「今年も東京を、現代アートで再発見」
アートウィーク東京
文構成=ONBEAT編集部、写真=オフィシャル提供
東京を代表する美術館やギャラリー、アート業界を牽引するプロフェッショナルたちがつくりあげる現代アートの祭典「アートウィーク東京」(以下AWT)が、今年も11月7日(木)~10日(日)までの4日間開催される。
AWTにはいわゆる「メイン会場」はなく、今年は過去最多となる都内53のアートスペースが参加。都内に点在するこれらのアートスペースやプログラム会場は、どこからでも乗り降り自由な無料シャトルバス「AWT BUS」でつながれ、参加者はそれらを自由にめぐることで東京のアートシーンの「いま」を感じることができる。シャトルバスは全6ルートで、午前10時から午後6時まで約15分おきに巡回する。
<展覧会ハイライト>
・「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」森美術館(六本木)
・「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子ーピュシスについて」アーティゾン美術館(京橋)
・田名網敬一「記憶の冒険」、「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」国立新美術館(六本木)
・「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」東京都現代美術館(清澄白河)
・「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」銀座メゾンエルメスフォーラム(銀座)
・「渡辺志桜里展(仮)」資生堂ギャラリー(銀座)
・「日常の再魔術化(Everyday Enchantment)小林椋、丹羽海子、ビアンカ・ボンディ」シャネル・ネクサス・ホール(銀座)
・奈良美智個展 ブラム(原宿)
・杉戸洋個展 小山登美夫ギャラリー(京橋)
・タカノ綾個展 カイカイキキギャラリー(広尾)
・青木陵子個展 タケニナガワ(麻布十番)
・束芋個展 ギャラリー小柳(銀座)
・ジョナサン・モンク&サルヴァトーレ・マンジオーネ展覧会 タロウナス(六本木)
・ロヴィ・ドゥウィ・アントノ ナンヅカアンダーグラウンド(原宿)
・リム・ソクチャンリナ 日動コンテンポラリーアート(六本木) など
今回もAWT独自のプログラムとして「買える展覧会」をコンセプトにした「ART FOCUS」、海外を拠点に活動するキュレーターが厳選した映像作品を上映する「AWT VIDEO」、建築家やアーティストとのユニークなコラボレーションが魅力の「AWT BAR」、国内外のゲストを招いた様々なシンポジウムやラウンドテーブル、オンライントークシリーズからなる「ART TALKS」、東京の街に佇む名建築を巡る建築ツアー「TOKYO HOUSE TOUR」を開催。また、子供や若年層、こらからアートコレクターを目指す人に向けたプログラムも実施する。
アジア的世界観から未来を考える「AWT FOCUS」
「美術館での作品鑑賞」と「ギャラリーでの作品購入」という二つの体験を掛け合わせた AWT 独自のプログラム。森美術館館長や国立アートリサーチセンター長を兼任し、弊誌でもたびたびインタビュー等で登場している片岡真実氏が監修を務めている。
今年は「大地と風と火と:アジアから想像する未来」と題し、政治や経済など人為的な分類や力による統治ではなく、自然の摂理や不可視のエネルギーといった観点から世界を見つめるアジア的世界観を起点に、多様性が共存する未来を考える。日本、インドネシア、韓国、台湾、フィリピン、ブラジル、香港、メキシコなど、世界各地域から57組ものアーティストが作品を出品し、それらを4つのセクションで紹介する。
<開催概要>
会場:港区虎ノ門2-10-3 大倉集古館 1・2階
会期:11月7日(木)~11月10日(日)
開場時間:10:00~18:00(最終入場17:30)
料金:一般有料、学生・子ども無料
世界各地域から13組が参加「AWT VIDEO」
海外を拠点に活動するキュレーターが、AWT参加ギャラリーのアーティストの映像作品を厳選して上映するビデオプログラム。特設会場は出入り自由で、誰でも無料で作品を鑑賞することができるようになっている。今年はNYのスカルプチャーセンターのディレクターを務めるソフラブ・モヘビ氏が監修、「飛行機雲か山脈か」と題し、13組14作品を上映する。
<開催概要>
会場:千代田区丸の内1-3-2 三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン
会期:11月7日(木)~11月10日(日)
開場時間:10:00~18:00
料金:無料
国内外のアートファンの憩いの場「AWT BAR」
