2021年2月9日(火)~4月4日(日)すみだ北斎美術館にて 「筆魂 線の引力・色の魔力ー又兵衛から北斎・国芳までー」が開催される。
浮世絵といえば錦絵や摺物といった版画が連想されるが、本展では絵師が絵筆で直接紙や絹に描く、浮世絵の源流ともいえる肉筆画を約125点を展示する。なかには岩佐又兵衛の重要文化財・重要美術品に指定された作品や、新たに発見された歌川豊国や葛飾北斎の作品、長く行方不明で近年再発見された喜多川歌麿の作品、葛飾北斎の初公開作品など、約40点が含まれており貴重な機会となる。
肉筆画の「肉」とは「生身」を意味するが、浮世絵の先駆とされる岩佐又兵衛をはじめ、浮世絵の始祖である菱川師宣、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川国芳などの60人に及ぶ浮世絵師による、面や点であらわされた、複雑で奥深い彩色技法や、描き手の筆づかいをぜひ堪能してほしい。
◆出品浮世絵師
岩佐又兵衛、菱川師宣、懐月堂安度、宮川長春、宮川一笑、奥村政信、川又常行、川又常正、鳥居清長、礒田湖龍斎、窪俊満、北尾政演、勝川春章、勝川春好、一筆斎文調、西川祐信、月岡雪鼎、祇園井特、鳥山石燕、喜多川歌麿、鳥文斎栄之、東洲斎写楽、歌川豊春、歌川豊広、歌川豊国、歌川国貞、歌川広重、歌川国芳、菊川英山、溪斎英泉、葛飾北斎、蹄斎北馬、魚屋北溪、安田雷洲など
展示構成とみどころ
1章 浮世絵の黎明から18世紀前期まで~岩佐又兵衛- 菱川師宣~
福井の豪商金屋家に伝わった「金谷屏風」は、浮世絵の先駆とされる岩佐又兵衛によって描かれた六曲一双の扉風だったが、
浮世絵の始祖、菱川師宣は肉筆画や版本、版画の市場で活躍し、
されている。
2章 浮世絵の繁栄~勝川春章・喜多川歌磨.東洲斎写楽~
優れた肉筆美人画で知られる勝川春章(北斎の師) の晩年の代表作《竹林七妍図》は、7人の女性が円を描くように配置され、
また喜多川歌麼の寛政年間(1789-
《中山富三郎。市川男女蔵、市川高麗蔵図》は、人気歌舞伎役者たちによる舞台の一場面が描かれた絵本の版下絵と考えられ、東洲斎写楽の筆線がわかる貴重な作品。
3章 幕末を彩る両袖 葛飾派と歌川派
三代目中村歌右衛門による「変化舞踊」の9種の役の様子が八面に渡って描かれた扉風《三代目中村歌右衛門の九変化図扉風》は、それぞれの特徴を鮮やかな彩色で描き分けながらも、均整のとれた人物構図によって表現されており、豊国の肉筆画の技量を示す作品。
そのほか丸みのある輪郭線で女性を描くなど、弘化~嘉永年間 (1844-54)の歌川国芳美人画の特徴がよくあらわれている《文読美人図》は、着物の柄や裏地の表現などに丁寧な彩色がほどこされているところも見どころの一つ。
浮世絵師の中でも肉筆画の制作数が非常に多い葛飾北斎は、和漢洋などさまざまな画法を吸収し、和漢の古典伝説や動植物、 神仏など非常に幅広い画題を手がけた。中でも本展では、北斎とほかの絵師の意外な交流関係を示す新発見の《青美人繁昌図》や、2つの鏡を両手で合わせ鏡にして、
特に新たに発見された《青美人繁昌図》は、葛飾北斎との不仲説が伝えられる勝川春章門下の兄弟子·春好など4名の勝川派絵師たちや、またライバルとしてよく取り上げられる歌川派の総帥で役者絵の人気絵師·
◆開催概要
開催日:前期:2/9(火)~3/7(日) 後期:3/9(火)~4/4(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:9:30~17:30 ※最終入場は17:00まで
住所: 東京都墨田区亀沢2-7-2 すみだ北斎美術館
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
料金:一般1200円、大学生・高校生900円、中学生400円、小学生以下無料