伝統織物産業と現代アートが織りなす国内唯一の布の芸術祭
「FUJI TEXTILE WEEK 2025」

文=ONBEAT編集部(一部オフィシャルサイト等参照)、写真=ONBEAT編集部

広報用キービジュアル

FUJI TEXTILE WEEK は、1000年以上続く織物の産地でもある山梨県富士吉田市の産業の歴史を根底に、伝統産業および地域活性を目的として2021年よりスタートした、テキスタイルと芸術が融合する国内唯一の布の芸術祭。テキスタイルに光を当て、アートやデザインを通じて、テキスタイルの新たな可能性を模索し発見するイベント。

また、産地を物づくりの起点として国内外の様々なコミュニティーと結ぶことや、使われなくなった織物関連の工場や倉庫、店舗などを展示会場として再利用することで、産業の記憶の保存と街のアイデンティティ形成に取り組み、富士山麓にある織物の街、富士吉田の活性化を目指している。

FUJI TEXTILE WEEK 2025のテーマは 「織り目に流れるもの」。目に見える織り目の下には、無数の見えない力が走っているという。まるで地下を流れる伏流水のように、音や手のリズム、記憶、土地の気配が、織物の下層で脈打っている。 そんな、可視化されないもの、下に潜むものに焦点を当て、 織物という表層からその文化背景や歴史の深層を探ろうとする想いが込められている。
2023年に引き続き、アート展のディレクターは南條史生が、キュレーターは丹原健翔が務めている。

開催概要

FUJI TEXTILE WEEK 2025

会期:2025年10月11日(土)~2026年1月12日(月・祝)
開館時間:2025年11⽉22⽇(⼟)〜12⽉14⽇(⽇)
休館日:11/25(⽕)、12/1(⽉)、12/8(⽉)
時間:10:00〜17:00 会場により16:00閉館(最終入場は各会場閉館30分前)
会場:横浜ユーラシア文化館3階企画展示室・2階常設展示室(一部)
※会場の一部は一般の店舗や公共施設を活用しているため、休館日や開催時間が異なります。
観覧料:一般 2,500円 学生2,000円

ご来場の際は、最初に下記いずれかのインフォメーションまでお越しください。
《総合案内所》   山梨県富士吉田市下吉田2丁目16−19(旧山叶)   google map
《FUJIHIMURO 》 山梨県富士吉田市富士見1丁目1−5   google map

・学生割引の適用には、総合案内所にて学生証の提示が必要です。
・高校生以下および18歳未満、65歳以上の方、および心身に障がいのある方および付添者1名は無料となります。総合案内所にて学生証または年齢の確認できるもの、障がい者手帳をご提示ください。
・富士吉田市民は無料となります。総合案内所にて住所のわかるものをご提示ください。
・一部、無料で参加・観覧いただけるイベントや会場がございます。

公式サイト:https://fujitextileweek.com/

A-POC ABLE ISSEY MIYAKE (展示会場:FUJIHIMURO)

2021年にイッセイ ミヤケから誕生したA-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、「一枚の布(A Piece of Cloth)」という三宅一生の服づくりの哲学を受け継ぎ、一本の糸から衣服を立ち上げるプロセスそのものを見つめ直すブランドとして、衣類という表現の可能性を探求してきました。
本展では、デザイナー宮前義之率いるA-POC ABLE ISSEY MIYAKEのエンジニアリングチームが美術家の横尾忠則と協業したプロジェクト「TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE」から生まれた5点の未発表作品を展示します。

公式サイトより

イッセイ ミヤケと横尾忠則氏との関係は1970年代から続く長いもので、現在もパリ・コレクションの招待状を横尾氏が手がけるなど、深い創造的交流が続いている。

今回展示されている作品群は、コロナ禍前に三宅一生とチームが横尾氏と共に取り組んだ 最後の共同制作シリーズ。横尾氏を驚かせたい、恩返しをしたいという思いから始まり、横尾作品をもとに多素材・多技法のテストを重ねて制作された。パンデミックで展覧会計画は白紙となり、これらの作品は発表機会を失ったが、その技術は後に「TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE」プロジェクトへ受け継がれる重要な前身となった。

