまよい続けることも余儀なくされた。

難民たちがどの国を目指すかは、話せる言語や知人のネットワーク、就職に関する口コミなどによる場合もあれば、偶然のなりゆきで決まる場合もある。
イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、オランダなどが一時的な滞在国となることが多く、正式な処遇が決定するまでイタリア国内の収容施設に滞在し続ける難民も数多くいる。

「Passengers」は難民たちの物語の記録であり、難民への理解を深め、その苦境が忘れられることのないよう事実を後世に伝える、一大ドキュメンタリーだ。

アーティストプロフィール

セザール・デズフリ / César Dezfuli
1991年、スペイン・マドリッド生まれ。
ジャーナリスト、ドキュメンタリー写真家。
移民、アイデンティティ、人権問題に関連するテーマの作品を多く発表している。
2015年以降はヨーロッパ国境における移動のムーブメントに注目し、特に中央地中海の移民ルートに焦点を当てている。
デ・フォルクスクラントやル・モンドに頻繁に寄稿しているほか、ガーディアン、タイム、BBCなど、さまざまなメディアで作品が紹介されている。
近年では、世界報道写真コンテスト2023のヨーロッパ地域賞のほか、Sony World Photography Awards(ソニーワールドフォトグラフィーアワード)やTaylor Wessing Portrait Prizeなどの写真賞を受賞している。
世界各地で開催される個展やグループ展に参加し、ナショナル・ポートレート・ギャラリー(英国)、シドニー博物館(オーストラリア)、UICA(アメリカ)などでも作品が展示されている。

キュレータープロフィール

アルムデナ・ハヴァレス / Almudena Javares
インディペンデント・キュレーター、アーティスティック・プログラマー、カルチュラル・マネージャー。
パリ第8大学にて国際文化プロジェクト学修士、マドリード・コンプルテンセ大学にて文学研究学修士を取得。
欧州およびラテンアメリカの各国で、様々な分野のスペースやプロジェクト、フェスティバルのアーティスティック・プログラマー、キュレーター、カルチュラル・マネージャーを務める。
スペインの「Fundación Contemporánea」および「La Fábrica」(スペイン)のフェスティバル・展覧会部門ではPHotoEspañaの立ち上げに参画。
「Noche de los Libros」(マドリード)や「Fête du Livre de Var」(フランス)、「Eñe Madrid Festival」、「Eñe América Festival」などのプロジェクトでコーディネーターを務めた。
また、舞台美術やビジュアルアートを専門とし、優れた写真ギャラリーを持つブエノスアイレス大学文化センターのアーティスティック・プログラムのコーディネーター、スペイン文化センター(ブエノスアイレス)のカルチュラル・マネージャー、スペインにおける国際的文化交流の振興と協力推進を専門とするスペイン国際開発協力庁の文化・科学交流理事会委員などを歴任。
文化、ジェンダー、人権を専門とする様々な非政府組織にも関与している。
フリーランスのキュレーターとしても、スペイン、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、チリ、ペルーなど各国において、写真、アート、パフォーミングアーツ、文学に関連する様々なプロジェクトに参画してきた。現在は博物館学および博物館学芸員の分野に深く関わっている。

開催概要

開催日:2023年4月15日(土)~5月14日(日)
時間:12:00~19:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月19日(水)・26日(水)、5月10日(水)
会場:Sfera
住所:京都市東山区縄手通り新橋上ル 西側弁財天町17 スフェラ・ビル
アクセス:地下鉄東西線「三条京阪」駅 2番出口から徒歩5分または京阪「祇園四条」駅 9番出口から徒歩5分
入場:大人 800円、学生 600円(学生証の提示)

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