土地の歴史、空間の魅力が芸術によって輝き出す
BIWAKOビエンナーレ2025 “流転〜FLUX”

文=ONBEAT編集部(一部オフィシャルサイト等参照)、写真=ONBEAT編集部、オフィシャル

国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ実⾏委員会は、滋賀県近江⼋幡市を舞台に「BIWAKOビエンナーレ2025」を、2025年9⽉20⽇(⼟)から11⽉16⽇(⽇)まで開催いたします。本芸術祭は、総合ディレクター・中⽥洋⼦のキュレーションのもと、国内外より69組のアーティストを招聘。近江⼋幡市内の空き町家や歴史的建造物を修繕・清掃し、アート作品をインストールすることで会場として再⽣し、⼀般公開いたします。開催エリアは近江⼋幡市を中⼼に、メイン会場となる「近江⼋幡旧市街地」、琵琶湖に浮かぶ、世界でも珍しい⽇本唯⼀の有⼈島「沖島」、聖徳太⼦ゆかりの地として知られる「⻑命寺」と⼤きく3つのエリアに分かれて作品を展開します。

 

サークルサイド『Re: undercurrent』山本邸 撮影:ONBEAT編集部

江頭誠『⽑布製薔薇柄袷着物』 山本邸 写真:ONBEAT編集部

(江頭誠 本人作品説明)
大学時代、友人に「ダサい」と笑われた花柄毛布。
そのどこか懐かしい、日本人になじみ深い柄は、よく見るロココ調の豪華な装飾を思わせるものだった。
その花柄だけを切り取って着物にしたら、まるで動物の毛皮のように、無駄紋に一部だけを切り取られたコートのよう。

池原悠太 旧西川家住宅 写真:ONBEAT編集部

田代璃緒『Maniera』 旧西川家住宅 写真:ONBEAT編集部

原菜央『潜在意識の記憶』 西川庄六別邸 写真:ONBEAT編集部

 

北浦雄大 西川庄六別邸 写真:プレスリリースより

北浦雄大 西川庄六別邸 写真:ONBEAT編集部

⻄島雄志『「シンクロ 』 西川庄六別邸 写真:プレスリリースより

新野恭平『透の呼吸』 西川庄六別邸 写真:ONBEAT編集部

秋永邦洋『朧気』 西川庄六別邸 写真:ONBEAT編集部

近江⼋幡エリア風景 写真:ONBEAT編集部

開催11回目となる2025年のテーマは、“流転-FLUX”。万物は変化してとどまることがありません。 一個の個体と認識する私たち自身でさえ、細胞は常に死と再生を繰り返し、一瞬たりとも同じ自己ではあり得ません。 私たち人類のみならずこの世の全ての事象は、 変化し続けています。「陰極まれば陽兆し、陽極まれば陰兆す」全ては流転の波の中、形を変えながら永遠の時を刻んでいくのかもしれません。BIWAKOビエンナーレ2025 “流転-FLUX” では、そんな生成変化の流れを「アート」の中に感じ、宇宙へと思いを馳せながら、自己との対話を試みる最高のステージをお楽しみください。

北野雪経『ここで夢を⾒ていた』 まちや倶楽部 撮影:ONBEAT編集部

米谷健 + ジュリア『⼤蜘蛛伝説』まちや倶楽部 写真:ONBEAT編集部

田中誠人『写真(機)の幽霊』まちや倶楽部 写真:ONBEAT編集部

長田綾美 『floating ballast』まちや倶楽部 写真:ONBEAT編集部

エヴァ・ぺトリッチ『「第2の空、集合の夢 』 まちや倶楽部 写真:ONBEAT編集部

エヴァ・ぺトリッチ『第2の空、集合の夢 』 まちや倶楽部 写真:ONBEAT編集部

近江⼋幡エリア風景 写真:ONBEAT編集部

 

メイン会場となる近江⼋幡旧市街地は、豊⾂秀次により築かれた城下町を基礎とし、近世では近江商⼈発祥の地として発展した場所です。また、沖島は琵琶湖に浮かぶ、世界でも珍しい⽇本唯⼀の有⼈島。漁業が盛んで、琵琶湖の漁獲⽔揚げ量の半分を担っています。そして、今回から新たに聖徳太⼦ゆかりの⻄国巡礼三⼗三番札所である⻑命寺が会場に加わります。⼀⽇で1つの地域を深掘りしたり、地域を横断して異なる世界観を楽しんだり。アートによって輝きを増した空間を、旅をしながら五感をフル活⽤してご体感ください。

