2021年3月20日(土)~6月20日(日)、東京都現代美術館でrhizomatiks(ライゾマティクス)の個展が開催される。(追記:※4/25~5/11は緊急事態宣言による休業要請を受け、休館が決定)
今年設立15 周年を迎えるライゾマティクスは、アーティストやプログラマー、研究者などをメンバーとして、アイデア、ハード/ソフト開発からオペレーションに至るまでチームが一貫して取り組むフルスタック集団だ。
設立以来、常に人とテクノロジーの関係を探求してきた彼らの表現活動は、「メディアアート」と呼ばれる領域を超え、データの視覚デザインなどの研究開発的要素や、建築、デザイン、広告やエンターテイメントなどのビジネスにまで及ぶ。
世界的に活躍するアーティストであるビョーク、スクエアプッシャー、Perfume、狂言師・野村萬斎や研究者らとのコラボレーションに加え、多様な視覚化や問題提起型のプロジェクトを通して、技術と表現の新しい可能性を追求してきた。
変化しやすい複雑で曖昧な現代において、人間の身体はバーチャルとリアルの間で揺れ動き、大量情報化社会の中で見えないものをどのように把握し理解するか、リアルな接点を探している。こうした状況に対してライゾマティクスは、国際的なパフォーマーとともにテクノロジーとフュージョンする新しい身体のビジョンを創出したり、脳科学者や天文学者など科学者・研究者とともにデータの可視化によって見えないものへのリーチを可能にしたりと、様々な角度からアプローチしている。斬新なインパクトを持つその時間/空間的表現は、国際的にも高い評価を得ている。
本展は、そんなライゾマティクスの卓越した試みを複合的(=multiplex)に呈示する、美術館における初の大規模個展となる。
ポストコロナ社会において、オンライン化が進み、コミュニケーションの新しい在り方が問われる今、多くのプロジェクトや技術提案を実践しているライゾマティクスが、変化し続ける世界に提示する、新しい人間性(ヒューマニティ)の可能性と新しいアーティストの役割とは?未知の視覚ビジョンを追求するライゾマティクスの挑戦の軌跡とともに、ぜひ体感してほしい。
みどころ
◆データの視覚化
VUCA(変化しやすい、不確実、複雑、曖昧)な現代社会の出来事を捉え、翻訳共有することはアートの重要な役割だ。そこで本展では、ネットワーク上の不可視な事象を、感情やデータをテーマに可視化するインスタレーションを呈示する。
◆フィジカルパフォーマンス、未知の身体の創出
ELEVENPLAYやPerfumeとのコラボレーションなど、秀逸なビジュアルデザインとプログラミングにより生成される身体パフォーマンスを、動きや空間と観客とを結びつけるメディアに変容させ、未知の身体を創出する。
◆ソーシャルディスタンスのためのシステム
緊急事態宣言以前よりライゾマが取り組んできた「Staying TOKYO」や、リアル空間と同じ音や距離感覚の再認識をもたらす「Social Distancing Communication Platform」等のソーシャル・プラットフォームを紹介する。
◆ハードウェアと映像、インタラクションの共存するインスタレーション
ハードウェアの制御とプログラム、ロボットを用いた空間的な新作など、オンラインだけでもオフラインだけでも成立しえない、バーチャルとリアルの領域を往来するハイブリッドなインスタレーションを構築する。
◆新作やアーカイブを含む、現代に対するクリティカルな提言
SNSを通じて集められる個人データの問題、ボーダーという概念から「入会地―コモンズ」への考察、機械学習によって成立する観客参加作品など、メイキングやアーカイブ展示を含め、クリティカルな提言を行う。
※本記事は3月30日に一部追記修正しております。
開催概要
開催日:2021年3月20日 (土) ~ 6月20日 (日) ※予約優先チケットあり
休館日:毎週月曜日、4月25日~5月11日(緊急事態宣言による休業要請を受け、休館)
開館時間:10:00~18:00 ※最終入場は閉館30分前まで
住所: 東京都現代美術館
料金:一般1,500円、大学生・専門学校生・65歳以上900円、中学生・高校生500円、小学生以下無料
『ONBEAT vol.13』では本展をキュレーションした長谷川祐子氏が、ライゾマティクスを主題にアートと世界について語っています。