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2021年2月3日(水)~5月10日(月)国立新美術館にて、日本を代表するクリエイティブディレクター佐藤可士和の展覧会が開催される。
佐藤は、1990年代株式会社博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と手がけた後、2000年に独立。以降、企業や幼稚園、病院、ミュージアム、エンターテインメント界、ファッション界、地域産業まで、多種多様な分野で革新的なVI・CI計画やブランド戦略を手がけ、国内外から注目を集めてきた。デザインの根本原理―伝えるべき情報を整理してその本質を抽出し、誰もが一目で理解できる視覚言語・記号に置き換え、広く伝達する―を、その本来の領域をはるかに越えた幅広い分野に適用する佐藤独自の稀有な方法論は、デザインの概念を拡張・刷新するだけでなく文化、経済活動、日常生活に至るまで、社会のすみずみに影響を及ぼしている。
過去最大規模の個展となる本展では、佐藤自身がキュレーションする会場構成のなかで、約30年にわたる佐藤の活動の中から、50以上のプロジェクトを取り上げ、多角的に紹介する。展示室を巡ることで佐藤の数々の仕事を「作品」として鑑賞する刺激的な体験を通して、その唯一無二のクリエイティビティを体感することができる。

みどころ
佐藤可士和のクリエイティブの原点から、見据える未来まで紹介

幼少期から漫画の表紙やロゴ、標識などのマークが好きで、それらを見ているとイメージが膨らみ、その中に世界を見ていたという佐藤。本展では、佐藤が幼少期に制作した1点のコラージュ作品から始まる。その求心力に満ちたパワフルな表現には、企業理念やブランドの世界観など目に見えない概念のエッセンスを、ポスターやロゴ、空間のデザインとして鮮やかに可視化する、佐藤の強靭なクリエイティブの原点を見ることができる。
また、現在進行中の最新プロジェクトも本展で初公開。「デザインという概念を狭義ではなく広義にとらえ、社会がよりよい方向へ向かうパワーとなり得ることを伝えたい」と常に考え、活動してきた佐藤が見据える未来にも迫る。

クリエイティビティを刺激する多彩な展示

本展は、各プロジェクトの特徴に応じて、展示方法が変わる。ポスターやプロダクトなど実際の制作物の紹介に加えて、立体化した巨大なロゴを用いた大規模なインスタレーションや、インタラクティブなデジタルコンテンツなど、体験型の展示も。私たちが日常的に親しんでいる佐藤のデザインワークが、思いがけないかたちで展示室に出現する。佐藤のクリエイティビティから生まれる多彩な展示は、観る者のクリエイティビティを刺激し、それぞれの日常生活をより創造的に生きるためのヒントになるかもしれない。

展示構成
THE SPACE WITHIN

子どもの頃からマンガの表紙やロゴ、標識などのマークが好きで、それらの中に一つの宇宙(スペース/SPACE)を見ていたという佐藤。本展のイントロダクションでは、佐藤の原点とも言える幼少期のコラージュ作品「宇宙」や、1989年の博報堂入社当時、Macintosh IIciを用いて初めてコンピュータでデザインした作品「6 ICONS」などを展示する。シンプルで明快、一度見たら忘れられないと評される佐藤のデザインのベースをなす思考法「超整理術」をはじめ、クリエイティブフィロソフィーにも触れながら、その人物像に迫る。

ADVERTISING AND BEYOND

1989年に広告代理店の博報堂に入社した佐藤は、1990年代にアートディレクターとして斬新な広告表現を次々に打ち出したのち、2000年に独立し、活動の場を広げてきた。この時期の佐藤の功績として特に注目されるのは、デザインの力を通したメディアの拡張。従来の広告展開の主軸は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4大メディアだったが、佐藤はこの前提にとらわれず、人々の目に触れるもの全てが、デザイン次第で情報伝達の有効なメディアとなる可能性を提示していく。
佐藤は、CDジャケットや飲料のパッケージから、ショッピングバッグ、駅の連貼りポスター、ビルボード、街路を巡るラッピングバス、そして道端で通行人に配られるポケットティッシュまでもメディアととらえ、それら全てを統一性のある明快なデザインで貫いた。街のあちこちが、情報を瞬時に伝える「アイコン」となって連動し、人々の目に飛び込む。その街並みがテレビや新聞で報道されれば、広告になった。
このセクションでは、1990年代後半から2000年代にかけて佐藤が手がけた主要プロジェクトから、ビルボード、連貼りポスターなど屋外広告の傑作を、発表時のダイナミックなスケールで展示するとともに、広告キャンペーンの一環として展開されたグッズに加え、プロダクト、パッケージ、書籍の装丁など、広告戦略そのものを刷新した佐藤の画期的なデザインワークを紹介する。