 

塩見亮介『月面甲冑(白兎)』 禧長(きちょう) 写真:ONBEAT編集部

八木玲子『⼀掬』 禧長(きちょう) 写真:ONBEAT編集部

八木玲子『⼀掬』禧長(きちょう) 写真:ONBEAT編集部

米津真理奈『Contact 』禧長(きちょう) 写真:ONBEAT編集部

 

赤松音呂 『チョウズマキ』カネ吉別邸 撮影:ONBEAT編集部

⼩松宏誠『ライフログ_シャンデリア_リマスター』 カネ吉別邸 写真:ONBEAT編集部

幸小菜 『眠る夜の散歩』カネ吉別邸 写真:ONBEAT編集部

近江⼋幡エリア風景 写真:ONBEAT編集部
みどころ

【近江⼋幡エリア】まちや倶楽部、藤ya、カネ吉別邸、禧⻑、旧伴家住宅(⼊場料別)、旧⻄川家住宅(⼊場料別) 、⻄川庄六別邸、幸村邸隠居、⼭本邸、旧扇吉もろみ倉、⼋幡⼭展望館、ティースペース茶楽
江⼾〜明治期にかけて建てられた町家や蔵が多く残る、近江商⼈ゆかりの旧市街地。伝統的な建造物やかつての造り酒屋・醤油蔵にアーティストが新たな息を吹き込みます。⽇本で独⾃⽣産されてきた花柄の⽑布を素材に⽤いた⼤型⽴体作品を展開する江頭誠や、バルーン状のインスタレーションを⼿掛ける奥中章⼈、フランスで彫刻家として活躍するジュリアン・シニョレ、多彩な作家が町並みに呼応する作品を発表します。

 

saiho + 林イグネル小百合『幻象の庭』 旧扇吉もろみ倉 撮影:ONBEAT編集部

ロバート・ハイス『繋がり』 山本邸 写真:ONBEAT編集部

村⼭⼤明 『⼤⼭椒⿂と宇宙』山本邸 写真:ONBEAT編集部

近江⼋幡エリア風景 写真:ONBEAT編集部

 

【⻑命寺エリア】初会場(鑑賞パスポートなしでの⼊場可能)
標⾼約250mの⼭腹に位置し琵琶湖を⼀望する絶景をのぞめる聖徳太⼦ゆかりの地として知られる霊場・⻑命寺が、本芸術祭として初めて展⽰エリアとして参加します。杭州の雷峰塔をモチーフとした作品を本堂に展⽰する中国⼈作家陳⾒⾮や、社会批評的なパフォーマンスを⾏う⽯川雷太や、空間個性を⽣かした作品を⽣み出す宇野裕美がストレッチ布を使った作品を展開するなど、歴史的・精神的な重層性をあわせもつこの場所に現代アートの新たな対話が⽣まれます。

【⻑命寺エリア エクステンション会場】369Terrace Café(店内展⽰、鑑賞パスポートなしでの⼊場可能)
琵琶湖を⼀望する「369Terrace Café」。琵琶湖を静謐な空間でアートとともにお茶を楽しむ特別な展⽰を展開します。

⽯川雷太 長命寺 写真:ONBEAT編集部

陳見非 長命寺 写真:ONBEAT編集部

長命寺エリア風景 写真:ONBEAT編集部

 

【沖島エリア】(島全体に点在、鑑賞パスポートなしでの⼊場可能)
⽇本唯⼀の淡⽔湖の有⼈島・沖島。⾃然と共⽣する暮らしの中にアートが溶け込みます。中国の祝祭的な絵柄・⾊調をモチーフに、バルーン作品を展開する周逸喬や、 「⽣命⼒」をテーマに⽬に⾒えない事象を造形化する⽥中太賀志らが、島ならではの⾵景に作品を刻みます。