国内外のアートファンが集う憩いの場が、今年も南青山にオープン。「ランドスケープがつくるBAR」というテーマで、ランドスケープアーキテクトの戸村英子氏が設計を担当。フードを手掛けるのは「ゴ・エ・ミヨ 2023」でベストパティシエ賞を受賞した青山「EMMÉ」の延命寺美也氏。食とアートをつなぐモチーフとしての「花」をイメージしてつくられた季節の一品「新ゴボウとベーコンのケークサレ」と「タタンモンブラン」を提供する。また、会期中各々の会場で作品展示を行っている3名のアーティストとのコラボレーションカクテルも楽しめる。
<開催概要>
会場:港区南青山5-4-30 emergence aoyama complex
会期:11月7日(木)~10日(日)
営業時間:10:00~22:30(ラストオーダー22:00)
料金:入場無料、フード1種500円、カクテル1杯1,000円
荒川ナッシュ医「旅立つ秋」 国立新美術館で展覧会を開催荒川ナッシュが大好きなポップスターの曲名を冠した、ボタニカルなブラウン・カクテル。世界のアート愛好家に向けた「旅立つ」前の一杯として考案。 |
小泉明郎「Ritualistic People:祭⺠」 無人島プロダクションで展覧会を開催「味覚の不思議」をコンセプトにした、赤い氷が特徴的なカクテル。一緒に提供されるインストラクションに沿ってカクテルを飲み進めながら、見た目や香り、味の変化をお楽しみください。 |
束芋「白は怖い」 ギャラリー小柳で展覧会を開催束芋が白という色のイメージに感じる「怖さ」を表現したミルクベースの甘いカクテル。束芋がカクテルに合わせてデザインしたコースターも数量限定で配布予定。 |
アートの歴史・鑑賞への理解を深める「AWT TALKS」
会期前から会期中にかけては、初心者からコレクターなどのアート通まで、幅広い層に向けたシンポジウムやオンライントークが開催される。
▶シンポジウム
概要:現代社会におけるアートの位置づけや批判的アプローチについて議論する
今年度タイトル:「想像する他者:現代アートが描く国境を超えた未来」
基調講演スピーカー:アドリアーノ・ペドロサ(今年4月から開催中第60回ヴェネチア・ビエンナーレキュレーター)
登壇者:片岡真実、ソフラブ・モヘビ
<開催概要>
会場:慶應義塾大学 三田キャンパス 西校舎ホール
日程:11月7日(木) 10:00~12:30(9:30開場)
料金:参加無料、事前申込制
▶オンライントーク
概要:各分野の第一線で活躍する専門家らによるレクチャーやディスカッションをオンラインで配信している。
今年度ラインナップ:
①村上隆×大竹伸朗「スタジオとしての東京」
②毛利悠子×ミン・ウォン「東京、そしてその先へ:芸術活動における文化的翻訳とは」
③中嶋泉「続アンチ・アクション:戦後日本女性アーティストの革新とは?」
妹島和世監修・建築ツアー「TOKYO HOUSE TOUR」
アートウィーク東京で開催する建築ツアー「TOKYOHOUSE TOUR」で巡る建築のひとつであり、東孝光が設計を手掛けた「塔の家」。 © Nacása & Partners | アートウィーク東京で開催する建築ツアー「TOKYOHOUSE TOUR」で巡る建築のひとつであり、伊東豊雄が設計を手掛けた「花小金井の家」。 © Ohashi Tomio |
東京の街に佇む名建築を巡る建築ツアープログラム。コースの監修は、2004年ヴェネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞、2010年プリツカー賞などの受賞歴をもつ建築ユニット「SANAA」の共同設立者でもあり、2022年からは東京都庭園美術館館長を務める建築家・妹島和世氏。今回訪問するのは、建築家・東孝光が1966年に設計した東京都心の住宅「塔の家」と、建築家・伊東豊雄が1983年に設計した東京郊外の住宅「花小金井の家」。戦後に建てられた歴史的にも貴重な財産である東京の小住宅群の保存と継承を考えるツアーとなっている。
<参加概要>
開催日時:11月8日(金)、9日(土)
塔の家 ①9:00-10:00 ②10:00-11:00 ③11:00-12:00
花小金井の家 ①12:00-12:45 ②13:00-13:45 ③14:00-14:45
定員:各回10名
参加費:5,500円/軒(税込)
アートウィーク東京 開催概要
名称:アートウィーク東京(欧文 Art Week Tokyo、略称 AWT)
会期:2024年11月7日(木)~10日(日)(4日間)10:00~18:00
開場:都内53の美術館、インスティテューション、ギャラリー、各プログラム会場
主催:一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:アートバーゼル(Art Basel)
特別協力:文化庁
<料金>
AWT BUS の乗車無料。参加ギャラリーの入場無料。参加美術館では、AWT会期中に限り、所定の展覧会にてAWT特別割引適用。
AWT FOCUS の入場一般有料、学生・子ども無料。