 

THE LOGO

企業理念や商品・サービスの価値など、目に見えない概念のエッセンスを象徴的に視覚化したロゴは、コミュニケーション設計の要として、プロダクト、店舗や施設、社屋のサイン、名刺や封筒、アプリアイコンやホームページ、SNS、パッケージ、ショッピングバッグ、衣服のタグなど、さまざまな媒体に展開されている。そのためロゴには、いかにサイズや質感が変わったとしても、一貫したイメージを伝えることのできる明快なデザインが不可欠だ。
佐藤は、企業、教育機関、文化施設、病院、地域産業、服飾ブランドなど、多種多様な分野でクリエイティブディレクションを手がけるなかで、多くのロゴを制作してきたが、それらはいずれも、一度目にしたら忘れがたい簡潔明瞭な造形と色彩が特徴的だ。
このセクションでは、佐藤は展覧会ならではの趣向として、私たちが日々慣れ親しんでいる数々のロゴを、企業・組織の理念や活動分野に由来する素材を用いて、巨大な絵画やオブジェへと物質化し、壮大なインスタレーションとして展開。見えないものを鮮やかに可視化するとともに、まだ見ぬものを創り出す佐藤の圧倒的なクリエイティビティを体感することができる。

THE POWER OF GRAPHIC DESIGN

紙を中心とする平面のメディアに展開されるグラフィックデザイン。佐藤がプロデュースするプロジェクトはきわめて多岐にわたるが、全ての発想のベースには、グラフィックデザインがある。
このセクションでは、シンプルで明快、鮮烈でパワフルにして、洗練された美しさが際立つ、選りすぐられたポスターの傑作を紹介する。

ICONIC BRANDING PROJECTS

佐藤は2000年代半ばから、企業、教育機関、文化施設、病院、地域産業、伝統文化、服飾ブランドなどさまざまな領域で、クリエイティブディレクターとしてブランディングのプロジェクトを数多く手がけてきた。対象の本質的価値を引き出し、それを端的に視覚化して社会にコミュニケーションするブランディングにおいて、佐藤は目に触れるあらゆるものをメディアととらえ、デザインを通して「アイコン」にすることを戦略の一貫として追求してきた。その基本となるのはロゴだが、商品も、店舗やオフィスなどの空間も、建築物も、それらが存在する街の風景さえも、佐藤は効果的かつ的確にコンセプトを伝達するアイコンへと変貌させてきた。
たとえば、有名な「今治タオル」のブランディングでは、商品の真っ白なタオル自体が「安心・安全・高品質」を象徴するアイコンとなり、明快なロゴとセットになって、記憶に鮮明に残るビジュアルアイデンティティを確立している。また、リニューアルを総合プロデュースした東京都立川市の「ふじようちえん」では、ユニークな楕円形の園舎の建物(設計:手塚貴晴・手塚由比)が、「園舎自体が巨大な遊具」という佐藤のグランドコンセプトを体現し、幼稚園そのもののアイコンとなっている。
このセクションでは、進化を続ける佐藤独自の「アイコニック・ブランディング」の革新性に迫る数々のプロジェクトを一挙に紹介する。

LINES & FLOW

このセクションでは、佐藤自身の「アイコン」とも言うべき二つのアートワークのシリーズ、「LINES」と「FLOW」の対比的なインスタレーションを展開する。

本展のキービジュアルにもなっている「LINES」は、クリアな赤・青・白の直線で構成されているが、無限に組み替えられ、油彩画、陶板、映像…と、ありとあらゆるメディアに展開される可能性を秘めている。それは、デザインが及ぶ領域を絶えず拡張し、既存のさまざまな枠組みを塗り替えてきた佐藤の活動そのもののアイコンともいえる。
本展では全て新作として、コンセプトムービー、有田焼の陶板作品と組皿、そして初公開となるステンレススチールを用いた大型作品を紹介する。

