・サイズ 70.0 × 70.0cm
・素材 水性木版
・制作年 2021
・価格 ¥200,000+tax
アメリカバイソンは2016年にアメリカを象徴とする動物として、国鳥のハクトウワシと並び、「国の国獣」に指定された。
しかしこの動物はアメリカの負の歴史を象徴とする存在でもある。
・
・
19世紀のなかば、米国の白人達は先住民を支配下に置くために彼らが食料としていたバイソンを乱獲するようになった。
理由なく娯楽のために殺害もされ、数千万頭生息していたバイソンはわずか二十数頭まで減少した。
・
現在アメリカではコロナ禍によりアジア系に対する差別、暴力化が深刻化されている。
悪いのは「コロナ」であるはずなのに、なぜアジア人が排除されなければならないのか。
たくさんの人種によって成り立つ国家として人種の排除、優劣の選別を繰り返すままでいいのでしょうか。
負の歴史を繰り返すままで良いわけがない。
・
・
私はこの状況が当時のアメリカ対バイソンの関係と重なって見える。
この黄色い毛のバイソンは当時のアメリカバイソンのように何があっても決して逃げない。
動物の姿は古くから画家や彫刻家の格好のモティーフだった。
時代や地域が異なれば描かれる動物も変わり、独自の技法で表現されてきた。
動物は人類が未来を生き抜くために大切にしなくてはならない隣人である。
私は「2.5次元版画」と名付けた独自の水性木版画手法によって新しい動物表現を切り開こうとしている。
自分というフィルターを通して動物に本来携わっている造形性や内面を追求し、楽園に生きる動物の自由さや、食うか食われるかの緊張感、人間にはない本能的な動きを表現したい。
近年は動物をモティーフとして人間社会を考える作品にも取り組んでいる。
ー土屋未沙
Animals are our neighbors that we must cherish in order to survive in the future.
I am trying to open up a new way of animal expression through my original water-based woodblock print technique, which I cal“l 2.5D printmaking.”
Through my own filter, I pursue the formative qualities and inner worlds that are inherent in animals.
I want to express the freedom of animals living in paradise, the tension between eat or be eaten, and their instinctive movements that humans do not have.
In recent years, I have also been working on works that consider human society using animals as motifs..
ーMisa TSUCHIYA
土屋未沙
1993年神奈川県生まれ。
2016年多摩美術大学大学院美術研究科修了。
2017年「どうぶつユートピア」(ガレリア・グラフィカbis / 東京)、 2020年「鼓動がきこえる」(小杉画廊 / 神奈川)、 2021年「Over the Fence」(ギャラリーカノン / 東京) など個展多数。
グループ展に多数参加。
2017年鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞 奨励賞、 2019年鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞 審査員特別賞 受賞。
2015年度 三菱商事アート・ゲート・プログラム奨学生。 2017年クマ財団 第1期奨学生。