2022年11月3日(木)・4⽇(⾦)、神奈川県⽴⾳楽堂にて落合陽⼀ 演出&出演、古楽器×メディアアート×パフォーマンスアートによる「『HUMAN / CODE ENSEMBLE ヒューマン・コード・アンサンブル』Re-membering the Past, Re-imagining the Future~再編成される過去と再投影される未来~」が開催される。

メディアアーティストの落合陽⼀が、チェンバロ/フォルテピアノ奏者の⼩川加恵、パフォーマンスアーティストのステラークと共にポストコロナ時代に拡張された⼈間の「⾝体性」をテーマに、近未来の新たな「ヒューマニティ」のかたちを描き出す。
古楽×メディアアート×⾝体パフォーマンスによる異分野のアーティストたちとのコラボレーションとAI / ロボティクス / IoA / など、新旧テクノロジーの共創によるこれまでにない新しいアンサンブルによる共鳴をぜひ体験いただきたい。

社会実装前の研究開発技術を特別に限定公開し、⾳楽をインプットする試みはクラシックコンサートでは挑戦的な取り組みとなる。

ARTs × テクノロジー 5つの要素

1. 機械学習モデルからの映像⽣成など、落合陽⼀による新たな試みの映像ライブパフォーマンス

数百年余前から現在まで脈々と続く歴史に連なるクラシック⾳楽。
先⼈たちが残した楽曲についての画像やスコアなどのデータは、作曲家による⾃筆譜のみならず、過去に演奏された演奏会や、作曲年に起きた出来事や作曲家の肖像画など多岐にわたる。
近年の機械学習技術にはそういったデータが含まれており、落合陽⼀は近年の⽣成⼿法を⽤いて画像⽣成を⾏い、これをベースにした映像を古楽器の奏でる⾳に合わせてリアルタイムで再投影。
これまで映像作家のクリエイションによって制作された映像が⾳楽に付随する演出⽅法は数多く⾏われてきたが、今回落合が披露するのは、数百年にわたる膨⼤なデータを絵の具に、あるいは彫刻するための道具として活⽤し、「楽曲」そのものを視覚化するという新しい試みだ。
さらに落合は、楽曲を構成する⾳階や、作曲家の背景にも着⽬しこの演出を⾏う。

2. コンサートホールでの「ライヴ体験拡張」クラウドファンディング READYFORで⽀援受付

公演の技術協⼒企業との協働により、企業の研究開発部⾨による最新研究と先端技術を駆使してコンサートホールでライヴ・パフォーマンスを鑑賞しながら「体験拡張」ができる特別席をクラウンドファンディング READYFORでの⽀援を受付中。

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具体的には凸版印刷との共創で、下記の体験拡張が楽しめる。

▼凸版印刷 遠隔体験サービス | IoA仮想テレポーテーション®

IoA(Internet of Abilities)仮想テレポーテーション®︎は、「移動距離・時間を超え、現地のアバターロボットがガイドに乗り移り⾃分がそこにいるような感覚で遠隔体験ができるサービス」。
⼩川が演奏中に装着するデバイス、ステージ上を移動するロボットに乗り移り、演奏者と共にステージ上にいる様なリアルな臨場感を実現、鑑賞体験を拡張する。

3. AI × ⼈間による共創

株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所パリ(ソニーCSLパリ)を中⼼にソニー⾳楽を研究するチームの協⼒でモーツァルト:幻想曲 K.397の「未完部分」を⼩川の演奏に呼応したAIが補筆し、コンサートで披露する。
AIと⼈間との「対話」によりインタラクティブなピアノ作品の創作を誰もが⾏う事が可能な研究開発技術、“PIA(The Piano Inpainting Application)”。
バロックから印象派以降の膨⼤な作品データに加え、演奏家による演奏の記録から演奏表現についてのデータをも学習させ、⼈間性をともなったリアルな作品の再創造を提⽰。
機械学習による作曲の研究は世界に数多く存在するが、プロ演奏家のステージで実装される機会も未だ少なく、今回、ソニーCSLのPIAがプロ演奏家によるコンサートで披露されるのは世界初の試みだ。
未完のモーツァルト作品の中でも最も謎に満ちたこの幻想曲。
⼩川によるライヴパフォーマンスから引き継ぎ、AI(PIA)がどんなフィナーレを補完するのか、演出⾯でも楽しめるサプライズを準備している。

4. パフォーマンスアーティスト StelarcによるH/CEのための新たなデバイスの開発

 

