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田辺小竹・若宮隆志

旭日
旭日―旭日双鶏図(部分)

2 0 0 9 年、偶然ロンドンのボンドストリート近くの同じギャラリーで展覧会をしていて知り合った竹工芸作家の田辺小竹と漆芸作家の若宮隆志により誕生した竹×漆プロジェクト。ジャンルを越境し、進化を続ける二人の活動に迫る。

美術の階層を越えて
江戸時代を代表する画家、伊藤若冲(1716 ~1800)の絵画を題材にした作品展「竹×漆プライスコレクションの若冲」から二年が経った。田辺小竹と若宮隆志による史上初の竹と漆(高蒔絵)のコラボレーション。世界的な日本美術コレクターとして知られるジョー・プライス夫妻から、工芸に新たな息吹を吹き込む活動と、コレクションの画像利用について全面的な支援を約束された。会は予想以上の成功をおさめ、以来、異分野の工芸作家による合作は流行の兆しを見せている。
竹×漆プロジェクトをはじめた時、二人は「同じことはくり返さない」と決めた。人気がでたからと同じものを造り続けるのではなく、限られた時間を新しい作品の創作に費やすことにした。そうして、二人が第二章のテーマに決めたのは、開創千二百年を迎えた「高野山」である。若冲絵画のようにモデルになる作品があるわけではない。弘法大師空海や真言密教という「かたちなきもの」を題材とする試みだ。(中略)
日本美術史という新しく壮大なストーリーが生みだされていく中、仏教美術とは反対に「美術品」になりきれなかったものもあった。その代表格とされるのが、西洋に対応するものがなかった「書」。次がいわゆる工芸である。欧米で応用美術とされた工芸は純粋美術よりも劣るものであった。こうして、仏教美術と工芸とは、同じ美術の分野でも階層に大きな隔たりのある、遠い存在となってしまった。
そう考えると、二人がここで踏み出そうとしているのは小さくないステップだ。仏教を題材に工芸を制作する。百年以上もつみ重ねられてきた日本美術史の確固たる構造を突き抜け、跳び越えて、竹と漆で「高野山」を題材とする美を表現する。そう、この階層を超越し、これまでには存在しなかった美を生みだすこと。それこそが、プロジェクト第二章が目指すゴールなのである。
                    ─ 京都女子大学 家政学部生活造形学科 前﨑信也准教授

遣唐使
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