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チームラボ 猪子寿之

人々のための岩に憑依する滝、小さきは大きなうねりとなる
teamLab, 2018, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi

チームラボ 猪子寿之代表 インタビュー

オープンしたチームラボ ボーダレスについて

森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス( 以下、チームラボ ボーダレス)では、どのようなアート作品を展開しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

今回オープンしたチームラボ ボーダレスは「Borderless World」、「チームラボアスレチックス 運動の森」、「学ぶ!未来の遊園地」、「ランプの森」、「EN Tea House」の5 つの世界で構成され、世界初公開作品を含む、およそ60 作品を展示しています。4Kプロジェクターを含む470 台のプロジェクターで作品群を投影し10000㎡の空間を包み込むという、世界に類を見ないまったく新しいミュージアムになっています。

館内では順路が示されていないと伺いました。

その通りです。他のミュージアムと異なり、決められた順序はありません。したがって、来場者が最初に目にする作品も異なりますし、もう一つ付け加えると、どのような作品を鑑賞したかも毎回異なります。

というのも、展示する作品は展示空間を抜け、通路をたどって他の展示空間へ移動します。そしてそこに展示されている別の作品とコミュニケーションを交わし、影響を受け、時にはその作品と融合していくからです。

2016 年に森美術館で展示した《追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして境界を越えて飛ぶ》が顕著な例です。作品の中のカラスは、4 分20 秒のインスタレーションが終了すると作品から出て行き、別の空間の別の作品の中に自らの姿を変容させて入り込
みます。カラスが入った作品はまったく新しい作品として展開する一方、カラスが入ったことで追い出されてしまった本来のモティーフは、館内をあてもなくさまよい始めます。しかし再びカラスが飛び去ったことを知ると、元の作品に戻ってきます。カラスの作品を見たいと思って来館されても、必ず見られるわけではなく、カラスがどこにいるのか、当事者である私たちにさえもわかりません。一瞬として同じ瞬間を体験することはない、特異なミュージアムです。

非常に有機的にできているのですね。チームラボの作品は、それ自体、自然と科学、ミクロとマクロ、部分と全体など相反する要素を内包していると感じるのですが、相反する要素を結び付けようという意図はあるのでしょうか。

それらが相反するとは思っていないので、作っている側としてそのような意図はありません。しかし、見てくださる方が「相反する要素の融合」を感じ取ってくださるなら、極めて光栄なことです。

 

「境界のない」世界とは

今回《地形の記憶》として展示されているデジタルアート作品では、現実の時間の流れとともに、稲穂や昆虫、花々が変わっていきます。日本の里山がモティーフになっていると伺いました。

里山のように自然と人間の営みが曖昧な場所をイメージしました。もともと自然と人間の営みの境界は曖昧だと思います。そのような場所に興味があります。

境界のことで言えば、世界には本来、境界は存在しません。地球と宇宙の境はどこにあるのでしょう? 海と陸の間に境界線は引けません。それらは連続していて境界が曖昧なのです。しかし、今の社会にはあまりにも多くの境界が存在するので、境界があることが当た
り前のことであるかのように勘違いしてしまいがちです。

唯一境界があるとしたら物質ですが、デジタル技術の登場により、人間はますます物質から解放されるようになりました。写真を例に挙げると、今まで「写真」は「フィルム」と切っても切れない関係にありましたが、デジタル化が進んだことにより、現在は「フィルム」という物質に固定化しなくても、写真は存在できるのです。デジタル化により、人間は物質から解放され、より「境界のない」世界を創造できるようになるでしょう。

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地形の記憶 teamLab, 2018, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi