日々の暮らしを変えるデザイン&アートとの出会いと感動をボーダレスにつなぐ
「DESIGNART TOKYO 2024」が東京の街全体で開催中!

文=ONBEAT編集部、写真・動画=藤田紘那

ONBEAT vol.21」においてインタビューを行った青木昭夫氏が代表を務める「DESIGNART」(デザイナート)。
「DESIGNART」はさまざまなジャンルの垣根を超えて、デザインとアートを横断するモノやコトの素晴らしさを発信、共有し、その活動の発表の場として、毎年秋に開催するデザイン& アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO」が今年も世界屈指のミックスカルチャー都市・東京を舞台に開催されている。

DESINGART代表 青木昭夫氏

2024年度は「Reframing ~転換のはじまり~」のテーマのもと、新たな視点で切り拓くジャンルレスな作品が世界中から集結。
アート、建築、インテリア、プロダクト、ファッション、フード、スポーツ、テクノロジーなどのモノとコトが、ギャラリーやショップなど過去最大規模となる96会場で117の多彩な展示で東京の街を彩る。
各展示を回遊しながら街歩きが楽しめるこのイベントは、気に入ったらその場で購入可能な作品が多いのも大きな特徴。また会期中、国内外のクリエイティブ関係者が交わることで想像を超えた化学反応が生まれ、新しいプロジェクトに発展したり、期待のホープが世の中に羽ばたくきっかけになることも少なくない。

サスティナビリティが常識になり、「つくる責任 つかう責任」が問われるなか、クリエイティブなものづくりは、これからの社会を支える原動力であり、日々の暮らしに、長く愛せるデザイン&アートで潤いとなる。
東京の街全体がミュージアムになるDESIGNART TOKYOは、そんなかけがえのない出会いや感動をボーダーレスにつないでいく。

「Reframing ~転換のはじまり~」

「情報化社会の中でコモディティ化が課題になっている。それをリセットして0から新しいものを生み出したいという思いを込めてテーマにした。」という青木氏。
発起人の一人アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)はさらに多くの課題を抱えている現代において「Reframingがより重要」になっていると語り、「Reframingは習慣的な思考パターンから抜け出すのに役立ち、問題を否定的にみるのではなく学習の機会になる」ことから本イベントが人々の「状況、課題、アイディアの認識の解釈方法を変え、問題解決」を促進することへの期待を示した。

DESINGART発起人の一人アストリッド・クライン氏

開催概要

会期:2024年10月18日(金) 〜 10月27日(日)
会場:表参道 / 外苑前 / 原宿 / 渋谷 / 六本木 / 広尾 / 銀座 / 東京
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会

オフィシャルエキシビション「Reframing」展

今年のテーマを見える化した本展。ワールド北青山ビルにて4人のキュレーター金澤韻、川合将人、立川裕大、青木竜太がアート、デザイン、クラフト、テクノロジーの4つの異なる分野の融合と”Reframing”を目指し、18組のクリエイターによる展示を開催。

DESINGNART TOKYO 2024発起人およびReframing展キューレーターと参加アーティスト

空間デザインはHYBE Design Teamの竹田純が実験的な空間構成を実現。全体の構成としては、壁で区切るのではなく回遊しながらデザインとアートが隔たりなく共有する空間を目指したという。また作品の良い背景となるように再生素材で作られた什器を配置。再生素材も高級な領域にいけるものであることを示せるようなデザインにこだわった。

左から:Kenji Hirasawa and Yoshiki Masuda《Eternal L (Oct 2024》、竹田純デザインの什器、平澤賢治《Edge #21

本展キュレーターで現代美術キュレーターの金澤韻氏は現代アートが基本Reframingであるということがキューレーションにおいて他の3人のキューレーターと話しをしていく中で身体に興味がある」ように感じ、身体に特化して3組の作家を選んだという。

Human Awesome Error《Super Cell / 不良息子像 》  

 

みょうじなまえ 《OUR BODIES》

人物を体温でとらえようとした作家平澤賢治の作品、Human Awesome Errorのメンバーの一人が過去に侵されたガンの細胞をネガティブなとしてだけとらえるのではなく再生医療の研究対象として扱った作品、有名な女性のヌードを描いた西洋絵画の作品に服を描き足し、さらにミュージアムショップのようなしつらえのインスタレーションでプロダクトとして購入できるようにして消費しなおすという形をとった作品が展示されている。

みょうじなまえ 《OUR BODIES》

もともとデザインとアートとあまり分け隔てなく考えて捉えてるという本展キューレーターでインテリアスタイリストとスペースデザイナーの川合将人氏。アートともデザインとも取れる作品を選定。

まずは見る人の視点によって見え方が変わってくる立体物。

STUDIOPEPE 《Pablo. Dora》

パブロ・ピカソとドラ・マールへのオマージュとなっている作品は建築等のデザインを手掛けているスタジオ・ペペという二人組のデザインユニットの作品。キュビスムの絵画を立体に起こした場合どう見えるかと、陽の角度であるとか時間帯によって、また異なる角度から見た時の作品の見え方の違いを楽しめる。

