ビジュアルイメージ:伊東五津美

2022年7月8日(金)~7月24日(日)クマ財団ギャラリー(六本木)にて、副島しのぶ&MOYAN&吉野俊太郎による「人形」をテーマとした企画展「POPPETRY 壺と人」が開催される。

あらゆる境界のあわいに目を向けようとする副島しのぶの作品には、自作の人形が多く登場する。ストップモーションによって生命を与えられた人物や動物たちは映像内で、時に互いの生に安堵し、あるいは死を悼み、感情すらもその行為の中に表している。その姿は明らかな作り物でありながら、しかし観る者の日常にオーバーラップし続け、そしてそうした人間の日常では到底観察し得ない距離と速度で、死や影を直接的に開陳し、私たちに訴えかける。

副島 しのぶ 《ケアンの首達》 2018

副島 しのぶ 《ケアンの首達》 2018

副島 しのぶ 《どこに行った私の首、昨日までは飛んでいた》 2016

MOYANは、蒐集したセカンドハンドのボロボロになった人形たちのありのままの姿を、架空のシナリオとともに描いている。ビビットで明るい空間の中に配置されながらも中古特有の不気味な空気感を帯びた人形たちは、新品の時に見られるようなピュアな製品的な表情ではなく、まるで社会に生きる私たちの人間模様と精神状態を客演しているように感じられる。

MOYAN 《Figurehead》2022

MOYAN 《Reindeer》2018

MOYAN 《Package》2020

彫刻を専門領域とする吉野俊太郎は近年の活動の中に度々、自作のぬいぐるみを配置している。ぬいぐるみの弱く柔らかい布と綿の表皮は、伝統的に彫像で用いられた硬質な表面と比較するとずっと壊れやすく、寿命も短い。しかしその分人体に近い距離での人間の姿を思い起こさせるものだ。そこには彫像が従来伴うような永久不変のイデオロギーなどは存在しておらず、硬さと柔らかさの接点での関係性のみが冷静に描かれている。

吉野 俊太郎 《Plinthess》2021 photo by OMATA Hidehiko

吉野 俊太郎 《不自然な幕引き》2020

吉野 俊太郎 《水死の氏》2019

三名の作家による「人形」をぜひ見てほしい。

開催概要

開催日:2022年7月8日(金)~2022年7月24日(日)
時間:12:00~19:00
休廊日:火曜日、水曜日
会場:クマ財団ギャラリー
住所:東京都港区六本木7-21-24 THE MODULE roppongi206

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