浦上コレクションより選りすぐりの作品約450点を展示
HOKUSAI－ぜんぶ、北斎のしわざでした。展

文＝ONBEAT編集部（一部オフィシャルサイト等参照）、写真＝ONBEAT編集部

世界で最も有名な日本人アーティスト、「HOKUSAI」。　アイコンとして知られるあの“大波”の絵は、ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》と並び称される名画であり、知らない人はいないでしょう。北斎は90年の生涯で30,000点もの作品を残し、93回の引越し、30以上の画号を使い分けた自由奔放な生き様でも知られています。紙と筆しかなかった時代にあって、彼の表現は、いまや世界を席巻する日本のエンターテインメント文化「マンガ」や「アニメ」のルーツともいわれています。

 

 

本展は、『北斎漫画』1,700冊を所蔵する浦上満氏（浦上蒼穹堂）の全面協力のもと開催されます。質・量ともに世界一として知られる浦上コレクションの『北斎漫画』全15編をはじめ、多彩な読本（よみほん）の挿絵、『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』（通称：大波）、自らを“画狂人”と称した晩年の傑作『富嶽百景』全3編・102図、さらには初公開となる幻の肉筆画16図など、出展作品は総数450点を超えます。「集中線」「ギャグ描写」「アニメ原画」など、現代のマンガやアニメの表現の原点ともいえる作品に着目した新しい展示演出で、200年前の“北斎のしわざ”を体感する、そんな貴重な機会となるでしょう。

 

みどころ

圧倒的迫力を体感！　珠玉の北斎コレクションを一挙公開
世界で最も有名な北斎の代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」（通称：大波）、この世の森羅万象を描いた絵手本『北斎漫画』全15編、北斎絵本の傑作『富嶽百景』全3編102図に加え、曲亭馬琴らとタッグを組み読本ブームを巻き起こした『椿説弓張月』、『新編水滸画伝』、そして『釈迦御一代記図会』の挿絵など、浦上コレクションより選りすぐりの作品約450点を展示。

 

「HOKUSAI－ぜんぶ、北斎のしわざでした。展」展示風景 CREATIVE MUSEUM TOKYO.　写真：ONBEAT編集部

 

北斎の画をアニメーション化
北斎が現代に生きていたら、アニメも制作していたのでは、と思わせる今にも動き出しそうな北斎画の人物たち。日本屈指のアニメーターが『踊独稽古』、『北斎漫画』より「雀踊り」と「武芸（棒術）」、「無礼講」の4本をアニメーション化、特設ミニシアターで紹介。この会場ならでは必見スペシャルコンテンツ。

 

HOKUSAI－ぜんぶ、北斎のしわざでした。展」展示風景 CREATIVE MUSEUM TOKYO.　写真：ONBEAT編集部

 

現代マンガやアニメ的表現の原点を様々な“しわざ”で紹介
驚くべき画力と発想力、ダイナミックな構図と超絶技巧の描写、ユーモアと遊び心にあふれ、見えないものさえも描き尽くした北斎。集中線・効果線、爆発や閃光、波や風などの自然現象、時間の経過、妖怪や幽霊、略画と一筆画、ギャグ描写、アニメ風原画など、様々な切口で現代マンガやアニメのルーツともいえる北斎の魅力を紹介。

 

 

ONBEATが注目するポイント

2025年9月13日より開催中の「HOKUSAI－ぜんぶ、北斎のしわざでした。展」。 世界で最も有名な日本のアーティスト、葛飾北斎の単なる回顧展ではありません。本展は、北斎の表現が現代にどのような影響を与えているのか、その「しわざ」を体感できる画期的な展覧会です。『ONBEAT』の視点から、本展の注目ポイントをご紹介します

 

 

注目ポイント1：現代文化の「ルーツ」を発見する
本展の最大の魅力は、北斎の作品を現代の「マンガ」や「アニメ」の原点として捉え直している点です。 私たちが当たり前のように目にする「集中線」や「ギャグ描写」、キャラクターの動きを描き分ける手法は、実に200年以上も前に北斎が実践していました。『北斎漫画』や読本の挿絵に描かれた大胆な構図やユーモラスな人々の姿は、まさに日本のエンターテインメント文化の豊かな土壌そのものです。 過去の偉大な仕事を知り、深く掘り下げることで、新たな創造が生まれるということを、本展は改めて気づかせてくれます。

注目ポイント2：ジャンルの境界を超える、北斎の革新性
浮世絵という枠組みに収まらない北斎の革新性は、ジャンルの境界を軽々と超えていきます。その象徴が、本展で特別に上映されるアニメーション作品です。 『北斎漫画』などに描かれた人物たちが、日本屈指のアニメーターの手によって動き出すというのです。これは、美術とアニメーションという異なる表現が出会う、まさに有機的で革新的な試みです。もし北斎が現代に生きていたら、きっとアニメも手掛けていたに違いない、そう思わせる説得力が彼の作品にはあります。このミニシアターは絶対に見逃せない空間となるでしょう。

注目ポイント3：世界を魅了する日本のリズム
北斎の代名詞である《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》、通称「大波」は、静止した絵画でありながら、荒々しい波の動き、自然のエネルギーが持つリズムを見事に捉えています。 そのダイナミズムは、日本の祭りのリズムにも通じる、生命力そのものの表現と言えます。本展では、「大波」はもちろんのこと、風に舞う人々や躍動する動物たちなど、あらゆるものに宿る「動き」を捉えた北斎の超絶技巧を堪能できます。 世界中の人々を魅了し続ける日本の美意識の根源を、北斎の作品の中から感じ取ることができるはずです。

注目ポイント4：初公開作品から知る、北斎の新たな一面
本展では、これまでその存在が知られていなかった北斎最晩年の肉筆画『日新除魔図』16点が世界で初めて公開されます。 これは、80代の北斎が日課として描き続けた獅子図であり、衰えることのない筆力と探究心に圧倒されることでしょう。偉大なアーティストの知られざる一面に触れることは、我々自身の創造性を刺激する貴重な体験となります。世界一の質と量を誇る浦上コレクションだからこそ実現したこの機会は、アートファンにとってまたとない朗報です。

開催概要

HOKUSAI－ぜんぶ、北斎のしわざでした。展

会期：2025年9月13日（土）～11月30日（日）会期中無休
開館時間：10:00～18:00
※毎週金・土曜および祝前日は20：00まで開館　※最終入場は閉館の30分前まで
※会期中、一部作品の展示替えを行います。
会場：CREATIVE MUSEUM TOKYO
住所：東京都中央区京橋1-7-1　TODA BUILDING 6F
公式サイト：https://hokusai2025.jp