The Okura Tokyoにてアートウィーク東京記者発表会森美術館館長 片岡真実(左)、Take Ninagawa 蜷川敦子(中央)、アート・バーゼル Adeline Ooi(右)

2022年11月3日~11月6日、東京のアートシーンがひとつにつながる「アートウィーク東京」が開催される。

東京の現代アートを牽引する美術館やギャラリーなど都内各地に広がる50以上のアートスペースを結びつけるアートウィーク東京では、6つのルートを巡回するAWT BUSの運行、様々なサービスや機能を搭載した無料の公式アプリAWT PASS、日本の現代アートの美術史的文脈やエコシステムに焦点をあてたオンライントークシリーズに加え、本年度は国内外で活躍するアーティストの映像作品を厳選したビデオプログラムや、国際的に活躍するキュレーターを招聘したラウンドテーブル、バーチャル・ブースで美術作品を体験、購入できるオンラインアートプラットフォームの開設など、より多角的なアプローチを通じて、東京の「いま」をアートで感じる特別な4日間を体験できる。

アートウィーク東京 アンバサダー鈴木京香

AWT BUS でつながる東京のアートシーンの多様性と創造性

本年度のAWT には、日本の現代アートを牽引する10 の美術館/インスティテューションと41 のギャラリーが参加。AWT参加施設が提供する良質のプログラムに、パンデミック以降のアートの可能性の探求、国際的に活躍するアーティストの大規模回顧展、幅広い世代の女性アーティストの存在感など、東京のアートシーンの多様性と創造性の一端が映し出されている。

パンデミック以降のアートの可能性の探求
2020 年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらしている状況の変化に対し、アートはどのように応答できるのだろうか。

世界が共通して抱えるこの問いに森美術館の「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」では、国内外のアーティスト16 名の作品をとおして、人間の生への本質に向き合う。

資生堂ギャラリーでは、「第八次椿会 ツバキカイ 8 このあたらしい世界」を開催。コロナ禍下の2021 年に結成された第八次椿会のメンバーが、after コロナのあたらしい世界について考える様々な試みを展開する。

東京都庭園美術館では、コロナ禍下で自由な移動が制限される状況を経験した今、現代のアーティストによる作品などを通じて、「旅」の魅力を再考する「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」を開催中だ。

東京都庭園美術館「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」 展示風景 2022 年 Photo by Ken Kato

国際的に活躍するアーティストの大規模回顧展
日本美術史における重要な動向「もの派」を牽引し、長年にわたり国際的にも大きな注目を集めてきた李禹煥の国内では17年ぶりとなる大規模回顧展「李禹煥展」が国立新美術館で、ドクメンタとヴェネチア・ビエンナーレという世界最高峰の国際展に招聘されるなど、絵画を中心とした多種多彩な表現からなる圧倒的な質量の作品群で幅広い人気を誇る大竹伸朗の16年ぶりの大規模回顧展「大竹伸朗展」が東京国立近代美術館で開催。日本を代表するアーティストふたりの活動の全貌を概観できる貴重な機会になる。

幅広い世代の女性アーティストの存在感

沖潤子《summer dress》(部分)2022 年 © Junko Oki, photo by Keizo Kioku, courtesy of KOSAKU KANECHIKA

近年、女性アーティストの活動を正当に評価する展覧会が増えつつあるなか、当然その傾向はAWT の参加施設のプログラムにも影響を及ぼしている。

長いキャリアを重ね、現在も精力的に活動を続ける三輪美津子(スカイザバスハウス)や沖潤子(KOSAKU KANECHIKA)の個展から、東京オペラシティ アートギャラリーの「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」、ユミコチバアソシエイツの「鷹野隆大・山城知佳子 二人展「距離の洞窟」」、YutakaKikutake Gallery の毛利悠子の個展「Neue Fruchtige Tanzmusik」といった美術館規模の個展を経験してきた中堅アーティストによる展覧会、川辺ナホ、宇多村英恵(WAITINGROOM)、大田黒衣美(カヨコユウキ)、塩原有佳、石井佑果(Satoko OeContemporary)、長田奈緒(Maki Fine Arts)など、幅広い世代の女性アーティストによる多様な表現が展開していることがわかる。

そのほか、銀座メゾンエルメス フォーラムの「「訪問者」クリスチャン・ヒダカ&タケシ・ムラタ展」、ペロタン東京のリオネル・エステーヴの個展「日に潜み、夜に現る」、日動コンテンポラリーアートの「ストーリーテラー – 映像表現の現在-」など、海外拠点のアーティストのプログラムも東京のアートシーンの多様性と創造性に欠かせない要素になっている。

なお、アートウィーク東京を楽しむために欠かせない無料の公式アプリ「AWT PASS」もあるので、ぜひ活用したい。また6 つのルートで50 以上のアートスペースを繋ぐAWT BUSが、午前10 時から午後6 時まで約15 分間隔で巡回する。

建築家、萬代基介が設計するAWT 会期限定で南青山にオープンするAWT BAR では、安瀬英雄、川内倫子、田村友一郎、ミヤギフトシら4名のアーティストとのコラボレーションによるオリジナルカクテルを販売。© Mandai Architects 制作協力 株式会社高橋工業、SQUARE

現代アートの魅力をもっと知りたいという人に向けたオンライントーク

日本の現代アートの美術史的文脈やその歴史に焦点をあてた全4 回のオンライントーク・プログラムが開催される。

既に第一弾として美術史家の富井玲子のレクチャー「東京はどこにある?̶日本の1960 年代美術を「オペレーション」という概念から考える」、第二弾としてdumb type でも活動してきた4 名のメンバーによるトーク「表現と「わたし」の身体̶dumb type《S/N》のパフォーマー、THE OK GIRLS とブブ・ド・ラ・マドレーヌが語る」を配信。

10月28日は小池一子と菊地敦己「必要なものは自分たちでつくる̶1970 年代後半以降にみる現代アートとデザインのグラス・ルーツ」、11 月1 日にはロジャー・マクドナルドとアンドリュー・マークルをゲストに迎えたトーク「わたしたちはどこにいる?̶日本における地域アートを再訪する」を公開予定。

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『ONBEAT vol.11』では森美術館 館長 片岡真実氏へのインタビューを掲載!

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