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アートの支援者たち スティーブン・グローバス

岩澤あさ子 《Uri 》 2018年 カンヴァスにアクリル 各100.0×73.0㎝

スティーブン・グローバス インタビュー

スティーブンさんはNYローニン・ギャラリーと共同で「ローニン|グローバス アーティスト・イン・レジデンスプログラム(以下、レジデンス・プログラム)」を行っていらっしゃいますが、このプログラムを始めたきっかけについて教えていただけますか?

私にとって、レジデンス・プログラムは大変重要なプログラムです。始めてから最初の2 年間はNYのジャパン・ソサエティと共同で行っておりましたが、3 年目以降はローニン・ギャラリーと一緒に開催しています。今年で4年目を迎えるので、かれこれ6、7 年はこのプログラムに携わっていますね。私はもともと日本人アーティストが創るアートに関心を持っていて、着目していましたが、知れば知るほどNYアートシーンにおける日本人アーティストに対する評価の低さを大変残念に思っていました。確かに日本からNYへ移住し、国際的に活躍するアーティストは数多く存在しますが、日本国内で活動する日本人アーティストがNYで脚光を浴びることは滅多にありません。そこで国内在住の日本人アーティストをNYへ招待し、NYのギャラリーでの展示の機会を提供することを通してNYアートシーンにおける日本人アーティストの地位向上に貢献したいという思いで、レジデンス・プログラムを始めました。また大変興味深いことに、NYで作品が展示されたアーティストは、帰国後、より高い評価を得るようです。それは米国人アーティストにとって、自分の作品がパリやロンドンで展示されることと同等の価値を持つのでしょう。日本人アーティストにとってNYで作品を展示することは多大な意義があると思います。NYのみならず国際的な評価を得ることで、その後の制作活動に取り組む意欲にも差が出ることでしょうし、もしかしたら日本人特有のシャイな部分も消えるかもしれませんね(笑)。レジデンス・プログラムの最高賞受賞者にはNY 市内の美術館などでの個展開催の機会が与えられるので、アーティストたちにとっては大変影響力のあるプログラムだと思います。

レジデンス・プログラムの審査方法はどのようになっているのでしょうか。

毎年、60 人から70人の応募がありますが、それを7名に絞った上で、審査員の投票により最高賞受賞者を決めます。レジデンス・プログラムの名称から誤解されることもありますが、私自身も、またローニン・ギャラリーのオーナーであるデビッドも審査員ではありません。審査員はNYで日本芸術に精通する専門家ばかりで、ジャパン・ソサエティ、アジア・ソサエティや米クリスティーズなどの日本美術のスペシャリストから構成されています。毎年、テーマを設けて応募者を募っており、応募者はテーマに従った作品を提出することが求められます。審査員は提出作品から作家の芸術性を第一に、第二にテーマにどれだけ作品が肉迫しているかを基準に審査します。ちなみに昨年のテーマは「花鳥風月」でした。最高賞を受賞したのは岩澤あさ子氏(pp.114 –117)。選考の決め手となったのは生命感にあふれる作風です。卓越した写実的な描写に加え、自然界の「魂」をも表現しているとして、審査員の高い評価を得ました。NY滞在中、ブルックリンにあるニューヨーク植物園での公開創作イベントの機会が特典として与えられました。2017 年の最高賞は湯浅克俊氏(pp.118 –121)が受賞。浮世絵から続く木版画の表現とデジタル写真という現代的な表現の類似性と差異を如実に示した作品は審査員を魅了しました。「ローニン|グローバス」という冠が初めて付いた2016年。この年に最高賞を受賞したのは、尾頭 – 山口佳祐氏(pp.122 –125)でした。圧倒的な芸術的才能、明確なコンセプト、テーマに対する解釈力が選考の理由となりました。

続きは、こちら

湯浅克俊 《Quadrichromie》 2018年 水性木版画 91.0×180.0cm

 

尾頭―山口佳祐 《やをらむすび乃図―水神―》 2016年 カンヴァスにアクリル 80.0×120.0cm