アボリジナルの伝統楽器ディジュリドゥの演奏家、NATA(ナタ)の最新情報を、弊社制作による公式ウェブサイトにて配信中!
文=藤田博孝(ONBEAT編集長)、写真提供:NATA
ディジュリドゥ奏者であるNATA(ナタ)の公式ウェブサイトのリニューアルを弊社(株式会社音美衣杜)が手掛けた。
同サイトではライブ動画やPVなど、NATAの最新情報を発信している。
世界最古の管楽器ともいわれるディジュリドゥ(現地語では主にイダキと呼ばれる)は、今から5~6万年前からオーストラリア大陸で生活していたといわれる先住民アボリジナルの伝統楽器だ。
狩猟民族である彼らは、次世代に文化を伝えるための儀式や祭事の時に歌と踊りとともにディジュリドゥを演奏する。
NATAは、そのディジュリドゥの国際的奏者である故ジャル・グルウィウィに師事し、オーストラリアの先住民アボリジナルの聖地アーネムランドで伝統音楽、狩猟文化、宴を体験し、彼らの自然との関わり方に共感する。
そうした交流を経て、彼は「自然に恵みをもたらす」という意味を持つアボリジナルネームを授かる。
日本人であるNATAがディジュリドゥを演奏する理由は、それが太古より伝わる原始的な楽器だからこそ、人類が意識の根底で共有しているであろうアニミズムの精神性を呼び覚まし、共鳴させることができると信じているからである。
「生命の力の素晴らしさをディジュリドゥの呼吸で伝えたい」という思いを胸に、NATAは原始と未来をつなぐユニバーサルなサウンドを追求し続けている。
これまでに数々のコンサートやTV・映画・舞台音楽の製作などを通じて、梅津和時、大城美佐子、おおたか静流、クレイグ・ハリス(シルク・ド・ソレイユ)、SANDII、ママディ・ケイタ、YAS-KAZ、山中透(元ダムタイプ)、Wild Marmaladeといった数多くの音楽家と共演・コラボレーションをしてきたほか、東京大学や早稲田大学での演奏講演会、全国幼小中高等学校での特別授業など、ワークショップやレクチャーを多数開催してきた。
そんなNATAが原因不明の病によって療養生活を余儀なくされたのは2023年のこと。
約1年間におよぶ療養期間中に、彼は改めて生命について、そしてこれからの活動について見つめ直したという。
そして心機一転、自身のウェブサイトをリニューアルし、2024年の春に活動を再スタートさせた。
その復帰第一弾企画として行われたのが、「NATAソロライブ 観蔵院 曼荼羅美術館」である。
このライブは、前半はNATAによるソロパフォーマンス、後半はゲストを加えたセッションライブという二部構成で行われた。
NATAは前半のソロライブでは、療養中に感じたことに関するトークをはさみつつ、療養明けとは信じられないほどパワフルな演奏を披露した。
後半のセッションライブでは、スペシャルゲストとして日本を代表するジャンベ奏者の一人、岩原大輔が登場。
旧知の仲だというNATAと岩原は、息もぴったりの演奏を聴かせ、この二人ならではの濃密な表現で観客を魅了した。
セッションライブの終盤には、シークレットゲストとして筆者がヴォーカルで参加し、共に宴を盛り上げた。
このライブの模様は、NATAも出演した映画『EROSION – 侵蝕 -』を監督した映像作家・VJであるTOOWA2 (AUDIOVISUAL PICTURES LLC)によって撮影と編集が行われPVが制作された。
録音とミックスは坂本龍一の音楽にも携わった経験を持つHori Osao(zizai-onkyo)が担当。
NATAの衣装は、国内の樹木を糸に紡いでオリジナルのオーガニックなファブリック、ウェア雑貨を展開するENGI no Ito (SHINSAI KATO)が担当。
また、当日の写真撮影には、いまをときめく写真家PHOTOGRAPHERHALも参加した。
こうした才人たちが結集して完成したライブ動画のPVは、「NATA YouTubeチャンネル」で視聴可能だ。
▼ NATAソロライブ 観蔵院 曼荼羅美術館
https://youtu.be/jT57usz8T6U
▼ セッションライブ 観蔵院 曼荼羅美術館
https://youtu.be/UfHUt-Q2ZiA
同チャンネルではNATAの復帰ライブ動画のほか、日本の名だたるラッパー達と共演してきたプロデュースグループ「Gas Crackerz」とNATAとのコラボによる楽曲『DID』のPVも視聴可能だ。
▼「DID」 Gas Crackerz feat. NATA
https://youtu.be/xHe_if9wBYo
約一年間におよぶ療養を経たNATAは、演奏活動を再開するだけでなく、公式ウェブサイトをリニューアルし、YouTubeチャンネルを開設し、新たにnoteも始めた。
自分を見つめ直し、人生の刹那を嚙みしめるように再始動を始めたNATAの音に、深みと味が加わったように感じるのは筆者だけではないだろう。
「古来より自然の中で暮らしてきたアボリジナルが奏でるディジュリドゥの音色は、大地を駆ける動物たちの姿や、海原をわたる風の流れ・・・そんな風景を私たちに想像させてくれます」と語るNATA。
究極のアナログ楽器を奏でる者として、デジタルとアナログの融合を試みる彼の旅は続く。