池田亮司、左:《data.scape [DNA]》(2019年)、右:《data.scan [nº1b-9b]》(2011年/2022年)、撮影:浅野豪、©Ryoji Ikeda


2022年4月16日(土)~8月28日(日)まで、弘前れんが倉庫美術館にて2022年度春夏プログラム「池田亮司展」が開催中だ。

池田亮司はテクノロジーを駆使し、光や音を用いて鑑賞者の感覚を揺さぶる没入型の作品を数多く発表してきた。
本展では、2009年以来となる国内美術館での大規模な展覧会として、新作を含む近年の池田の活動が展観される。

池田亮司《point of no return》2018年、撮影:浅野豪、©Ryoji Ikeda

今回の展示では、建築にあわせて制作された「サイト・スペシフィック」な作品の展示を特徴とする当館の大空間において、各展示室の映像や音響が時に結び付きながら、空間と作品とが共鳴/共振。

本展を通して、約100年前に酒造工場として建造され美術館へと生まれ変わった当館の空間の持つ可能性を拡張し、この場所に創造性を喚起する作品の数々を体感できる機会となる。

池田亮司《exp #1-4》(2020-2022年)、撮影:浅野豪、©Ryoji Ikeda

2000年以降、データを主題とする表現を模索し続ける池田は、とりわけDNA情報や素粒子、宇宙といった科学領域に関するデータに関心を持ち、自身の作品に取り入れてきた。
そこでは、データを通した世界のあらたな認識の方法が提示されている。

展覧会の見どころ

1.高さ15mの大空間への大型プロジェクション

池田亮司《data-verse 3》2020年、撮影:浅野豪、©︎Ryoji Ikeda

2019年開催の第58回ヴェネチア・ビエンナーレにおいて初めて公開された映像、音響による3部作「data-verse」。
CERN(欧州原子核研究機構)やNASAなどの膨大なオープンデータを取り入れて制作された本シリーズでは、原子核の内部から宇宙まで、ミクロとマクロの視点を行き来する壮大な旅に引き込まれる。

本展では、2021年にアート・バーゼルで公開された《data-verse 3》を日本で初めて展示。
近年の池田作品の集大成ともいえる本作を、当館の建築の中でも最も特徴的な吹き抜けの大空間にプロジェクションする。

2.美術館の建築空間と共鳴する作品を視覚・聴覚で体験

池田亮司《data.flux [nº1]》2020年、撮影:浅野豪、©Ryoji Ikeda


電子音楽の作曲を活動の起点とする池田は、場所の性質に応答し、一つの音楽を作り上げるかのように、自らの作品空間を構成する。
本展では鉄骨構造やコールタールの黒い壁など、明治・大正期に建設され倉庫として使用された時代の趣が残された当館の建築の特性を最大限に生かすように作品が展開。

空間と対峙する形での各作品の配置にとどまらず、全ての映像・音響が重なり合うことで、総体として建築空間と作品との共鳴をもたらす。
実際に美術館を訪れることでしか味わうことができない「サイト・スペシフィック」な作品体験が楽しめる。

3.日本初公開の作品を含む多様な新作・近作

池田亮司《data.tecture [nº1]》2018年、撮影:浅野豪、©Ryoji Ikeda


2009年以来、13年ぶりの日本での個展となる本展では、レーザーによる作品「exp」や、床面へのプロジェクション作品など、さまざまな手法を用いた新作・近作を紹介。
鑑賞者の感覚の拡張を試みる多様な作品群を通して、国際的に活躍する池田の近年の活動を展望することができる貴重な機会となる。

また、作家や作品の魅力により近付くために、池田によるこれまでの音楽作品の試聴や活動記録の閲覧ができるアーカイブ&リスニングスペースも設置される。

開催概要

【弘前れんが倉庫美術館】
開催日:
2022年4月16日(土)〜 2022年 8月28日(日)
時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日 ※ただし4月26日(火)、5月3日(火)および8月2日(火)は開館
住所:青森県弘前市吉野町2-1
観覧料:一般 1,300円(1,200円)、大学生・専門学校生 1,000円(900円)
※()内は20名以上の団体料金
▼以下の方は無料
・高校生以下
・弘前市内の留学生
・満65歳以上の弘前市民
・ひろさき多子家族応援パスポートを持参の方
・障がいのある方と付添の方1名

※本展は強いストロボ効果を使用しているため、心臓の弱い方やペースメーカーを使用している方などはご注意ください。

詳細はこちら

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