池部ヒロト「COCOON ANATOMY/繭を解く」、
渡辺祐「Radiance of Nature with Urushi」が六本木エリア foundation にて開催中
文=ONBEAT編集部、写真=藤田紘那
デザインとアートを横断するモノやコトの素晴らしさを発信・共有するデザイン& アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO」。今年も都内8つのエリアで、さまざまなアーティストによる展示が行われている。
今回は、六本木エリアのギャラリー foundation にて開催されている、池部ヒロト「COCOON ANATOMY/繭を解く」と渡辺祐「Radiance of Nature with Urushi」を紹介する。
池部ヒロト「COCOON ANATOMY / 繭を解く」
池部ヒロトは、多摩美術大学生産学科テキスタイルデザイン専攻卒のテキスタイルアーティスト。「布」を、その民族の文化・習慣・信仰などが記憶として蓄積された「やわらかな化石」であると捉えており、フィールドワークを行うことで個々の土地にある素材や技法の記憶や文脈を読み解き、独自の実験的なアプローチでテキスタイルデザイン、アートワーク制作を行っている。
また池部は、今年度の「UNDER30」(「DESIGNART TOKYO」による、注目度の高い30歳以下の若手クリエイター5組を未来のスターとして発掘し支援するプログラム)にも選出されている。
今回の展示「COCOON ANATOMY」では、今衰退の一途を辿りつつある養蚕文化に新たな視点や価値をもたらすことを目的として、養蚕文化を読み解き再解釈。土地に根差した伝統的な技術と最新のテクノロジーを組み合わせることで、繭から出る廃棄物を素材とした新たな生産過程を持つ衣服「COCOON ANATOMY」を発表するに至った。
この展示を通して池部は、工業化によって見えなくなりつつある「素材や生産者との関係性」を視覚化し、テキスタイルの製造プロセスの理解を取り戻し、衰退しつつある養蚕文化の記憶を再生しようと試みる。
渡辺祐「Radiance of Nature with Urushi」
渡辺祐は、デザインを通してマテリアル、サステナビリティを軸にした日本の伝統工芸の研究を行っているデザイナー。問題解決と未来視点の両面からモノの価値を発見し、適切に変換して社会に発信することで、人・文化・自然・地球に貢献することを目指しているという。
生分解性もありサステナブルで、その希少さから「自然の贈り物」とも称される漆。その光沢反射の美しさと、日本が古くから持つ闇をも美の一部としてとらえる美意識「陰翳礼讃」に注目した渡辺は、明滅する光とそれを反射する漆が組み合わさった、木々のような形の照明を制作した。その素材や形からは、まるで森の中で枝の間から差し込む光を体験するような、自然とのつながりを感じることができる。
また渡辺は、素材としての漆の魅力を伝えるのみならず、その背後にあるナラティブやストーリーを伝えることにも注力し、人と物質世界との関係を修復するうえで漆や工芸デザインがどのように機能するのかを探っている。
この作品は、ヨーロッパを始め数多くのデザイン賞を受賞しており、2024年4月にイタリアで行われた Milan Design Week でも展示された。
会場情報
会場名: foundation
住所: 東京都港区赤坂9-5-12 B1F
DESINART TOKYO でのエリア区分: 六本木エリア
*池部ヒロト「COCOON ANATOMY/繭を解く」、渡辺祐「Radiance of Nature with Urushi」は、共に foundation で開催されています。
DESIGNART TOKYO 2024 開催概要
会期:2024年10月18日(金) 〜 10月27日(日)
会場:表参道 / 外苑前 / 原宿 / 渋谷 / 六本木 / 広尾 / 銀座 / 東京
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会