周逸喬『黄牡丹』 沖島 写真:ONBEAT編集部

周逸喬『蘭花指』 沖島 写真:ONBEAT編集部

沖島エリア風景 写真:ONBEAT編集部

ONBEATが注目するポイント

2025年秋、滋賀県近江八幡市を舞台に開催される国際芸術祭「BIWAKOビエンナーレ2025 “流転〜FLUX”」。本芸術祭の注目ポイントを3つご紹介します。

1. 日本のルーツと現代アートの共鳴が生み出す「新たな表現」
本芸術祭の大きな魅力は、日本の豊かな歴史と文化が息づく場所を舞台にしている点です。近江商人発祥の地としての歴史を持つ「近江八幡旧市街地」 、聖徳太子ゆかりの霊場「長命寺」 、そして琵琶湖に浮かぶ日本唯一の有人島「沖島」。これらの土地の歴史的建造物や自然そのものが、国内外69組のアーティストたちの手によって新たなアート空間として再生されますアートの力によって「日本人の持つ美意識の回復」を目指すというコンセプトにも注目。

Kikoh Matsuura 『深⼼』 禧長(きちょう) 撮影:ONBEAT編集部

 

2. 個性豊かな3つのエリアで体感する、文化の交差点
会場は、それぞれ全く異なる魅力を持つ3つのエリアで構成されます

近江八幡旧市街地エリア: メイン会場となるこのエリアでは、江戸から明治期にかけての町家や蔵を舞台に、多彩なアーティストが新たな息吹を吹き込みます。日本の花柄毛布を用いた江頭誠氏の立体作品や、フランスの彫刻家ジュリアン・シニョレ氏の作品などが、歴史的な町並みとどのように呼応するのかが見どころ。

長命寺エリア: 今回が初会場となる、琵琶湖を望む絶景の霊場です 。中国人作家の陳見非氏や、ストレッチ布を用いた宇野裕美氏の作品などが、歴史的・精神的な場に新たな対話を生み出します

沖島エリア: 日本唯一の淡水湖の有人島を舞台に、自然と共生する暮らしの中にアートが溶け込みます 中国の祝祭的な色調を持つ周逸喬氏のバルーン作品などが、島ならではの風景に新たな彩りを加えます。エリアを巡ることで、場所の持つ力とアートの対話、そしてローカルとグローバルが交差する瞬間に立ち会うことができます。

長命寺会場風景  写真:ONBEAT編集部

 

3. 「流転〜FLUX」のテーマに宿る、生命のリズム
今回のテーマは「流転〜FLUX 。「すべては形を変えながら永遠の時を刻んでいく」というコンセプトは、細胞が常に死と再生を繰り返す生命の本質にも通じます会期中には、東京バレエ団の南江祐生氏などが出演するパフォーマンスコンサート「流転」も開催され 、芸術祭のテーマをよりダイナミックに体感できるでしょう。アートが人類の存在と共にあり続けることを信じ、多くのアーティストが共演するこの祭典は、私たちに新たなインスピレーションを与えてくれるに違いありません。

三木サチコ 西川庄六別邸 写真:ONBEAT編集部

 

開催概要

BIWAKOビエンナーレ2025 “流転〜FLUX”
BIWAKOビエンナーレとは
土地の歴史、空間の魅力が芸術によって輝き出す
琵琶湖を中心に広がる滋賀県、主に近江八幡旧市街地を舞台に、国内外のアーティストが展示を行うアートイベントです。また、空き家や古民家を会場として活用することで、古き良き建物の魅力を再発見し、後世につないでいくための「地域再生」も目的のひとつ。長年放置されている日本家屋を、地元住民や日本全国から集まる有志たちで清掃することから始めています。町の歴史と芸術が重なり合う作品展示によって、五感をフルに使った鑑賞体験をお楽しみください。

開催会期:2025年9月20日(土) 〜 11月16日(日)
会場エリア:滋賀県 近江八幡旧市街地、長命寺、沖島など
開場時間:10:00〜17:00 (最終入場:16:30)
休場日:水曜日(11月12日の最終水曜日は開場します)
主催:国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ実行委員会、 独立行政法人日本芸術文化振興会、 文化庁
総合ディレクター:中田 洋子
公式サイト:https://energyfield.org/biwakobiennale/

イベント情報

パフォーマンスコンサート「流転」
⽇時︓10⽉18⽇(⼟)/19⽇(⽇)18:00〜
会場︓まちや倶楽部(滋賀県近江⼋幡市仲屋町21)
料⾦︓⼀般3,000円/⼤⾼・専⾨2,500円/中学⽣以下︓1,000円*鑑賞パスポート提⽰で500円引き
出展アーティスト︓1部南江祐⽣(東京バレエ団)、⼤崎晶(伴奏)/2部タリナイナニカ

error: Content is protected !!