ONBEAT

Language
  • Facebook
  • RSS

絹谷幸二

2 0 0 8 年に 3 5 歳以下の若手芸術家を顕彰する絹谷幸二賞を毎日新聞社主催にて創設し、2 0 1 0 年には東京芸術大学名誉教授に就任するなど、近年特に後進の育成に力を注ぐ一方、自身の創作活動においては、ますますその独創性溢れる絵画表現を深化させている絹谷幸二氏。アトリエで熱く語られたその思いの丈を圧倒的な作品群と共に紹介する。

絹谷幸二作品
喝破 2015 194.0×259.0cm ミクストメディア、キャンバス

絹谷:そうです。私も若い頃、東京芸大の学生の頃は地味な絵を描いていたんです。ただ、その後イタリアに留学し、街に色彩が溢れているのを目にした時、「青丹よし 寧楽の都は咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり」と、万葉の時代に歌に詠まれた自分の故郷・奈良の極彩色であっただろう姿が重なって、「イタリアと奈良って同じじゃないか」と思ったんですね。奈良の都もだんだん色彩が色褪せていくに従って落ち込んでいったわけです。唐や宋の時代は、東洋は非常に芸術も盛んで、日本もその影響を受けて元気いっぱいだったんですけど、ルネッサンスを境にして西洋が登り龍になるんですよ。逆に東洋は、唐や宋の時代に良いものができた経験から模写体質になってしまい、その頃から芸術も経済も政治も全部沈んでいくんです。これを何とかしなきゃいけないというのが、僕の遠大な将来計画なんです。

藤田:先生の作品には、安土桃山時代の様な絢爛豪華に傾く生命力が溢れていますが、近年の作品では、その力がますますマグマの様に湧き上がってくるのを感じます。「世界はこれでいいのか、日本人はこれでいいのか」と、まるで神仏に成り代わってモノ申している。「日本人よ目覚めよ!」という願いが 作品の中に燃えていますね。

絹谷:ありがとうございます。その通りです。戦後特に委縮してしまっている日本人を元気づけなきゃいけないというのが、僕が 絵を描く趣旨なんです。僕は「良いことすれば天国へ行くよ、悪いことしたら地獄へ行くよ」という、言葉や国が違っても一目瞭然でわかる世界を発表しています。やはり絵というのは、「指し示して知らしめる」という役目があると思うし、僕はそういう絵の力を信じています。僕が死んでしまっても、この絵が未来の子どもたちと何か語り合ってくれる様にこういう絵を描いているんです。それから、僕は文化庁と日本芸術院による社会貢献事業「子供 夢・アート・アカデミー」で、年間に全国の 20 ~30 校を回って絵を教えて歩いているんですが、「頭を使わないで手を使え」と言ってあげると子どもたちがすごく喜んで、教室や体育館が「わー」と盛り上がるんです。今、日本の社会は 1+1=2という答えを出さないと間違いだという正解主義の教育をしている。ところが絵の世界というのは、1+1=2という皆と同じ答えを出したら間違いという世界ですから、自分の答えを出さなければいけない。日本の学校教育はこれを教えていないんです。日本は、犯罪率の低さとか、時間に正確なこととか、人にやさしいこととか、そういう点では世界に類を見ないほど立派です。でも、まだそれを磨こうとしている。磨かなきゃいけないのは、感性の精度を上げることだとか、自分の意見を言う覇気を取り戻すことだと思います。

続きはAMAZONでご購入ください。

絹谷幸二作品2
 朝陽富嶽球取り龍 130.3×162.1cm ミクストメディア、キャンバス