テキスタイルは富士吉田に隣接する西勝田町の工場と共同制作したもので、最新のジャカード機を用いながら、最大8色(実質6〜7色)で横尾作品の多色性を再現する高難度の技術が投入されている。限られた色数で油彩のような筆致や色の深みを表現するため、糸のカラー・パレットを一から作り込んだ点が大きな特徴だ。

展示では作品を壁から離して配置することで裏側も覗ける構造になっており、横尾氏本人が「裏側の方が面白い」と語ったほど、偶発的に現れる色のレイヤーがユニークな美しさを生んでいる。作品「天の岩戸」をはじめ、三宅一生の世界観と横尾氏の美意識が響き合う特別なテキスタイルアートとして鑑賞できる。

展示会場:FUJIHIMURO

人口に対する飲み屋の数が日本一だと言われていた歓楽街「西裏」に氷を提供するために開業していた富士製氷。所有者のご好意で譲り受けデザインコンペにより東京理科大学坂牛研究室の手でアートギャラリーとして生まれ変わった。

公式サイトより

出展作家:A-POC ABLE ISSEY MIYAKE、上條陽斗、永田風薫
住所:〒403-0009 山梨県富士吉田市富士見1丁目1−5

上條 陽斗 / Haruto Kamijo《forming patterns》2025

松本 千里 / Chisato Matsumoto (展示会場:旧糸屋)

広島出身のアーティスト・松本千里による大規模インスタレーションが、かつて“糸屋”と呼ばれた旧御服店の空間で制作・展示されている。富士吉田の長い歴史と、人々の営みが染み込んだこの建物の“気配”を受け取り、それを作品へと昇華した。

松本は約2週間現地に滞在し、長年使われず眠っていた織り機や食器などを譲り受け、それらを作品の核として再生。伝統技法「絞り染め」を用い、一つ一つ手で絞る行為を“祈りにも似た執念”として積み重ね、崩れかけた織り機を抱きとめるように絡め合わせて形づくった。

制作期間中、地域住民が「家にも昔織り機があった」と訪れるなど、富士吉田の織物文化が今も生活に息づいていることを実感しながら、松本は空間の声を“聞くように”作品を展開。後半には一気に作品が増殖するように立ち上がり、柱や梁から生えてくるような生命的な広がりを見せている。

作家自身が「この場所の気配に触れ、何を求めているのかが分かった瞬間から一気に進んだ」と語るように、本作は土地・建物・人の記憶が松本を媒介にして形を得た作品であり、訪れた者が“ぞわぞわとした感覚”を持ち帰るような、増殖する物語性を宿している。

展示会場:旧糸屋 / Kyu Itoya

戦前は本町通りで呉服店を戦後は現在地で毛糸商を営んだ。店主の妻渡辺はつみ氏は表千家不白流師範として茶道を極めるだけでなく華道や日本舞踊にも秀でた上に謡いを通じて観世流梅若との交流も深め富士吉田の文化の礎を築いた。

公式サイトより

出展作家:松本千里、安野谷昌穂
住所:〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田2丁目2ー8

安野谷昌穂

安野谷昌穂《寛厳浄土》2025

相澤 安嗣志 / Atsushi Aizawa (展示会場:旧山叶)

富士吉田の倉庫に眠っていた膨大なデッドストックの布を用い、その長さや配置を変えて吊るすことで、洞窟のような空間をつくり出したインスタレーション。布の先端は染色され、重なるレイヤーがモワレのような視覚効果を生み、複雑な色の揺らぎは山脈や稜線を思わせる。鑑賞者はその“布の稜線”のあいだを歩きながら、軽やかな布の風合いに包まれ、繭の中にいるような心理的安心感を得る。