また、「LINES」の幾何学的構成とは鮮やかな対比をなす、大きな和紙に描かれた有機的なドローイングのシリーズ「FLOW」は、青の岩絵具をたっぷりと含ませた大筆の一振りから生じる作品。紙にいっさい触れることなく、動力と重力だけで描かれる「FLOW」には、佐藤の身体の一瞬の動きを通じて、目に見えないエネルギーやパワーが可視化されている。対象の本質に最もふさわしい表現スタイルを追求する佐藤は、ときにはコンピュータではなく、自らの手で描いた魅力的なイラストやドローイングをデザインに生かし、高く評価されてきた「FLOW」は、この「画家・素描家」としての佐藤の卓越性を象徴するアイコンといえる。
本展では「FLOW」の最新作3点を、その前身に位置付けられる有田焼のシリーズ「DISSIMILAR」とともに紹介する。岩絵具が空中に飛び散る一瞬をとらえたダイナミックな映像作品も見どころ。

UT STORE @ THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

「ネーミングやロゴからストアデザインまでを担うことは、ブランドを認知してから商品を購入するところまでをデザインすること。そういったエクスペリエンスを通して、ブランドの本質を感じてもらうトータルプロデュースが自分の仕事である」と述べる佐藤の代表作の一つ、ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」。

本展では、「UT STORE」の国立新美術館バージョンとして「UT STORE @ THENATIONAL ART CENTER, TOKYO」をプロデュース。TシャツのデザインからUT STOREにおける購買体験まで、「UT」のプロジェクトそのものを一つの作品として新たに提示する。

佐藤可士和 プロフィール

1965年東京生。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。株式会社博報堂を経て2000年独立。同年クリエイティブスタジオ「SAMURAI」設立。ブランド戦略トータルプロデューサーとしてコンセプトの構築からコミュニケーション計画の設計、ビジュアル開発、空間設計、デザインコンサルティングまで、強力なクリエイティビティによる一気通貫した仕事は、多方面から高い評価を得ている。グローバル社会に新しい視点を提示する、日本を代表するクリエイター。
主な仕事は、ユニクロや楽天グループのグローバルブランド戦略、セブン-イレブン・ジャパン、本田技研工業「N」シリーズのブランディングプロジェクト、国立新美術館のシンボルマークデザインとサイン計画、東京都交響楽団のシンボルマークデザイン、「カップヌードルミュージアム」(神奈川県横浜市)、「ヤンマーミュージアム」(滋賀県長浜市)のトータルプロデュース、100万台を突破したNTTドコモ「FOMA N702iD」のプロダクトデザイン、ふじようちえん(OECD/CELE(経済協力開発機構/効果的学習環境センター) 学校施設好事例集 最優秀賞)のリニューアルプロジェクトなど。近年では、物流に新しい価値創造を提起する「GLP ALFALINK 相模原」(神奈川県相模原市/2021年秋竣工予定)、地域に開かれた多目的スポーツ施設「FLAT HACHINOHE」(青森県八戸市)のトータルプロデュースや武田薬品工業「武田グローバル本社」のクリエイティブディレクションと共用部空間デザインなど大規模な建築プロジェクトにも従事するほか、UR都市機構「団地の未来プロジェクト」では、プロジェクトディレクターとして、集住の新しいあり方の提示に精力的に取り組んでいる。また、今治タオルのブランディング、有田焼創業400周年の記念事業「ARITA 400project」における作品「DISSIMILAR」シリーズの発表、「八代目中村芝翫襲名披露公演」のクリエイティブワーク、文化庁文化交流使(2016年度)としての活動など日本の優れたコンテンツを海外に広く発信することにも力を注いでいる。
毎日デザイン賞、東京ADCグランプリ、亀倉雄策賞、朝日広告賞、日経広告賞、日本パッケージ大賞金賞、ACCブランデッドコミュニケーション部門グランプリ、D&AD Yellow Pencilほか多数受賞。

◆開催概要

開催日:21年2月3日(水)~5月10日(月)※日時指定事前予約制
休館日:毎週火曜日 ※ただし、2月23日(火・祝)、5月4日(火・祝)は開館、2月24日(水)は休館
開館時間:10:00~18:00 ※当面の間、夜間開館は行いません。
住所: 東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館 企画展示室1E

電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
料金:一般1700円、大学生1200円、高校生800円

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