パフォーマンスアート界のレジェンド、ステラークがこのアンサンブルのために新たに開発した新しいデバイス「Midi Bracelet(ミディ・ブレスレット)」を本公演で初公開。
「Midi Bracelet」は、ブレスレットの様に⼿⾸に装着する、センサーやカメラなどさまざまな機械がアッセンブルされたデバイス。
指を動かす事によりピッチや⾳⾊を変えたり、内臓カメラによってパフォーマンスしているステラークの「⾝体」を観客に共有出来るインタラクティブなデバイスだ。

 

 

 

今回は、⼩川加恵のフォルテピアノ演奏、落合陽⼀によるDJ/VJ、そしてステラークによる「MidiBracelet」と「Extended Arm」を連動させた『演奏』を含むパフォーマンスによるセッションも披露します。三者のコラボレーションによるパフォーマンスの中でも「Midi Bracelet」は重要な役割を担う予定です。

 

5. 5台もの新旧テクノロジーを駆使した鍵盤楽器が⼀堂に会する豪華競演

「ピアノ」という楽器が誕⽣してから現代に⾄るおよそ300年の間に、当時最新のテクノロジーを駆使して製作された「ピアノ」は時代や国によってその形状も、⾳⾊もさまざまに変容を遂げてきた。
本公演ではそんな個性的な鍵盤楽器5台が集結。
バッハやモーツァルト、ベートーヴェンらが⽣きていた18世紀〜19世紀に製作されたオリジナルの楽器とその複製楽器である「チェンバロ」、「ジルバーマン製作フォルテピアノ」、「ワルター製作フォルテピアノ」、「シュヴァルトリンク製作フォルテピアノ」に加え、ローランド株式会社の製作したデジタル・コンサート・ピアノ「GPX-F1 Facet」が登場する。

“Roland Digital Piano Design Awards”の⼤賞を受賞した韓国⼈プロダクトデザイナーのジョン・チャン・キム⽒による「Facet Grand Piano(ファセット・グランド・ピアノ)」のデザインの具現化を⽬指して制作されたコンセプトモデル「GPX-F1 Facet」は、ラスベガスで開催されている世界最⼤の家電⾒本市「CES2020」で発表された。
「Facet」の⾔葉通り、複雑にカットされて美しく輝く宝⽯の様な⾰新的なデザイン。
落合陽⼀が操るMidiコントローラーの役割も担う。
落合が楽器の前に座ってパフォーマンスしているヴィジュアルも新鮮だ!

『HUMAN /CODE ENSEMBLE ヒューマン・コード・アンサンブル』のための藤倉⼤による書き下ろし楽曲世界初演©Alf

©Alf Solbakken

ロンドンから世界を席巻する作曲家・藤倉⼤。彗星の如く⾳楽業界に現れた天才作曲家も今年45歳を迎え、円熟期に達している。
このプロジェクトのコラボレーターとして、藤倉がこのアンサンブルのために書き下ろす新作世界初演への注⽬が集まっている。
落合がステートメントで⽰している「⽬指したいアンサンブル像」の実現のために、藤倉は作品の中で三者三様の表現をさせる余⽩を与えている。
決して同じ演奏になることのない、藤倉による最新楽曲の、2⽇に渡る「世界初演」を決して⾒逃すことは出来ない。

ステートメント | 落合陽⼀

デジタルと共鳴する古楽器が質量への憧憬を惹起する


フォルテピアノ奏者の⼩川加恵に誘われてこのアンサンブルは始まった。
⼩川から伝えられたのは⾃分のいくつかの平⾯作品のモチーフだった。
以前ライカで⾏った個展「情念との反芻」の際にオールドレンズで滲むように撮影したいくつかのイメージ。
それを⾃分はデジタル解像度で取りこぼしたものを拾い集める試みと述べたが、デジタルの⾃然に近づくこの世界にとって⼈間性の営みとは何かという問いを表現の中に⾃分は常に込め続けている。
⼈とコード、計算機と⼈間のアンサンブル、新しい⾃然と新しい⼈の新しいアンサンブルとは何か考え続けている。
JCRリックライダーが⼈間とコンピュータの共⽣をテーマに論⽂「Man-Computer Symbiosis」を書いたのは1960年のことだった。
その後も⼈とコンピュータの共⽣は続き、インターネットの発達以後、コンピュータは⼈の社会性を維持するための環境要因として現代の⼈類に必要不可⽋なものになっている。
計算機は遍在し、同時に⼈の⾝体もデジタルに変換され、今この世界に遍在しうる。

ステートメントの続きはイベント公式ホームページへ
https://human-code-ensemble.com/artists/

開催概要

開催日:2022年
時間:15:00 開演(14:30開場)、17:00 開演(16:30開場)
会場:神奈川県⽴⾳楽堂
住所:神奈川県横浜市西区紅葉ヶ丘9-2
入館料:全席指定 ⼀般7,000円、学⽣席3,500円(24歳以下)、アーカイブ配信チケット3,500円

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