Ben Storms 《In Hale Grand Antique marble》

ベルギーの職人でありデザイナーであり彫刻家のBen Stormsは見捨てられた採石場に転がっていた大理石から着想を得て、まるで重量に逆らうような視覚の情報を裏切るかのようなビジュアルのコーヒーテーブルを制作。捨てられた素材を主としてデザインし作品として発表していることがポイント。

手前から:José Zanine Caldas 《Sofa con rede》、ARKO《砂漠の火影》

生産からアウトプット手法まで含めて、自分の活動をReframingしたというブラジルのデザイナーJosé Zanine Caldas。
1950年代に安価に良質な家具を提供しようと試みた後、故郷の森林破壊に気持ちが揺れ動き、焼け落ちたり伐採された木材を用いて環境破壊への抗議としての家具を作品として発表する形へ活動を切り替えた。大量にものを作って大量に売るという現代と元々の自分の活動に対して、製造の過程や届け先など自分の活動をReframingした、すごくいい例として展示。

その後ろにはARKOの昔はあらゆるものに使われていたが、今では日本の家庭の中であまり使われなくなった素材である稲わらをピックアップし、古い価値がなくなったと思われたものに新たな価値を付け加えてウォールスカルプチャーにした作品が展示されている。

Marion Baruch 《RON RON》

ルーマニア出身のアーティストMarion Baruchの1972年にイタリアのsimonという会社から発表した家具シリーズの作品。
本作品を何の知識もなく見るのと、Marion Baruchが1968年に旦那と共に黒人解放運動の闘争を展開した政治組織のブラックパンサー党の写真集を出しているという情報があった上で作品を見た時に起こる視点の変化を体験できる作品を選んだという。

松岡正剛の「守破離」に基づいて作品を選んだという本展キューレーターで伝統技術ディレクターの立川裕大氏。「守破離」とは、型を「守」る、自分のものにする。破壊するの「破」。型を破って型を出る。型を「離」れる、新たな次元に踏み込んでいく。選んだ作品は全て型破りのステージを出て、新たな型を皆さんがこれから生み出すものかなという期待を込めている。

舘鼻則孝 《TRACES OF A CONTINUING HISTORY SERIES》

伝統工芸に最先端の技術を持ち込み、伝統工芸の新たな道筋を示すような骸骨の作品。

nendo 樂直入  《junwan-redox》

400年以上続く楽茶碗に新しい風が吹き込んだnendoのエポックメイキングな作品。

中村弘峰 《この矢はづさせ給ふな》Please, do not let this arrow miss.

4代目として深く深く自らの作品やこれまでの活動を通して見つけた道筋が反映されている中村弘峰の作品。

あり得る未来と過去を現代技術を使って表現するという活動をしながらキュレーションも行っている本展キューレーターの青木竜太氏。アートそのものがReframingという要素を持っている中で、なぜ今必要なのかというところをテーマにキュレーションしたという。それぞれの作品をある一つのマイルストーンと置きながら、その間をオーディエンスの方に理解して埋めていってもらいつつ物語を自分で考えていただきたいなと思っている。

まず最初にryo kishiの作品でCOVID-19に意識が変わり、新しい行動が生まれていくと共に作品そのものもReframingされていくようなもの。そこからnorという科学者や音楽家、建築家などの8名から構成されるアーティストコレクティブによる同期現象を表現した作品で、新しい考え方、新しいことが生まれていった後に人々に同期して一緒に変わっていくようなところを参照しながらこの作品を選んだという。

Jiabao Li 《Trans Vision》

3つ目はオースティンの大学の教授でバイオアートを行う多才な作家であるJiabao Liは、デジタルメディア、デジタル空間の中において様々なバイアス、様々なフィルターで情報に偏りが生まれ、かつ自分自身の考え方で増幅されていく様を表現。Apple Vision Proのデザインチームにも関わっている彼女は、Apple Vision Proと相互に影響を与え合っているという。
ここでは、新しく生まれた考え方が同期し広がっていく中、デジタルメディアの空間の中で偏りが生まれていくことを表現している。

最後に、自動運転に人間を守るという機能が出てきている現代において、年間20億匹の動物が運転によって亡くなっており、そのような自分たちにとっていいと思ったことが自分たち以外のものに影響を与えていることを表した作品を展示。自動運転の車を表現したルンバが動物の血を吸いあげ、その現象すら隠してしまう。

Jiabao Li 《ANIMO》

皆がそれぞれを思いながらも、結果的に自分たちが見えないところで様々なことが起きてしまう。僕たちは意識的にReframeという技術を身につけて、こういった悲劇を避けていく必要があるんじゃないかという思いが込められている。

開催概要

会期:2024年10月18日(金) 〜 10月27日(日)
会場:表参道 / 外苑前 / 原宿 / 渋谷 / 六本木 / 広尾 / 銀座 / 東京
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会

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