2022年3月15日(火)~2022年3月31日(木)、YUGEN Galleryにて長尾洋個展「VACANCIES」が開催中。
長尾洋は「僕らは未来の先住民」というコンセプトをもとに、コラージュとアクリル絵の具で、独自の世界観を表現している現代アーティストだ。
学生の頃より親しんできたスケ―トボードや音楽、ファッション、グラフィックデザインなどを土台に、コラージュ作品を制作していた長尾は、2012年にベルリンへ渡り、以降海外を中心に作品を発表してきた。
そうした海外生活の中で長尾は、自らのアイデンティティについて見つめ直すようになり、「私たちは、文明化や近代化といった時代の変化の影響を受けずに、長年変わらない生活を送る人々を先住民と呼んでいるが、私たちの生活や文化を受け継ぐ子孫からみれば、私たちもまた “未来の先住民” と言えるのではないか」「そんな先住民たちが何世代にもわたって残してきたものには『失ってはいけないナニカ』や強さが宿っているのではないか」、さらに「『僕らは未来の先住民』として子孫たちに何を残せるのか、残していくべきなのか」を考えるようになる。
長尾は、実際にメキシコ、ナミビア、モンゴル、インドなど世界各地の先住民たちを訪ね、現地でフィールドワークや滞在制作を行ってきた。
そこで触れた色彩や装飾を、自らの表現と組み合わせた作品を制作することで、過去から現代までの時間軸や国境を超えた「失ってはいけないナニカ」を提示しているのだ。
バイタリティ溢れる長尾の個性そのままに、ヴィヴィッドな色彩と奔放なイメージで彩られたその世界観は、長尾が願う「明るい未来」の姿ともいえるだろう。
日本では、これまで何世代も絶えることなく続いてきた祭りの数々が、コロナ禍においては中止を余儀なくされた一方、大きな収入が見込まれるイベントは開催された。
現代社会では、私たちの心の拠り所となるべき地域の伝統行事がすっかり隅に追いやられたのだ。
そこで本展で長尾は、古来より続く祭りや儀式に登場する鬼や天狗、獅子舞など、私たちの日常から失われてしまった(=VACANCY)祝祭的なエネルギーを宿すものをモチーフとした作品を展示し、現代に生きる私たち日本人が、「未来の先住民」として「失ってはいけないものとはナニカ」を問いかける。
なお、本展は「世界が戸惑う変化の渦中で、なお変わらなかった関係と劇的に変わった関係。その関係性がもたらす知覚と感性、価値観。それらと改めて向き合うことで、此処渋谷から何が生まれるでしょうか。」を問う「渋谷ファッションウイーク2022春」のコンセプトに賛同し、その連動企画として開催する。
【長尾 洋】
2009年の香港での個展開催を皮切りに、スイス、ロンドン、フランス、ベルリン、ニューヨーク、スペ イン、東京、マイアミ、ロサンゼルス、メキシコなど世界各地で作品を展示し、国際的なコンペティションでは2011 年にARTAQ Urban Art Award(フランス)のコラージュ部門にて佳作を受賞。
世界各地で若手育成のためのワークショップの開催や壁画制作など世界的に活躍中。
2017年に5年間拠点としていたドイツ・ベルリンから帰国し、現在は名古屋市郊外のアトリエを拠点に国内外で活動中。
開催概要
開催日:2022年3月15日(火)~2022年3月31日(木)
時間:13:00~19:00 ※最終日のみ17:00終了
休館日:なし
作家在廊日:3月15日、16日、19日、20日、21日、26日、27日、31日
会場:YUGEN Gallery
住所:東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル3F
入館料:無料