「第28回岡本太郎現代芸術賞」
受賞者発表と授賞式を開催(2/22)

岡本太郎の遺志を継いで設立された次世代のアーティストを顕彰すべく設立された岡本太郎現代芸術賞(通称TARO賞)。公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団 岡本太郎記念館は2月22日、「第28回岡本太郎現代芸術賞」の受賞者発表および授賞式を実施した。
今回は579点の応募の中から、24名が入選。入賞者・入選者の作品は、2月23日(日)~4月13日(日)まで、「第28回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展として川崎市岡本太郎美術館で展示される。

受賞者

岡本太郎賞
仲村 浩一(なかむらひろかず)
《房総半島勝景奇覧/千葉海岸線砂旅行》

○作家の略歴
1999年千葉県生まれ。2024年 武蔵野美術大学 造形学部 油絵学科 油絵専攻 卒業。2024年より東京藝術大学 大学院 美術研究家 油画専攻 在籍。

○作家のことば
10歩間隔で足元の砂を採取しながら千葉県の海岸線を一周した《千葉海岸線砂旅行》と、その旅の過程で見た景色やお土産、文化、印象に残ったものを描いた絵画作品である《房総半島勝景奇覧》がセットで作品になっています。砂浜によって砂の色が違うことに興味を持ち、大学4年間をかけて千葉県の砂浜を一周しました。その活動が絵画制作の動機となり、生まれてから暮らしている「千葉県」を砂と絵画作品の2側面から表現しようというのがテーマになっています。

《房総半島勝景奇覧》

《房総半島勝景奇覧/千葉海岸線砂旅行》と仲村氏

授賞式の仲村氏


岡本敏子賞

齋藤玄輔(さいとうげんすけ)
《語り合う相手としての自然》

○作家の略歴
1975年北海道生まれ。2004年 東北芸術工科大学 大学院 芸術工学研究科 修了。

○作家のことば
東日本大震災から約10年となる2020年、帰還困難区域の避難指示が解除されたばかりの福島県、双葉町を訪れました。10年間そのまま放置された町、まるで自然に戻そうとするように伸びる植物たち。被爆したであろう、その植物たちを採取し押し花にしたものを版として福島第一原子力発電所の建屋に描かれていた、波のような模様をした植物による建屋をつくります。内部からLEDライトで照らされた双葉町の植物たちは、文明の象徴ともいえる電力のチカラによって浮かび上がります。

《語り合う相手としての自然》

授賞式の齋藤氏


特別賞

井下紗希(いしたさき)
《森を歩くこと。》

○作家の略歴
1997年神奈川県生まれ。大学在学中に油絵に出会い、2019年から植物に自身の内面を投影した絵を描く。2021年屋久島への旅をきっかけに、植物だけでなく、それらを取り巻く環境にも視野が広がり、旅や登山を通してモチーフを探すことを始める。2023年大学院修了後、国内外の複数の展示に出品、絵を描き続ける。

○作家のことば
森は人の内面を映し出す。私にとって、森の中を歩くことは自分自身と向き合うことに他ならない。森を歩くとき、感覚は研ぎ澄まされる。そこに息づくもの(物神)の中に見えるものは、自身の絶望、葛藤、もがき、焦燥、畏怖、そして圧倒的な生命力。感情のゆらぎを絵の中に投影しながら、内面的な絵画空間をつくり出していく。その集大成を「絵画の森」として体現した。

《森を歩くこと。》と井下氏

授賞式の井下氏

第28回岡本太郎賞現代芸術賞 概要

主催:公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団、川崎市岡本太郎美術館
審査員(50音順、敬称略):椹木野衣(美術批評家、多摩美術大学教授)、土方明司(川崎市岡本太郎美術館館長)、平野暁臣(空間メディアプロデューサー、岡本太郎記念館館長)、山下裕二(美術史家、明治学院大学教授)、和多利浩一(ワタリウム美術館キュレーター)
公式HP:https://taro-okamoto.or.jp/taro-award/%E7%AC%AC28%E5%9B%9E/artworks/

「第28回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展 開催概要

会期:2025年2月23日(日)~4月13日(日)
会場:川崎市岡本太郎美術館・企画展示室
開館時間:9:30~17:00(最終受付16:30)
休館日:月曜(20205年2月24日、3月24日、3月31日、4月7日を除く)
2月25日(火)、3月11日(火)、3月12日(水)、3月21日(金)、ほか臨時休館あり
観覧料:一般700円、高・大学生・65歳以上500円、中学生以下無料
HP:https://www.taromuseum.jp/nextexhibition.html

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