いつか訪れるかもしれない「そのとき」 への静かな備え
「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」

文、写真=ONBEAT編集部(一部プレスリリース等参照)

自然災害はいつどこで発生するか、確実にはわからない。日頃から防災バッグを用意している人も、あまり考えないようにしている人もいるかもしれない。どんなに想像しても、当たり前の日常が失われるその瞬間は、実際に直面しなければわからないものだろう。しかし災害大国と呼ばれる日本にいる私たちが、無縁ではいられないのは事実だ。あまり考えたくはない災害の存在から目を背けず、その捉え方を見つめ直すことで、今やるべきことや、考えるべきことが見えてくるのではないだろうか。

津村耕佑「FINAL HOME」

 

本展では、そもそも災害とはなにかという視点から、これまでの地震や水害のデータビジュアライゼーションをはじめとしたリアルな状況把握や、防災に関するプロダクト、災害をきっかけに生まれたプロジェクトなど、人々が直面してきた自然災害を広く見つめ直す。また各地に残る災害に関する言い伝えや今後の可能性に目を向けた研究など、過去から現代、そして未来にいたるまでの災害への向き合い方も紐解く。

 

 

会場には、いくつかの「問い」が散りばめられている。状況によって、答えは一つではない。人によって正解も変わるかもしれない。しかしあらかじめ想像し、近くの人の答えを見聞きして、その瞬間を予想外としなければ、未来は少し変えられるかもしれない。新しい備えと、気持ちの準備をはじめよう。

 

坂茂建築設計+ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク「避難所用・紙の間仕切りシステム」

ONBEATが注目するポイント

ONBEATとして今回の展示で特に注目したいのは以下の点だ。

■ 災害にまつわる「古の伝承」と「願い」
災害の歴史にも触れる本展では、科学的な確証性はないものの、各地に残る災害に関する言い伝えや、過去から伝わる「願い」のかたちを作品にしたものも紹介される。

■テクノロジーとデザインによる防災の「新たな表現」
展覧会ディレクターを務めるビジュアルデザインスタジオWOWは、鑑賞を通じて思考を促す表現を探求している。

■「そのとき」から生まれるコミュニティと希望
本展は、災害という困難な状況から生まれる人々の繋がりや、未来への希望にも光を当てている。

この展覧会は単に防災の知識や道具を紹介するのではなく、「問い」を通じて来場者自身の意識や心のあり方に目を向けさせ、過去の知恵から未来の希望までをデザインという切り口で見渡す試みである。

展示内容

ビジュアルデザインスタジオWOWのディレクションにより、「問い」を通じて防災や災害について自分の視点で向き合う体験を提供する。会場に散りばめられた10の「問い」を通して、来場者は自分自身の防災や災害への向き合い方を主体的に考えながら作品を鑑賞できる。さまざまな場所や時間軸に偏在する「そのとき」。その先にある希望を見据えて防災に向き合う人々の意識や心のあり方を探る。

開催概要

「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」
会期:2025年7月4日(金)~11月3日(月・祝)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日(9月23日は開館)
* 六本木アートナイト特別開館時間:9月26日(金)、27日(土)10:00 – 22:00(入場は21:30まで)

入場料:一般1,600 円、大学生800 円、高校生 500 円、中学生以下無料
* 各種割引、オンラインチケットについては公式サイト(https://www.2121designsight.jp/program/bosai/)をご覧ください

主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援:文化庁、経済産業省、港区教育委員会
特別協賛:三井不動産株式会社