この空間体験は、富士講信者が登拝前日に胎内樹型の洞窟を巡り、身を清め、生まれ変わりを象徴的に経験する「胎内巡り」を現代的に置き換えたもの。芸術祭の会場でも、訪れた人が次の展示へ向かう前に“気持ちを整える場所”として機能する。

使用された布はすべて古いデッドストックで、中には1970年代の新聞紙で巻かれたものも残るなど、素材自体が富士吉田の長い織物産業の歴史を語っている。新品は一切用いず、使われなくなった倉庫から集めた布のみを使うことで、この街が富士山を中心に発展してきた時間の蓄積をそのまま造形化した。

染色工場で干される布の風景も制作の着想源となっており、あえて残したシワやヨレが山の地形を思わせ、声を出すと音が変わるなど、内部では洞窟さながらの没入感が生まれる。素材の記憶と信仰の身体性が重なり、鑑賞者を静かに包み込む体験型の作品となっている。

展示会場:旧山叶 / Kyu Yamakano

1872年瑞穂村下の水(現富士見6丁目)で金物業を開業1916年渡辺和吉商店とし機織機や撚糸機を扱い金沢の絹織物用力織機津田駒工業の代理店となる。1950年山叶商店に改組しサッシなど建設部材やFANUCやMAKINOの工作機械も取り扱っていたが2023年3月廃業。1973年頃建設の建物内暖房用ボイラーの煙突が今も残る。

公式サイトより

出展作家:相澤安嗣志、齋藤帆奈、増田拓史、Wanatabe Textile、mergen、Raw Color、飛騨の森で熊は踊る×ツバメアーキテクツ、布と言葉、YAMANASHI TEXTILE SHOP
住所:〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田2丁目16−19

KURA HOUSE

1950年代に建てられ山梨中央銀行吉田支店長が管理していた。2階建と3階建の蔵に挟まれた形で住居が建てられている。長い間空き家だったが2016年に移住者が借り受け店舗・ギャラリーだけでなくライブや映画上映会場としても利用されている。

公式サイトより

出展作家:ジャリン・リー、長谷川彰宏、向山喜章
住所:
〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田2丁目1-25

ジャリン・リー / Jialing Lee《Unseen spring》2025

ジャリン・リー / Jialing Lee

長谷川 彰宏 / Akihiro Hasegawa《懺悔、来迎、光。あるいは地平線》2025

長谷川 彰宏 / Akihiro Hasegawa

 

 

 

 

下吉田第一小学校プール / Shimoyoshida Daiichi Shogakko Pool

出展作家:柴田まお
住所:〒403-0019 山梨県富士吉田市新町1丁目1

柴田 まお / Mao Shibata《Blue Lotus》2025

開催概要

FUJI TEXTILE WEEK 2025

会期:2025年10月11日(土)~2026年1月12日(月・祝)
開館時間:2025年11⽉22⽇(⼟)〜12⽉14⽇(⽇)
休館日:11/25(⽕)、12/1(⽉)、12/8(⽉)
時間:10:00〜17:00 会場により16:00閉館(最終入場は各会場閉館30分前)
会場:横浜ユーラシア文化館3階企画展示室・2階常設展示室(一部)
※会場の一部は一般の店舗や公共施設を活用しているため、休館日や開催時間が異なります。
観覧料:一般 2,500円 学生2,000円

・学生割引の適用には、総合案内所にて学生証の提示が必要です。
・高校生以下および18歳未満、65歳以上の方、および心身に障がいのある方および付添者1名は無料となります。総合案内所にて学生証または年齢の確認できるもの、障がい者手帳をご提示ください。
・富士吉田市民は無料となります。総合案内所にて住所のわかるものをご提示ください。
・一部、無料で参加・観覧いただけるイベントや会場がございます。

公式サイト:https://fujitextileweek.com/

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