1. 作品販売

  2. プロデュース

  3. アート支援

  4. 地方創生

  1. 国内大型書店

  2. ミュージアムショップ

  3. 空港

  4. 豪華客船

  5. ホテル

  6. ライブラリー

  7. セインズベリー日本藝術研究所

  8. ジャパン・ソサエティー

マーク・マンダース《乾いた土の頭部》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《乾いた土の頭部》展示風景:東京都現代美術館

2021年3月20日(土)~6月20日(日)、東京都現代美術館でマーク・マンダースの国内の美術館では初となる個展が開催される。(追記:※4/25~5/11は緊急事態宣言による休業要請を受け、休館が決定)

マンダースは、30年以上にわたり、自身が名付けた架空の芸術家「マーク・マンダース」の自画像を「建物」の枠組みを用いて構築する、”建物としての自画像”という構想に基づき作品を制作している。

マンダースの個々の作品は、過去の美術史や私的な記憶に基づくイメージ、彫像や言葉、家具など様々なオブジェを組み合わせて制作されている。風化したように見える今にも崩れそうな脆い質感や、それとは逆に今作られたばかりのような粘土の艶、複数のパーツの緊張感にみちた思いがけない配置と違和感のあるスケール…。計算され、緻密に作られた作品からは、静謐さと不穏さの混交とともに、まるで、あるひとつの瞬間ですべてが停止しているような、時間の流れを失ったような感覚が引き起こされる。「凍結した瞬間」と作家が呼ぶその世界は、一方で朽ちることのない不変への憧憬をも呼び起こし、見る者に複雑な感情や時間感覚、思索と内省の機会を与えてくれる。

このようにマンダースの作品は、個々の作品それ自体も一つの作品として成立するが、展覧会について「常にイメージしているのは、最初の部屋、次の部屋という具合に、それぞれの部屋が曲の一部分を構成しているような感じ」だと作家自身が語っているように、それらの彫刻やオブジェを生み出しながら配置し、展示全体を通して一つの作品(想像の建物)のインスタレ―ションとして構成していることが特徴だ。本展も、1フロア全体で一つの作品として構成されているが、このように展示全体によって人の像を構築するというマンダースの独創的な世界観は、世界的にも高い評価を受けてきた。

マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》展示風景:東京都現代美術館

 

また、これらの個々の作品には互換性があるため、部屋や構成に従って置き換わることも可能だという。そのため、この想像の建物全体が、不断に改変され、更新されていく、いわば一つの自動的な装置でもある。

マーク・マンダース《マインド・スタディ》展示風景:東京都現代美術館

本邦初公開。2013年のヴェネツィア・ビエンナーレでも出品された代表作《マインド・スタディ》ボンネファンテン美術館蔵。展示風景:東京都現代美術館

 

タイトルにある「不在(Absence)」とは、インスタレーションに見られる時間が凍結したような感覚や静寂、既に立ち去った人の痕跡、作家本人と架空の芸術家との間で明滅する主体など、複数の意味を担うが、それはまた、この「建物」が作家の不在においても作品として自律的に存在し続けるということも示している。

マーク・マンダース《舞台のアンドロイド(88%に縮小)》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《舞台のアンドロイド(88%に縮小)》展示風景:東京都現代美術館

 

展示空間に足を踏み入れたその時から、マンダースの作品を構成する一部であるかのような感覚ーー。この独特な構造を持つマーク・マンダースの世界観にぜひ浸ってみてほしい。

マーク・マンダース《未焼成の土の頭部》東京都現代美術館

マーク・マンダース《未焼成の土の頭部》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダースとは?

1968 年、フォルケル(オランダ)生まれ。現在、ベルギーのロンセを拠点に活動。
1988年から1992年までアーネム市芸術大学でデザインを学ぶ。
1986年より「建物としての自画像」と称した独自のコンセプトを展開。その想像の部屋に置かれる彫刻やオブジェを制作し、一連のインスタレーションとして発表している。

また、1998年にはロジャー・ヴィレムスらとともに出版社「ローマ・パブリケーションズ」の設立に関わり、自身のアーティストブックや展覧会カタログをはじめ、他のアーティストの書籍も多く手掛ける。作家の代表作である架空の新聞もこの出版社で制作されている。

展覧会としては、これまで、サンパウロ・ビエンナーレ(1998年)、ドクメンタ11(2002年)、ヴェネツィア・ビエンナーレ(2013年)など多くの国際展に参加。

個展として、2008年から2009年にわたるヨーロッパ巡回展、2011年のアメリカ巡回展など多数。2020年にはオランダのボンネファンテン美術館で大規模な個展が開催。

近年は、パブリック・アート・ファンド・プログラム(2019年、セントラル・パーク、ニューヨーク、アメリカ)、ローキンスクエア(2017年、アムステルダム、オランダ)で大規模な屋外彫刻を手掛けている。

日本での主な展示として《東京 ニュースぺーパー》を含む「テリトリー オランダの現代美術」オペラシティ・アートギャラリー(2000年、東京)、「あいちトリエンナーレ」(2016年、愛知)、「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース ダブル・サイレンス」金沢 21 世紀美術館(2020年、石川)がある。

マーク・マンダース《夜の庭の光景》東京都現代美術館

本邦初公開となるマーク・マンダースの代表作《夜の庭の光景》ゲント市立現代美術館蔵。展示風景:東京都現代美術館

開催概要

開催日:2021年3月20日 (土) ~ 6月20日 (日) 
休館日:毎週月曜日、4月25日~5月11日(緊急事態宣言による休業要請を受け、休館)
開館時間:10:00~18:00 ※
最終入場は閉館30分前まで
会場: 東京都現代美術館 企画展示室3F

料金:一般1,500円、大学生・専門学校生・65歳以上1,000円、中学生・高校生600円、小学生以下無料
※予約優先チケットあり

詳細はこちら

マーク・マンダース《黄色と青のコンポジション》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《黄色と青のコンポジション》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《椅子の上の乾いた像》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《椅子の上の乾いた像》東京都現代美術館蔵。展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《黄色い鉛筆のある土の像》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《黄色い鉛筆のある土の像》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース 手前《リビングルームの光景》、奥:《パースペクティブ・スタディ》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース 手前《リビングルームの光景》、奥:《パースペクティブ・スタディ》東京都現代美術館蔵。展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《黄色い縦のコンポジション》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《黄色い縦のコンポジション》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《像の習作》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《像の習作》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース 手前《完了した文》(部分)、中央《2色のコンポジション》、右《88%の椅子》:展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース 手前《完了した文》(部分)、中央《2色のコンポジション》、右《88%の椅子》:展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《影の習作》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《調査のため居住(2007年8月15日)》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《乾いた土の頭部》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《乾いた土の頭部》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース 左《細く赤い文の静物》、中央《女性の頭部の習作》、右《像の習作》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース 左《細く赤い文の静物》、中央《女性の頭部の習作》、右《像の習作》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《5の箒》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《5の箒》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

マーク・マンダース《ドローイングの廊下》展示風景:東京都現代美術館

※本記事は3月26日及び4月23日に一部追記修正しております。